更新日:2019年8月6日(火)
ワールド・ゴールド・カウンシルのレポートによると、2019年第2四半期の世界の金需要は1123.0トン。前期比では+64.4トン(+6.1%)、前年同期比では+84.2トン(+8.1%)。2四半期ぶりの高水準。
上半期としては2181.7トンとなり、半期ベースでは2018年下半期(2375.6)に次ぎ、直近3年間では2番めの高水準。
<目的別需要>
・宝飾品:531.7トン。前期比+1.5(+0.3%)、前年比+10.9トン(+2.1%)。シェア47.3%は3年ぶり低水準。
・産業用:81.1トン。前期比+1.1トン(+1.4%)、前年比-2.2トン(-2.6%)。シェア7.2%は2四半期ぶり低水準。
・投資:285.8トン。前期比-12.8トン(-4.3%)、前年比+3.9トン(+1.4%)、3四半期ぶり低水準。シェア25.5%は3四半期ぶり低水準。
・中央銀行:224.4トン。前期比+74.6トン(+49.8%)、前年比+71.6トン(+46.9%)、3四半期ぶり高水準。シェア20.0%は3四半期ぶり高水準。
2019年前半を通じて、中央銀行の買い越しとETFの堅調な流入が金需要の原動力に。
第2四半期の買い越し上位は以下のとおり。
1)ポーランド:+99.54トン※2009年11月にインドが200トン購入して以来、四半期ベースでは最大
2)中国:+41.06トン
3)ロシア:+38.69トン
4)トルコ:+20.52トン
5)カザフスタン:+13.66トン
6)インド:9.33トン
7)ウズベキスタン:+3.11トン
8)モンゴル:+1.68トン
投資需要の内訳としては、
・現物:218.6トン ※2年3四半期ぶり低水準、前期比-39.7トン(-15.4%)、前年比-29.5トン(-11.9%)。
・ETF関連:+67.2トン ※2四半期ぶり高水準、直近9四半期では2番めの高水準、前期比+26.9トン(+66.7%)、前年比+33.4トン(+98.8%)。
※第3四半期半ばとなる現在、価格水準は既に大幅上昇しており、順張り志向のETF関連では買い越し量増加が見込まれ、逆張り志向の現物需要は減少が予想されます。
宝飾品需要とバー、コイン等の現物投資需要を合わせた金消費需要としては、中国とインドの2カ国合計シェアは世界の53.37%。
金消費需要全体では750.3トン。※7四半期ぶり低水準、前期比-38.2トン(-4.8%)、前年比-18.7トン(-2.4%)。
インドの宝飾品需要は168.6トンで前期比+43.2トン(34.4%)、前年比+18.7トン(12.5%)、現物投資需要は44.5トンで前期比+10.9トン(32.4%)、前年比+5.2トン(13.2%)。インドの1位は2016年第3四半期以来、2年3四半期ぶり。4-5月のインド国内金価格が低下したことも影響した模様。
対象的に中国の宝飾需要は2012年第2四半期以来、7年ぶり低水準。現物投資需要は2年3四半期ぶり低水準。中国では5月から金価格が上昇し始め、景気減速も影響。
3-5位は変わらず、前回6位のタイが8位へ2ランクダウン、前回9位のインドネシアが6位へ3ランクアップ、サウジは前回14位からのランクイン。
日本は主要31カ国のなかでは2四半期連続の最下位。第1四半期の-2.75トンの売り越しから、第2四半期は+0.67トンへと買い越し転換。第3四半期には再び唯一の売り越し転換が予想されます。
週明け5日はリスク回避の流れが一段と強まって大荒れ。米国の対中追加関税第4弾に対して、中国は米国産農産物の輸入停止を国有企業に要請。中国人民元は11年ぶりに1ドル=7元を超えるドル高人民元安。人民元安の防衛ラインと見られた7元超えを容認した、との見方から米財務省は今朝、中国を為替操作国に認定。米中対立のエスカレートは不可避の状態となり、株安、金利低下、ドル安、円高、金高の流れが加速、人民元ショック、というよりはトランプ・ショックの様相に。
VIX指数は年初1月3日(25.45)以来、7カ月ぶり高値となる24.50台まで上昇し、NYダウは今年最大の下げ幅となる700ドル超の下落で4日続落となって2カ月ぶり安値。ナスダックも6日続落となり、英FTSEや日経平均などとともに2カ月ぶり安値、ドイツDAXは4カ月ぶり安値。米10年債利回りは2年10カ月ぶり低水準となる1.7%台へ、日英10年債利回りは3年ぶり低水準、ドイツの10年債利回りは過去最低を更新し続けて-0.51%台へ。
NY金相場は+19ドル、1.3%の大幅続伸。2013年4月12日(1501.4)、140ドルの暴落前日で最後の1500ドル台となった日以来、6年4カ月ぶりの高値水準。直近の上値トライ目安となっていた1460ドル前後を突き抜けた状態となり、時間外では1480ドル台半ばへと一段高。流れとしては上昇一服となりやすい局面ながら、市場をとりまく環境としてはさらに押し上げられる展開もあり得る状況にも。目ぼしい節目や抵抗水準などは1500ドルの大台まで見当たらない状態にも。流れがいったん巻戻されると急落の展開も警戒され、1430ドルから20日移動平均線(1425.4)辺りが当面の下値サポートに。
NYプラチナは+4.9ドル、0.57%の続伸。3日連続845ドル台の安値で反発し、下値目安830ドル台を目指した流れは少し届かず、巻き戻されて調整一服、という状態に。水平状態の90日移動平均線(847.3)を上抜けた20日移動平均線(854.2)にサポートされる状態を維持できるかが目先のポイントにも。維持できず、850ドルを割り込むようだとあらためて830ドル付近までの下値トライ再開へ。
金との価格差は6月25日の608.9ドルを超えて618.6ドルへと過去最大を更新。
ドル円は1円弱のドル安円高となって大幅に3日続落。3日間で3円余り水準を切り下げ、終値では昨年3月27日(105.38)以来、1年4カ月ぶりの安値水準。東京時間に105円80銭付近まで下げた後は下げ渋り、106円をはさんでの保ち合い推移となり、7月のISM非製造業景況指数が予想を下回る53.7と2年11カ月ぶり低水準となった場面でも下値は限定的に。しかしNY終盤、日本時間早朝に米財務省が中国を為替操作国に認定したことが伝えられると一時105円50銭台まで急落。円高ドル安優勢の流れは続き、下値目安104円付近までもう一段の下落余地も。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場8/5終値とチャート
6日の国内金価格は+74円、1.4%の大幅反発。今年4番目の大幅上昇で7月31日の5338円を上回り、近年最高値を4日ぶりに更新。高値保ち合いからのわずかな下方ブレイクはダマシに終わり、逆に上方ブレイクへと切り返す形に。今年の平均騰落値幅21円(絶対値)に対して、6月以降は31円と1.5倍の高ボラティリティ状態となり、高値圏でより不安定さも増す状態にも。高値更新に伴う次の上値目標水準は5450円。5270円台が当面のサポートとなり、割れるとあらためて大幅調整リスク、5130円近辺までが次の下値目安にも。
プラチナ価格は+13円、0.42%高で5日ぶりの反発。大きく水準を切り下げてきたなかでの下げ渋り。今年安値から7月高値までの61.8%戻し(3092)付近に到達したことによる一服感もあり、短期地合い回復に向けては50%戻し(3130)の水準回復が目安にも。
金との価格差は6月25日の2228円を上回り、2244円へと過去最大を更新。
※参考:金プラチナ国内価格8/6とチャート
2019年8月6日(火)時点の相場
国内金:5,352 円 8/6(火) ▲74(1.40%)
国内プラチナ:3,108 円 8/6(火) ▲13(0.42%)
NY金:1,476.5 ドル 8/5(月) ▲19.0(1.30%)
NYプラチナ:857.9 ドル 8/5(月) ▲4.9(0.57%)
ドル円:105.61 円 8/5(月) ▼0.98(0.92%)
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