米国の金融政策決定において、FRBのイエレン議長が注目する雇用関連指標のなかで最も重要とされる9つの指標。金融引き締め(政策金利引き上げ)開始時期決定の判断材料となる重要な指標であり、一部のメディアではイエレン・ダッシュボード呼ばれます。
失業率6.5%以下を利上げ検討の目安としていたフォワードガイダンスが意味をなさなくなっていた2014年3月のFOMCで失業率の表現を撤廃し、イエレン議長は、インフレや金融情勢などを含めた幅広い情報を考慮すべき、と表明していました。
そのなかで特に重要な9つの雇用関連指標は以下のとおり。
(※括弧内はリセッション前の水準(2004-2007年の平均))
1)非農業部門雇用者数増減数(+16.2万人)
2)失業率(5%)
3)労働参加率(66.1%)※生産年齢人口に占める就業者と求職者の割合
4)長期失業者の割合(19.1%)※失業が半年以上継続
5)広義の失業率(8.8%)※フルタイム就業希望者がパートタイム労働の場合を含む
(以上5つは雇用統計で発表)、
6)求人率(3%)※雇用人数と求人数の合計に占める求人数の割合
7)退職率(2.1%)
8)解雇率(1.4%)
9)入職率(3.8%)
(以上4つは月次求人労働異動調査で発表)。
全部で9つの指標のうち、2014年5月上旬時点でリセッション前の水準に回復しているのは、非農業部門雇用者数と解雇率の2つのみ。リセッション前の水準にはまだまだ及ばない指標も多く、労働参加率に至っては史上最低レベル。
もし、全ての指標がリセッション前の水準に回復するまで利上げしないと仮定すると、その時期は相当先のことになってしまいそうです。
見直しは入ることになるのかもしれませんが、今後のFRB動向を占う参考材料の一つにはなりそうです。
※参考:Bloomberg - Yellen’s Labor Market Dashboard
最終更新:2014年05月09日