更新日:2022年7月14日(木)
米労働省発表の6月消費者物価指数(CPI)は前年比+9.06%。市場予想の+8.8%を上回り、5月の+8.58%からも急騰、続伸で1981年11月(9.59)以来、40年7ヵ月ぶりの高水準。
事前に偽情報も出回り、リークの疑いも噂されるなど上ブレへの警戒感もやや高まっていたものの、米長期金利は急騰、ドル高の流れも急進となって一時ユーロドルは2002年12月以来、19年7ヵ月ぶりのパリティ割れ、NY金も1700ドルの大台割れ目前まで20ドル超の急落。
食品とエネルギー関連を除くコアCPIは前年比+5.92%となり、39年7ヵ月ぶり高水準となった3月(6.47)から3ヵ月連続の低下で12月(5.45)以来、半年ぶりの低水準。
コアCPIは既にピークアウトした可能性を示唆しており、今回の上ブレ主要因は食品とエネルギー関連。
カテゴリー別では、4分類のうち唯一伸びが鈍化している「食品とエネルギーを除く商品価格」が前年比+7.2%となって5月の+8.5%から低下、2月の+12.3%がピークとなって4ヵ月連続の鈍化。
「エネルギー関連を除くサービス価格」は前年比+5.5%となって5月の+5.2%からは上昇、10ヵ月連続の上昇。
食品価格は前年比+10.4%となって13ヵ月連続の上昇、2ヵ月連続10%超。
エネルギー関連価格は前年比+41.6%で5月の34.6%から一段と急騰。続伸で4ヵ月連続30%超、15ヵ月連続20%超。
主要項目別でもガソリン価格が前年比+59.9%で5月の+48.7%から一段高で近年最高、15ヵ月連続30%超の伸び。
このうち、エネルギー関連価格については、原油価格が7月に入って急落しており、NY原油の月間平均価格は6月の114.21ドルから7月は現時点で101.28ドル。このまま大きく変わらなければエネルギー関連価格もピークアウトに近づく可能性。
残るは「エネルギー関連を除くサービス価格」と「食品価格」の動向次第、ということにも。
「エネルギー関連を除くサービス価格」については、労働市場の動向と賃金上昇率も大きく影響。
賃金上昇率からCPIを差し引いた、実質賃金上昇率は6月に-3.95%。ほぼ-4%となって比較可能な2007年以降のデータでは過去最低。
リーマンショック直前のインフレ高騰で実質賃金が急低下した時を超える急低下局面となっており、スタグフレーション懸念も高まります。
13日のNY金相場は+10.7ドル、0.62%高となって3日ぶりの反発。前日安値で短期下値目安、昨年9月安値圏1720ドル近辺に到達してRSIも5.0まで下げて自律反発も期待される状況下でも米6月CPIの結果待ちとなって上値も重く、アジア時間終盤には1720ドルまで下値再トライ。1720ドル台後半まで戻してNY朝にはCPI上振れを受けて急反落、昨年8月9日安値(1677.9)以来、1年11ヵ月ぶりの水準まで下げながらも1700ドルの大台割れを回避。急騰で反応した米10年債利回りが反落し、2年債との逆イールド拡大の動きとなり、一時パリティ割れとなったユーロドルも反発した流れにも追随するとNY午後には一時1740ドル台半ばまで、40ドル程の急反発。NY引け後には1730ドル割れへとまだ上値も重そうな状況。目先は1720ドルから1740ドル台までの底値保合いの様相に。底割れでも短期的には1700ドルの大台近辺までが下値目安となり、上方向へと抜け出せば反発局面形成へ、1770ドル近辺までが短期上値目標に。
NYプラチナは+9.7ドル、1.17%高で3日ぶりの反発。週明けから2日間ほぼ一方的に水準を切り下げて60ドル程下落した流れはこの日の時間外序盤、820ドル台半ばでいったん下げ止まり。830ドルを挟んでの小幅保合いから、NY朝のCPI後の乱高下局面では一時2020年6月29日(815.4)以来、2年ぶり安値となる815ドルまで急落も、短期下値目安となっていた2020年9月安値圏820ドル近辺で下げ渋るとNY午後にかけてNY金の反発局面にも追随、一時840ドル台を回復。NY引け後には830ドル近辺と上値もまだ重そうな状況ながら、目先は820ドルを下限に足場固めができるかどうか。
ドル円は58銭のドル高円安、0.42%の反発で前日の下げを帳消し、週明け11日の終値をわずかに上回って1898年9月2日(138.32)以来、23年10ヵ月ぶりの高値を更新。東京朝に136円70銭近辺の安値から137円20銭台へと水準を切り上げて以降はNY朝まで小幅もみ合い推移、CPI上ブレを受けて137円ちょうど付近から137円60銭台へと急騰。高値では一時137円80銭台まで上昇も、米10年債利回りの急反落とドル高の巻戻しの流れで137円10銭近辺まで反落。137円40銭台まで反発した後、今朝の東京市場ではドル高再開と株価反発・円安の流れとなって138円台トライ。13日時点では137円台半ばでいったん頭打ちとなった格好ながら、既にこれを上抜け始めており、短期上値目標138円台半ば辺りまでは時間の問題のようにも。下方向へは137円近辺が底堅くなって目先のサポートにも、136円80銭の節目を割れると調整へ、135円台半ば辺りまでが短期下値目安に。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/13終値とチャート
14日の国内金価格は+81円、0.98%の反発。前日の下落分を取り戻すも、依然ゆるやかに上昇し続ける90日移動平均線(8442)との距離を残し、急降下する9日移動平均線(8407)も上からプレッシャー。8370円の節目を突破できればこれを上抜けて90日線との攻防へも。突破できなければ8280円までのレンジで保合い形成となって反発に向けたエネルギー充電期間にも。さらに7月安値更新となった場合には8200円から5月安値圏8180円近辺までの下値切り下げも。
プラチナ価格は+59円、1.45%高で3日ぶりの反発。弱気のパーフェクトオーダー完成で底打ちへ、としばしば見られるパターンで切り返す可能性も示唆。今年2月以降の安値水準4100円前後の重要水準を割り込んでダブルトップも完成しての中期トレンド転換を示唆したのも一時的な行き過ぎにとどまっての切り返し、となるかどうがも今後の展開次第。その為には9日線(4169)を上抜けて4250円の節目上抜けが必須条件。そうなれば21日線(4291)も上抜けて90日線(4319)との攻防へ。4070円が7月安値とならないようだと下落局面継続へ、まずは4000円の大台割れが短期下値目安に。
※参考:金プラチナ国内価格7/14とチャート
2022年7月14日(木)時点の相場
国内金:8,363 円 7/14(木) ▲81(0.98%)
国内プラチナ:4,129 円 7/14(木) ▲59(1.45%)
NY金:1,735.5 ドル 7/13(水) ▲10.7(0.62%)
NYプラチナ:837.8 ドル 7/13(水) ▲9.7(1.17%)
ドル円:137.43 円 7/13(水) ▲0.58(0.42%)
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