更新日:2022年2月18日(金)
ロシアによるウクライナ侵攻リスクが高まり、リスク回避の流れで円高圧力も強まる足下のドル円。
BIS(国際決済銀行)が公表する実質実効為替レートにおける日本円は、1月の月間平均で67.55ポイント。BISで公表される1994年以降のデータでは最低。これまでの過去最低2015年6月の67.63を6年7ヵ月ぶりに更新。
その2015年6月はドル円が1ドル=125円台まで上昇し、黒田日銀総裁が「ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れるということは、普通に考えればありそうにない」と発言し、黒田シーリングと言われてドル円相場が天井をつけた時期。
そんな時期をさらに下回る程の円安が、現在進行しています。
現時点での20年移動平均との乖離率は日本円が-23.05%。3ヵ月連続-20%超の下振れで4年ぶりの大幅下方乖離、行き過ぎた円安水準となっています。
これに対して米ドルは1月平均119.75ポイントで20年移動平均との乖離率は+9.62%。2ヵ月連続の9%台となり、コロナショックとなった2020年3-5月の+10%超を除けば、ほぼ最大乖離水準。
ウクライナ危機が解消した場合でも、たとえ金融政策が日米で逆行する状態であっても、ドル円での安易なドル高円安進行を阻害する大きな要因となっています。
17日のNY金相場は+30.5ドル、1.63%の大幅続伸。上げ幅は今年の絶対値平均12.4ドルの2.5倍、1月19日(+30.8ドル、1.70%)に次いで今年2番めの急騰。水準としては昨年6月2日(1909.9)以来、8ヵ月半ぶりの高値となって1900ドルの大台に到達。ロシア側の「ウクライナ東部の親ロシア派勢力がウクライナ政府軍から砲撃を受けた」報道など、侵攻を正当化するための準備が進行しているとの懸念から事態悪化への警戒感は高止まり、市場のリスク回避ムードも継続。時間外は1870ドル近辺からロンドン時間に1880ドル台へと水準を切り上げ、1870ドル超えに伴う短期上値目標1890ドル近辺に到達し、一時1890ドル台半ばまで上昇すると1880ドル台へと反落。NY市場では新規失業保険申請件数の増加、フィラデルフィア連銀製造業景況指数の下振れなどを受けて1890ドル台へと再浮上、さらにバイデン米大統領の「ウクライナ侵攻が起きる可能性は「極めて高い」」発言などを受けて1900ドル台へと一段高。NY引け後も大台を維持しての小康状態に。上下に大きくブレやすい状況は続き、上方向へは昨年1月高値圏1950ドル近辺までが意識され、下方向へは1850ドル台がサポート。
NYプラチナは+29.0ドル、2.73%の大幅続伸。今年5番めの急騰で2日合計で+72.3ドル、7.1%の急騰局面を形成し、昨年11月15日(1096.9)以来3ヵ月ぶりの高値。1030ドルの節目上抜けに伴う短期上値目標1090ドル台にも早々の到達。NY引け後にも1090ドル台後半でジリ高推移となって今年高値をさらに更新。短期的には上昇一服となりやすいものの、そう簡単には落ち着かない状況にも。現状水準から昨年11月高値(1113.1)までは中期的にはダブルトップを形成する可能性もある重要水準。また、9月安値と12月安値とで形成するダブルボトムのネックラインにも相当する重要な攻防ライン。
ドル円は52銭のドル安円高、0.45%の続落。ウクライナ情勢を巡る報道合戦の様相にもなり、市場の警戒感も徐々に高まる状況となるに連れての軟調推移。東京時間の午前の115円50銭台が高値となり、午後には115円10銭台へと水準を切り下げて欧州時間には115円割れ。NY朝には米指標の予想下振れを受けて114円80銭台へと一段安、ロシアによるウクライナ侵攻への警戒感を強めるバイデン大統領発言などもあり、反発も限定的となってNY午後は115円割れでの推移が継続。今朝の東京市場では来週後半にも米露外相会談との報道からリスク回避後退となって115円20銭台へと急騰。目まぐるしく事態が変わる状況は続き、小幅上下動を繰り返しながらも114円40銭から116円までの保合いレンジ内での推移は今しばらく継続か。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場2/17終値とチャート
18日の国内金価格は+95円、1.26%の大幅続伸。上昇値幅は今年の絶対値平均40円の2.4倍弱、2月14日(+99円、1.33%)に次ぐ今年2番めの急騰となって今年高値を更新。2020年8月7日(7676)の過去最高値以来、1年半ぶりで史上2番めの高値。短期的には高値保合い上抜けの形からの目標水準7620円程度に到達してなお一段高、過熱感も一段高となってRSIは4ヵ月ぶり高水準となる81.7。平常時なら調整必至の状況ながら、北京五輪閉会式も迎えるこの週末の事態急変を警戒する状況に。過去最高値の大幅更新もあれば急反落も、下値サポートは7500円まで。短中期的に想定可能な上値目標としては7850円近辺まで。
週間ベースでは+226円(3.04%)、3ヵ月ぶりの大幅高で3週続伸。
プラチナ価格は+130円、3.06%の大幅続伸。上げ幅は今年の平均40円の3.25倍、1月20日(+149円、3.79%)に次いで今年2番めの急騰。水準としては昨年7月16日(4385)以来、7ヵ月ぶりの高値。4180円の節目上抜けに伴う短期上値目標4250円台を突き抜けての一段高。中期三角保合い上抜けをかけた攻防ではもたつきながらも、抜け出したとたんに急加速。やはり大幅変動リスクを抱えながら、短中期的に想定可能な上振れ水準としては4480円近辺まで。
週間ベースでは+215円、5.17%の大幅高で5週続伸。5週続伸は2020年12月以来、1年2ヵ月ぶり。
※参考:金プラチナ国内価格2/18とチャート
2022年2月18日(金)時点の相場
国内金:7,658 円 2/18(金) ▲95(1.26%)
国内プラチナ:4,372 円 2/18(金) ▲130(3.06%)
NY金:1,902.0 ドル 2/17(木) ▲30.5(1.63%)
NYプラチナ:1,092.7 ドル 2/17(木) ▲29.0(2.73%)
ドル円:114.93 円 2/17(木) ▼0.52(0.45%)
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