イエレン・ダッシュボードを見ると米国の利上げは遥か先?
更新日:2014年05月10日(土)
昨日、米労働省が発表した3月求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)によると、求人件数は401万4千件。2月の412万5千件からは減少。この内訳として、
求人率(雇用人数と求人数の合計に占める求人数の割合)は2.9%から2.8%へと低下。
退職率は1.8%で変わらず、
解雇率は1.2%から1.1%へと低下、
入職率は3.4%で変わらず。
これらの指標は、イエレンFRB議長が労働市場における回復状況を見る上で重要視していると思われる全9指標、いわゆる
イエレン・ダッシュボードと呼ばれる重要指標のうちの4つの指標。
残り5つの指標は雇用統計、今月は既に1周間前に発表されています。
非農業部門雇用者数(NFP)は前月比28.8万人と好調、
失業率は6.3%、
労働参加率は62.8%、
長期失業者の割合は35.3%、
広義の失業率は12.3%。
このなかで、金融危機によるリセッションに陥る前、2004-2007年の平均的水準を既に回復しているのは、NFPと解雇率の2つの指標のみ。
求人率はあと一歩のところで足踏み状態、失業率はかなり改善しているものの以前の5%にはもう少し。
その他の指標はまだまだ以前の水準には程遠い状況。
イエレンFRB議長が「労働市場は改善しているが満足する水準には程遠い」と発言する理由はこれらの状況を見ればわかります。
もし、「満足する水準」に到達するまで利上げはしないと考えているのなら、市場コンセンサスの2015年後半以降どころか、遥か先のことになる可能性も出てきそうです。
NY市場、金相場はほぼ横ばい推移の0.01%安、小幅ながら4日続落。ユーロ安ドル高傾向の流れやウクライナ情勢不安が交錯するなかでの小動き。サポートラインとして1,280ドルの重要な節目は維持しながらも方向感は喪失、ほぼニュートラルの状態で1,310ドルを上限とするレンジ内推移に移行。
週間ベースでは-15.3ドル(-1.17%)となり、3週間ぶりの反落。
プラチナ相場は0.57%の反落。1,400-1,460ドルのレンジ半ばに集中する3本の移動平均線の一番下、90日移動平均線にサポートされたところで上下どちらにも振れやすい状態。
週間では-10.8ドル(-0.75%)の反落。
ドル円は0.16%の小反発。ユーロ売りドル買いの流れに連れるようにドル買い円売りがやや優勢となるも値動きは限定的。下値は101円半ば、上値は102円付近までの小幅レンジでの推移が継続。流れはゆるやかな円高方向で100円30銭程度までの下押しリスクも継続中。
週間ベースでは-0.37円(-0.36%)の反落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/9終値とチャート
2014年05月10日(土)時点の相場
国内金:4,506 円 5/9(金)
▼20(
0.44%)
国内プラチナ:4,994 円 5/9(金)
▼26(
0.52%)
NY金:1,287.6 ドル 5/9(金)
▼0.1(
0.01%)
NYプラチナ:1,429.9 ドル 5/9(金)
▼8.2(
0.57%)
ドル円:101.82 円 5/9(金)
▲0.16(
0.16%)
5/9(金)のその他主要マーケット指標
ドル円の月間値幅3ヶ月平均で2円台前半は歴史的な小動き 05/12(月)ユーロ高と戦うドラギ総裁が金相場に与える影響 05/09(金)ドル円と米10年債金利との関係と金相場 05/08(木)市場に漂う不透明感から株安円高加速リスクも 05/07(水)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン