地政学リスクは限定的、リスクオンも限定的
更新日:2014年06月18日(水)
中東、イラクでは、イスラム教スンニ派の過激派武装組織と政府軍との戦闘による混乱が続き、武装組織による北部主要都市の制圧や首都バグダッドへ向けての南下、侵攻も懸念され、米国の対応を含めて今後の動向も気になるところです。この混乱を背景に原油価格は高止まりとなってはいますが、イラクの原油生産の4分の3は南部にあり、この戦闘による影響は今のところ受けていない、ということのようです。
また、東欧では、ロシアとウクライナの天然ガス価格をめぐる協議が決裂したのを受け、ロシアの国営会社ガスプロムがウクライナへの天然ガス供給を停止しました。欧州へのガス供給への影響も懸念されるところですが、欧州向けの供給は継続するとのことで、万が一のことがあっても欧州側の天然ガス在庫は3年ぶりの高水準にあり、影響は当面、限定的と見られるようです。(ウクライナのガス代金支払問題は残っているようですが)
さらに南米、
アルゼンチンではデフォルトリスクが高まっています。しかし、今年1月のアルゼンチン・ペソ急落でもそうだったように、閉ざされた市場とも言えるアルゼンチンの国債がデフォルトとなった場合でも、その影響は限定的との見方が大勢のようです。
一方、昨日発表された5月の米消費者物価指数は市場予想を上回る伸びを示し、前年同月比では2.1%上昇と、2012年10月以来で最大の伸びを示し、FRBも懸念する米国の低インフレを緩和する好材料に。しかし、先日発表された2014年の米国の成長率見通しは引き下げ方向。世界銀行は前回の2.8%から2.1%へと引き下げ、IMFも2.8%から2.0%へと引き下げています。(明朝のFRBによる四半期見通しが気になるところではありますが)
地政学リスクも、リスクオン材料もいずれも限定的で、市場の動きも限定的、そんな状態がまだまだ続きそうな状況です。
17日のNY市場、金相場は7日ぶりの反落となる0.26%安。米5月の消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことによるドル買い加速を受けて1,258ドルまで売られると、買戻しで反転、イラク情勢への警戒感が続くことなども引き続きサポート材料となり、長い下ヒゲを残す十字線を形成。FOMCへの警戒感からここから上値も重い状況に。1,240-1,290ドル台のレンジでゆるやかに上向きの流れが継続中。
プラチナ相場は0.28%上昇で続伸。先週の南ア鉱山スト終結に向けた原則合意以降の詳細が伝わらないことで下げ止まりから反発傾向へ。1,430-1,480ドル台のレンジ内で流れは下方向。下限割れなら1,400ドル近辺までの下落余地拡大へ。
ドル円は0.3%の反発。大きな流れでは101円から102円台を中心とするレンジが数ヶ月間続く状態は変わらず、しかし6月上旬からの下落基調はレジスタンスを上抜けた可能性もあり、101円割れへのリスクは後退。101円60銭台を下限に上方向は102円80銭台が節目となり、方向感を模索する状態。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/17終値とチャート
国内金価格は0.16%の小反発。短期的な上向きの流れが4,500円のレジスタンスラインに押さえられた状態が継続。早期突破出来たなら、4,500円超えを目指して加速の可能性。この近辺での停滞が長引くと徐々に流れが変わる可能性。
プラチナは5日ぶりの反発で0.18%の小幅高。短期的な下落の流れが5,020円台のサポートライン手前でいったん下げ止まり。しかし売り圧力が強い状況は継続、サポートラインを下抜けると4,950円近辺までの下落リスク。上方向には今年高値水準5,170円がレジスタンス。
※参考:
金プラチナ国内価格6/18とチャート
2014年06月18日(水)時点の相場
国内金:4,474 円 6/18(水)
▲7(
0.16%)
国内プラチナ:5,043 円 6/18(水)
▲9(
0.18%)
NY金:1,272.0 ドル 6/17(火)
▼3.3(
0.26%)
NYプラチナ:1,443.1 ドル 6/17(火)
▲4.0(
0.28%)
ドル円:102.14 円 6/17(火)
▲0.31(
0.30%)
6/17(火)のその他主要マーケット指標
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