猛暑の夏、米経済回復基調の力強さ確認フェーズへ
更新日:2014年07月31日(木)
米商務省が発表した第2四半期GDP速報値は、前期比年率+4.0%となり、予想の+3.0%を大きく上回りました。ネガティブ・サプライズとなっていた第1四半期の-2.9%も-2.1%へと修正され、寒波の影響による落ち込みもそれほど酷くはなかったことになり、上半期の成長率は+0.9%に。また、2013年下期は+3.4%から+4.0%へと上方修正。これに伴い、2013年通年でも+1.9%から+2.2%へと修正。
今回はポジティブ・サプライズとなった形で金利もドルも、瞬間的には米株も急上昇で反応。成長率の回復に力強さが見え始めると、金融政策のタカ派寄り化とともに早期利上げ観測台頭へとつながることから、米株上昇は長続きせず、逆に反落の流れへ。
FOMCの声明文では、インフレ傾向はやや改善し、労働市場も改善傾向。しかし、依然「労働資源は著しい未活用状態」といわゆる労働市場の「ゆるみ」を強調し、ゼロ金利の当面の継続方針を再表明。
これにより、米株反落のながれも緩和されて反発へ。結局NYダウは前日比0.19%の小幅下落にとどまり、S&PとNASDAQは小幅高。なお、金相場も米株と同様の流れとなりつつあります。
実体経済回復基調への市場の敏感な反応を、FRBがその見解によって押さえるかのような構図が確立しつつあるようです。
なお、FRB内部では「ゼロ金利当面継続」は景気の勢いを適切に反映していないと主張するタカ派のフィラデルフィア連銀・プロッサー総裁が反対票を投じました。今後、徐々に反対票が増えることも想定されそうです。
猛暑の夏本番を迎え、株価急落など市場の混乱は回避したいイエレンFRB議長と、タカ派委員に牽引されて早期利上げを織り込み始めようとする市場との、暑いバトルも始まろうとしています。
30日のNY金相場は0.26%の小幅続落。米GDP上振れに伴うドル全面高に対する金売りも限定的。ウクライナ、ガザの地政学リスクへの警戒感がサポート材料となる状況が継続していることを象徴するような底堅さ。1,300ドル前後での保ち合い状態がしばらく継続か。上方向の節目は1,320ドル。下方向へは1,290ドルがサポート水準となりつつあるものの、1,280ドル近辺までの再下落の余地はあり。
プラチナ相場も0.18%の小幅続落。ゆるやかな下落基調が続くも、その勢いも徐々に弱体化。中期上昇トレンドを崩すことなく変動幅も縮小中。下限の1,470ドルに対して上限は1,500ドル台から、1,490ドル台へと低下傾向。この近辺での保ち合い継続の可能性とともに、レンジブレイクをきっかけに、やや大きめの動きへと発展する可能性も。
ドル円は0.66%の大幅高で9営業日続伸。終値ベースでは6月4日以来となる102円70銭台、高値では5月2日以来の103円台まで上昇。久々に90-200日移動平均線を超えた前日からさらに上値を伸ばし、いくつかの節目をまとめて上抜けた形。米7月の
ADP雇用者数は予想を1.2万人ほど下回ったものの、5月分が+3.5万人上方修正されており、決して悪い数字ではなかったものの、ややインパクトに欠けた様子。その後の第2四半期GDP速報値の好結果に伴う米長期金利上昇に連れて、ドル高の流れが急加速。
目先の上値目標水準となっていた102円台半ばを瞬間的にクリアした後も堅調推移が継続。一時103円台まで上昇していることで、次の高値目標水準となる103円台半ばへの可能性も急速に高まった様子。少しだけ長めのスパンでは、今年高値更新となる106円前後まで上値余地が拡大した可能性も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/30終値とチャート
31日の国内金価格は0.35%の反発。急速な円安進行に伴う上昇で上方向への節目4,600円トライへの可能性も高まってきた状態。4,500円近辺までの下落リスクに対しては、4,526円までの下落で流れが変わりつつある状況に。4,520円台から4,600円までのレンジで揉み合いか、上抜けか。
月間ベースでは+6円(+0.13%)。なんとかプラス転換で続伸。
プラチナは0.58%の反落。7月18日以来、2週間ぶりの高値水準となり、上方向への節目5,220円も目前。現時点では下向きの流れが完全に変わった訳ではないものの、節目上抜けなら年初来高値更新、さらに5,300円の大台トライへの可能性も浮上。
月間では+102円(+1.99%)の堅調推移で4ヶ月続伸。
※参考:
金プラチナ国内価格7/31とチャート
2014年07月31日(木)時点の相場
国内金:4,582 円 7/31(木)
▲16(
0.35%)
国内プラチナ:5,218 円 7/31(木)
▲30(
0.58%)
NY金:1,294.9 ドル 7/30(水)
▼3.4(
0.26%)
NYプラチナ:1,481.9 ドル 7/30(水)
▼2.6(
0.18%)
ドル円:102.79 円 7/30(水)
▲0.67(
0.66%)
7/30(水)のその他主要マーケット指標
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