更新日:2022年2月17日(木)
米商務省が発表した1月の小売売上高は前月比+3.8%。市場予想の+2.0%を大幅に上回り、-2.5%と落ち込んだ12月からも急回復。前月比では10ヵ月ぶりの大幅増となり、オミクロン株による感染拡大の影響を感じさせない好調ぶり。
自動車を除いた数値でも前月比+3.3%となって10ヵ月ぶり高水準、12月の-2.8%からは急回復。
ただし、前年比で見ると1月は+12.3%となって12月の16.6%からはやや低下。それでも昨年3月から11ヵ月連続で前年比+10%超の伸び。長期平均+4.7%の倍以上の伸び。
自動車を除く数値でも1月は前年比+12.6%。2ヵ月連続の低下ながら、やはり11ヵ月連続10%超の伸びとなっており、長期平均+4.7%を大幅に上回る状態での推移。
前月比では激しく上下動を繰り返し、好不調の波も荒い状態となってはいるものの、前年比ではインフレ高騰による影響もそこそこに、歴史的な好調期が1年ほど続いています。
インフレについては、この日米労働省が発表した1月の輸入物価指数は前年比+10.75%。12月の+10.19%からは上昇し、10年ぶり高水準となった11月の+11.75%こそ下回るものの、昨年4月以降ほぼ10%超の水準で高止まり。
前日の1月PPIが3ヵ月連続で前年比+9%台となったことにも同調する形となり、価格転嫁による影響だけを考慮すれば、現時点ではPPIのさらなる上昇余地はあまりなさそうな状況にもなってきているようです。
それでも、異常な高インフレ状態が続き、消費者物価では価格転嫁においても上昇余地を残し、それ以外の影響、労働市場逼迫や原材料不足などもあり、先高感は残る状況。
そんな状況でも、好調を持続する米国の個人消費事情、恐るべし。
なお、前日にはウクライナ周辺でのロシア軍の一部が撤退し始めたとの報道からリスク回避が緩和されたものの、この日はブリンケン米国務長官をはじめ各方面からこれを否定する見方が示され、リス回避再燃にもなりつつあるようです。
輸入物価高止まりでインフレ高止まり、それでも米国の個人消費も高止まり。地政学リスクも高止まりで有事の金買いも高止まり、そんな状態がまだ、続いているようです。
16日のNY金相場は+15.3ドル、0.82%の反発。8日ぶりに反落した前日下落分を取り戻して終値ベースでは今年高値を更新、昨年6月11日(1879.6)以来、8ヵ月ぶりの高値水準に。前日NY午後から1850ドル台で下げ渋っての揉み合い推移がこの日の時間外も継続。ロンドン時間には1860ドルまで上値を切り上げながらドル高の流れに上値を押さえられて反落、NY朝には米1月小売売上高の上振れにも1850ドル付近で下げ渋り。逆にブリンケン米国務長官の「ロシア軍撤収の証拠はない」発言をきっかけにリスク回避再燃、有事の金買い再燃となって1860ドルを超えて一段高、NY引けにかけては1870ドル台半ばまで上昇。高値では前日の1880ドル台にこそ届かなかったものの、1870ドルの節目超えを維持して一段高への可能性も再燃。目先、有事の金買い圧力が強まれば昨年6月高値圏1900ドル近辺まで上値を伸ばす可能性も。事態緩和で高値保合い下限1850ドル台を割れると一定の巻き戻しへ、20日移動平均線(1828.2)が推移する1830ドル近辺までが下値目安に。
NYプラチナは+43.3ドル、4.24%の大幅反発。上げ幅としては今年の平均17ドルの2.5倍超、1000ドル超へと急騰した1月19日(+48.9ドル、4.99%)に次いで今年2番めの急騰。時間外の1020ドル台での小幅揉み合い推移から、NY市場では金の急騰局面に追随、1030ドルの節目を突破するとNY午後には1050ドル超え、NY引けにかけては1060ドル台後半まで上昇。1030ドルの節目を上抜け、今年これまで上値を押さえられ続けた200日移動平均線(1039.7)も7ヵ月ぶりに上抜け。1ヵ月に渡る保合い上方ブレイクに伴う短期上値目標は11月高値圏1090ドル台。
ドル円は15銭のドル安円高、0.13%安で3日ぶりの反落。東京・欧州時間は115円60銭から70銭台までの小幅レンジで揉み合い推移、NY市場では米1月小売売上高の好結果を受けて115円60銭台から80銭手前まで小幅に急騰も、欧州時間にも上値を押さえられた80銭ライン手前で失速。するとタイミングを図ったかのようにブリンケン米国務長官の「ロシア軍撤収の証拠はない」発言を受けて115円40銭近辺まで、40銭程の急反落。リスク回避再燃となって米株安の流れも重石となり、NY午後には115円40銭を挟んでの揉み合い推移、ただし安値も115円30銭付近までと限定的。114円40銭から116円までのレンジ半ば、115円50銭近辺での小幅保合い状態へと主要レンジを縮小。115円60銭をしっかり上回れば116円トライへ、下方向は115円40銭を下回れば114円40銭の下限トライへ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/16終値とチャート
17日の国内金価格は+48円、0.64%の反発。9日ぶりの調整もわずか1日で切り返してしまったことで冷却効果もなし、むしろ過熱感を示すRSIは前日の62.3から71.4へと上昇。過熱感もジリ高推移となって高値保合いを形成。今年高値を更新して7580円超へと抜け出せば一段高へ、過去最高値(7676)もチラつきながら7620円程度までが短期上値目標に。下方向へは7510円を割れると保合い崩れとなって調整へ、今年安値(7244)から今年高値(7577)までの38.2%戻し(7450)近辺までが短期下値目安。
プラチナ価格は+106円、2.56%の大幅高となって3日ぶりの反発。上げ幅としては今年の絶対値平均37円の2.9倍弱、1月20日(+149円、3.79%)に次いで今年2番めの急騰。今年高値を大幅に更新して昨年11月17日(4265)以来、3ヵ月ぶりの高値水準に。4180円の節目上抜けに伴う短期上値目標4250円台まで、若干の上昇余地も。
※参考:金プラチナ国内価格2/17とチャート
2022年2月17日(木)時点の相場
国内金:7,563 円 2/17(木) ▲48(0.64%)
国内プラチナ:4,242 円 2/17(木) ▲106(2.56%)
NY金:1,871.5 ドル 2/16(水) ▲15.3(0.82%)
NYプラチナ:1,063.7 ドル 2/16(水) ▲43.3(4.24%)
ドル円:115.45 円 2/16(水) ▼0.15(0.13%)
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