更新日:2022年2月4日(金)
英国中央銀行、イングランド銀行(BOE)はこの日、12月に続いて2会合連続の利上げで政策金利を0.25%引き上げて0.50%へ。インフレ高騰抑制の為に金融政策委員会メンバー9名のうち4名は0.50%の利上げを支持していた模様。さらに量的緩和(QE)で積み上げた資産縮小(QT)開始も決定し、米FRBに先行してタカ派政策転換後の流れが一段と加速し始めた格好にもなり、ポンド買いが進行。
さらにこの日は欧州中央銀行(ECB)でも理事会が開催され、政策金利は据え置きながら、2022年を通じて債券購入を減らし、終了後の利上げを表明。ラガルドECB総裁は会見で高インフレへの警戒感を示してタカ派傾斜へ。米FRBには遅れながらもECBのタカ派転換への道筋も示され始めたことでユーロ買いも進行。
日銀を除く4大中央銀行ではタカ派転換が鮮明となり、これを警戒して先行利上げを進めるほとんどの新興国とも合わせ、金融政策のタカ派転換は水平拡大期を迎えています。
3月からの金融政策タカ派転換加速が見込まれる米国では、ここに来て雇用市場が停滞の兆しも。前日発表された1月のADP雇用が前月比マイナスへと落ち込んだことを受けて、週末の雇用統計の予想もジワジワと引き下げられているようです。
この日発表された失業保険申請件数では、2週連続で前週からは減少しましたが、23.8万件は4週移動平均でのコロナ前の水準22万件を上回る水準。
その4週移動平均は25.5万件となって5週続伸、11週ぶりの高水準となっています。
この結果、新規失業保険申請件数は12月に4週移動平均での回復目安22万件を下回り、6週連続でコロナ前100%回復状態を維持したものの、1月半ばからは3週連続で22万件超。リバウンド状態が続き、雇用者数の動向と合わせ、米雇用市場は一時停滞期を迎えているようです。
なお、失業保険継続受給者数は4週移動平均で161.975万件。1月上旬に回復目安170万件を割り込み、3週連続でコロナ前100%回復状態を維持。
万が一、継続受給者数4週移動平均の100%回復が一時的となるようだと要注意。米雇用市場は一時停滞期では済まない可能性も。
3日のNY金相場は-6.2ドル、0.34%安で4日ぶりの反落。前日終値水準1810ドル付近が高値となり、時間外から軟調気味。BOEの利上げやECBのタカ派見通しなどを受けて欧州株安に米株安も追随、欧米長期金利も上昇傾向となった流れを受けてNY市場で1800ドルの大台を割れると一時1790ドル割れへと急落。ただし雇用統計前日でもあり、米10年債利回りの1.8%台回復後の上昇一服にも合わせて下げ渋り、NY午後には1800ドル台を回復。反発後の高値でも1810ドル手前で押さえられ、90日移動平均線(1799)から200日移動平均線(1806.0)までの抵抗帯との攻防が継続。目先は1810ドルが上方向への節目となり、上抜けできれば1830ドル台辺りまでは上値を伸ばす展開にも。下方向へは引き続き1780ドル台がサポート、これを割れると昨年秋以降の安値圏1760ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナは-13.4ドル、1.28%安で4日ぶりの反落。時間外序盤に1030ドル台半ばから1040ドル台へと小幅上昇後に戻り売り、プラチナも前日終値水準1040ドル台がこの日の高値となって軟調な展開に。ロンドン市場で1030ドルを割れるとNY市場では1020ドルまで下落、しかし1020ドル割れを回避して下げ渋るとNY午後には金の反発にも連れて1030ドル台を回復。結果的に下落基調が続く200日移動平均線(1048.3)に上値を押さえられ続けて徐々に上値を切り下げる形、1040ドル台が保ち合い上限となり、これを突破できれば上値トライ再開、短期上値目標は11月高値圏1090ドル付近も視野に。下値サポート候補1020ドルが維持できなくなれば1000ドル台が次の下値サポート、これを割れると年末年始の保ち合い水準970ドル近辺までが下値目安に。
ドル円は55銭のドル高円安、0.48%高となって5日ぶりの反発。前日NY市場でつけた安値114円10銭台で折返し、右肩上がりの90日移動平均線(114.03)にサポートされる形で調整局面を終えた可能性も。この日は東京朝の114円30銭台が安値となって堅調推移。欧州時間に114円60銭台、NY朝には114円80銭台、NY終盤には114円90銭台へ。英欧の金融政策会合の結果を受けてユーロとポンドが買われて相対的な円安主導で水準を切り上げながらも115円にはわずかに届かず。今朝の東京市場では一時115円台トライの場面も。雇用統計の結果次第では115円トライへ、115円40銭の節目を上抜けると上値トライ再開、今年高値を更新して117円台を試しに行くような流れにも。下方向へは114円40銭が目先のサポートとなり、114円台前半では上昇軌道の90日線も下支え。これらを割り込むようだと調整局面再開、今年安値を更新して12月安値も下回り、112円近辺までが意識されるような展開にも。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/3終値とチャート
4日の国内金価格は+27円、0.37%の続伸で1月27日(7329)以来、1週間ぶりの高値。欧州での金融政策転換の流れを受けての欧州通貨高円安。NY金の調整をドル円の反発がカバーする形となって国内金価格の高値保ち合い回帰への流れをサポート。下向きの9日移動平均線(7299)から21日移動平均線(7313)が目先の抵抗帯を形成。低調予想が大勢となりつつある1月雇用統計が下方向にブレた場合の波乱は限定的ながら、上方向にブレた場合には波乱の展開も。NY金の下落をドル円の上昇で相殺し切れない可能性もあり、7240円の節目割れなら7200円前後までが下値目安。サプライズ的な結果で変動幅拡大の場合には7150円近辺までの一段安も。
週間ベースでは+15円、0.21%の反発。
プラチナ価格は+27円、0.66%高で4日続伸。今年高値を更新して11月19日(4210)以来、2ヵ月半ぶりの高値。強気パーフェクトオーダーを維持して今年高値圏での保ち合いを上抜け、昨年5月末を起点とする上値抵抗線との攻防状態に。雇用統計後に極端に株安・金安の流れが強まるような展開とならなければ中期三角保ち合い上抜けとなり、上値トライ継続へと向かう確率は高まり、4200円台が短期上値目標。
週間ベースでは+35円、0.85%高で3週続伸。3週続伸は昨年2月以来、ほぼ1年ぶり。
※参考:金プラチナ国内価格2/4とチャート
2022年2月4日(金)時点の相場
国内金:7,296 円 2/4(金) ▲27(0.37%)
国内プラチナ:4,149 円 2/4(金) ▲27(0.66%)
NY金:1,804.1 ドル 2/3(木) ▼6.2(0.34%)
NYプラチナ:1,030.3 ドル 2/3(木) ▼13.4(1.28%)
ドル円:114.98 円 2/3(木) ▲0.55(0.48%)
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