ユーロ高と戦うドラギ総裁が金相場に与える影響
更新日:2014年05月09日(金)
昨日、ECBが政策金利を0.25%維持、金融政策維持を決定したことでユーロドルは2011年10月以来の高値となる1.3990ドル台まで急騰し、その後のドラギ総裁会見では6月にも追加緩和の可能性を示唆したことで急落、1.3830ドル台まで下落しています。ドル円なら1円60銭の値幅に相当します。
比較的堅調に回復基調が続くようにも見えるユーロ圏経済も、ドイツ以外はまだまだ低調な国が多く、デフレリスクにも脅かされる状況。日本でも円高による物価下押し圧力でデフレが続き、景気低迷が続いたように、ユーロ圏でもユーロ高によるディスインフレが警戒されます。
これまでもECB要人やドラギ総裁によるユーロ高牽制発言は度々聞かれました。しかし、ユーロ売りは一時的で、下落幅以上に買われ続けるユーロにしびれを切らしたように、「6月にも」と具体的な時期を示して緩和を示唆。
これまでも「必要なら行動を」と度々発言してはいたものの、今度こそ本気度が違う、と市場は受け止めたようです。
ユーロドルの下落、つまりユーロが売られ、ドルが買われるケースでは、ドルが買われ易い流れで金も売られやすくなるケースも多々あります。昨日もユーロドル急落の局面では小幅ながら金も急落、金売りドル買いも追随した形。
最近のユーロドルと金相場の関係を見ると、90日間の相関係数では0.672。比較的強めの相関関係が見られます。30日間の相関係数は低く、短期的にも常に連動しやすい訳ではないことを示しますが、少し長めのレンジでは似たような動きになりやすいことを示します。
さらに、
ユーロドルと金相場の相関係数の推移チャートを見ると、90日間の相関係数がゆっくりと上昇基調にあり、2月頃までは全く連動性がなかったのに対し、3月後半から急速に相関関係が強まっていることが分かります。
かつてドラギマジックと言われ、口先だけでユーロ危機を救ったドラギ総裁が、今度こそ手を出す可能性が高まる6月、金相場も少なからず影響を受けることになりそうです。
NY市場、金相場は0.09%の小幅安で3日続落。ドラギECB総裁の追加緩和示唆発言を受けてユーロが対ドルで売られたのに追随するように金も1,280ドル台へと急落。しかし値動きは限定的で上下10ドルほどの小動きに終始。3月末以降のサポートライン1,280ドル台が下値を支え、1,330、1,360ドル方向への可能性も残る状況。もし、この厚めのサポートラインを下抜けた場合には大幅下落の可能性。
プラチナ相場は0.23%の小反発。現在のレンジは1,400ドルから1,460ドル、今年の主要レンジも1,400ドルから1,450ドル。そして昨日終値が1,438ドル、すぐ下に9、21、90日移動平均線が順に並び、主要レンジ中央付近の10ドル以内に価格と3本の移動平均線が集中する状態。今年、最も上下のバランスがとれた状態にあり、上下どちらにも大きく動き出し易い状態とも言える状況。どちらかと言えば、わずかに上方向優勢。
ドル円は0.23%の反落。週初までの102円台前半での揉み合い水準を今週は101円台後半へと切り下げたものの相変わらずの小康状態が継続。しかし確実に上値を切り下げる展開で目先は100円30銭近辺までの下落リスク。一目均衡表の雲のねじれにさしかかり、円高方向への流れが加速、もしくは円安方向へと流れが反転する可能性も、なくはない。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/8終値とチャート
国内金価格は0.44%安で続落。乱高下しながらも確実に下値も切り下がる流れとなり、ゆるやかな下落トレンドが継続。下値目標水準は4,440円近辺。上方向への節目は4,580円。
週間ベースでは-11円(-0.24%)となり、小幅ながらも4週続落。
プラチナも0.52%続落。上向きかけていた流れと上値目標は消滅し、4,990円台のサポートラインで下げ止まった状態。流れはほぼニュートラルでサポートライン割れなら4,900円割れへ、5,070円が当面のレジスタンスに。
前週末とは同一価格となり、週間ベースでは値動きなしの横ばい状態。
※参考:
金プラチナ国内価格5/9とチャート
2014年05月09日(金)時点の相場
国内金:4,506 円 5/9(金)
▼20(
0.44%)
国内プラチナ:4,994 円 5/9(金)
▼26(
0.52%)
NY金:1,287.7 ドル 5/8(木)
▼1.2(
0.09%)
NYプラチナ:1,438.1 ドル 5/8(木)
▲3.3(
0.23%)
ドル円:101.66 円 5/8(木)
▼0.24(
0.23%)
5/8(木)のその他主要マーケット指標
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