地政学的リスクへの警戒感継続も市場は脱リスク回避を先行
更新日:2014年07月19日(土)
ウクライナ東部でのマレーシア機墜落は親ロシア派による撃墜である可能性が高まり、しかし誤射との見方も強まるなか、米国側は事故ではなく撃墜、しかもロシア軍による支援もあったとの見方も。いずれにしてもロシアのプーチン大統領は孤立の危機に瀕し、ウクライナの連邦制確立への思惑にも暗雲が。
イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザへの侵攻に対して、イスラム原理主義組織ハマスの徹底抗戦は続き、イスラエル軍は予備役の追加招集も決め、戦闘長期化への懸念も高まります。
そんな地政学的リスクを横目に市場はリスク回避の巻き戻し。前日32.18%高と急騰した
VIX指数指数は17.06%の急反落、NYダウは0.73%の反発であっさりと17,100ドルまで戻し、米株高、債券高(金利低下)、ドル買い円売りの流れに。為替市場では対円でのドル高は小幅にとどまったものの、豪ドルが対ドルで0.5%高、インドルピーも0.5%高、トルコリラは0.8%高、南アランドは0.9%高、ブラジルレアルは1.4%高となるなど、高金利通貨がいずれも大幅上昇。まるでリスク選好地合いかのような買い戻しの勢いも。
最近では米長期金利次第、という状況の
ドル円と米10年債金利の相関性は相変わらず高く、同じような動きが続きます。
その
米10年債金利は今年最低となった5月28日の2.443%に迫る2.445%まで下落して反発した状況。
ドル円も終値ベースでは2月3日につけた今年安値100円97銭に次ぐ安値となる101円17銭まで下落して反発したところ。
もちろん、反発の流れがこのまま続く可能性は、現時点では決して高いとは言えませんが、米10年債金利もドル円も、ともに今年の2番底をつけて反発へと向かう、という新たなシナリオも考えられそうです。
18日のNY金相場は0.57%の反落。6月末から7月半ばまでのサポートラインとなっていた1,310ドル台半ばが上値抵抗となった形。ただし急騰分の半値戻しにも至らず、1,300ドルの大台もしっかりキープ。地政学的リスクの進展こそないものの、解消した訳ではないことを象徴するような値動きに。7月10日高値1,346.8ドルをピークに調整局面に入り、1,280ドル程度までの下落も予想された流れがやや捻じ曲げられそうな状況。
週間ベースでは-28ドル(-2.09%)となり、7週間ぶりの反落。2011年8月以降で最長となっていた週間ベースでの続伸記録は先週までの6週でストップ。
プラチナ相場は1,500ドルの大台回復からわずか1日で0.92%の大幅反落。昨年夏以降のレンジ上限1,500ドルを超える水準での安定推移を続けることはまだ困難な様子。本来の流れに戻りつつあるなら、1,470ドル前後までの下落の可能性が高まる状況。
週間ベースでは-23.9ドル(-1.58%)で5週間ぶりの反落。
ドル円は0.2%の反発。朝方の101円00銭台が円高ピークとなって折り返し、反発傾向を強めると一時101円40銭台まで上昇、その後は101円30銭台での小康状態へ。下方向への重要な節目となっていた101円30銭割れの状態からは1日で脱出も上値の重い状態も継続し、100円台半ば辺りまでの円高進行リスクも継続。90-21-9日移動平均線が上から降順に並んだその下に価格ラインが位置する逆パーフェクトオーダーの状態も継続。
週間ではわずかに+0.04円(+0.04%)とほぼ横ばい推移。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/18終値とチャート
2014年07月19日(土)時点の相場
国内金:4,597 円 7/18(金)
▲48(
1.06%)
国内プラチナ:5,218 円 7/18(金)
▲38(
0.73%)
NY金:1,309.4 ドル 7/18(金)
▼7.5(
0.57%)
NYプラチナ:1,489.9 ドル 7/18(金)
▼13.8(
0.92%)
ドル円:101.37 円 7/18(金)
▲0.20(
0.20%)
7/18(金)のその他主要マーケット指標
変動率低下で警戒感高まる株と為替、金とプラチナも 07/21(月)台頭し始めた金利先高感と株高の流れに地政学的リスクの冷水 07/18(金)金利の先高感が反映される欧州通貨、されない円と金 07/17(木)イエレン語録「米経済の回復、まだ」 07/16(水)
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