失望と安堵と警戒感のゴールデンウィーク
更新日:2014年04月25日(金)
ポジティブ・サプライズも期待された日米首脳会談でのTPP合意は見送り。共同会見での共同声明も先送りされたことで1日の猶予に最終合意への期待も残ったものの、閣僚協議も見送られ、今朝時点での甘利経済財政相は「道筋は確認、大筋合意はできず」でタイムリミット。異例の先送りとなった共同声明では「TPP二国間問題で今後の道筋をつけた」、「TPP交渉妥結には日米でまだやるべきことがある」といった内容でお茶を濁した形。失望感は拭えず、昨日からのドル円軟調推移からも脱せず。
今朝発表された4月の東京都区部消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.7%となり、前月の1.0%からは大きく上昇も予想の2.8%にわずかに届かず。消費増税に伴う影響は1.7%としていた日銀の試算値がそっくりそのまま上乗せされた形。実質物価上昇ペースは3月から変わらない状況で、やや懸念?された物価上昇ペースの加速はそれほど進行せず。自信満々の黒田日銀総裁の笑顔が30日にもまた見られるのかどうかはわかりませんが、追加緩和を期待する向きからすると、順調過ぎる物価上昇は避けるべき事態だったことからの安堵感で、今後への期待をつないだ形。
また、ウクライナ東部で進むウクライナ政府による親ロシア派掃討作戦に対して反発姿勢を強めるプーチン大統領は、国境付近での新たな軍事演習を開始。自衛のため戦闘員がウクライナ南東部に入ったなどの報道もあり、にわかに緊張感が高まったことでリスク回避も進行。安全資産の円買い、金買いが強まる局面も。
失望と安堵と警戒感のバランスが崩れた時に、マーケットは大きく動き出します。その可能性を秘めた市場のゴールデンウィークが始まりました。
NY市場、金相場は0.47%続伸。警戒感から上昇した金の短期トレンドはまだ下方向、欧州時間以降に売り込まれて1,280ドルのサポートラインを割れると1,260ドル台後半まで下落。強弱入り交じる米経済指標には反応薄、その後ウクライナ周辺での地政学リスク再燃により、1,300ドル寸前まで急反発。強引にねじ曲げられた形のトレンドの方向感はやや弱まり、サポートライン1,280ドルから1,330ドルのレジスタンスラインまでのレンジを維持。
プラチナ相場も0.41%の続伸。金に追随する流れで2月12日以来の安値水準となる1,380ドル台後半まで下げて反発、上値は1,417ドルまで。乱高下ながらも1,400ドルちょうどの節目近辺が意識される状況。基本的には下方向、1,350ドル近辺までの下落余地。南ア鉱山スト妥結に向けた交渉は週末も継続見込みとなり、警戒感も継続。
ドル円は0.2%続落。TPP合意見送りによる失望感から102円台前半へと水準を切り下げ、夜間には
新規失業保険申請件数の悪化を耐久財受注の好結果がカバーする形でドル買いが進んだものの102円60銭台が限界でウクライナ情勢への警戒感から急落。上向きかけた流れも102円台後半がレジスタンス化し、101円50銭台のサポートラインとの間で方向感模索の展開へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場4/24終値とチャート
国内金価格は4日ぶりの反発で0.49%上昇。4,600円のレジスタンス超えまでは下方リスク優勢で4,440円近辺の下値メドを試す流れが継続。
下落基調のNY金と上げ渋るドル円への警戒感のなか、急反発の金に安堵した形の国内金価格は、週間ベースでは-9円(-0.2%)となり、小幅に続落。
プラチナも0.4%の反発で4日ぶりの上昇。下落トレンドの度合いは金よりも少し強めで下値目標水準4,850円近辺を目指す流れは継続。
週間では-6円(-0.12%)とわずかにマイナス圏、3週続落。
※参考:
金プラチナ国内価格4/25とチャート
2014年04月25日(金)時点の相場
国内金:4,551 円 4/25(金)
▲22(
0.49%)
国内プラチナ:4,961 円 4/25(金)
▲20(
0.40%)
NY金:1,290.6 ドル 4/24(木)
▲6.0(
0.47%)
NYプラチナ:1,409.6 ドル 4/24(木)
▲5.7(
0.41%)
ドル円:102.31 円 4/24(木)
▼0.22(
0.22%)
4/24(木)のその他主要マーケット指標
株安・債券安・通貨安に格下げ、それでも強行姿勢のロシアの野望 04/26(土)日米首脳会談を皮切りに市場のゴールデンウィークがスタート 04/24(木)低迷続く中国景気と寒波からの回復基調が目立つ米国経済 04/23(水)トムソン・ロイターGFMSによる2014年金相場の見通し 04/22(火)
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