ECB、追加緩和示唆よりも全会一致に安心感
更新日:2014年11月07日(金)
ECBのドラギ総裁は、ECBのバランスシートを2012年初頭の水準へと拡大することを表明しました。ユーロ圏のデフレ危機回避の為には、欧州債務危機脱出に向けて対応していた時期と同等の規模にバランスシートを拡大する必要性があると判断し、景気刺激のためには非伝統的な手段も使う、と追加緩和も示唆。
さらに市場の安心感を誘ったのは「全会一致」。理事全員の承認を得ていることを強調することで、最近ささやかれるECB内の不協和音の噂を払拭することが最も重要との思いも見え隠れ。
バランスシートを2012年初頭の規模に拡大することは9月の会見でも言及していましたが、この時、理事会で具体的な数値は公表しないことを合意した直後にドラギ総裁が目標数字に言及したことを発端に不満が高まっていたもよう。トリシェ前総裁に比べてドラギ氏は秘密主義で合議的でない、など批判的なコメントが関係者からも聞かれ、ドラギ総裁は辞任してイタリア大統領に就任する?などの噂まで飛び出していた状況からの脱却が、最優先課題となっていました。
欧州債務危機の時にはドラギ・マジックと言われてもてはやされ、最近では、ドラギ・マジックとは何もしないこと、と揶揄され、信頼感低下も懸念されるドラギ総裁は、リーダーシップと信頼感回復とともに、2度めの危機回避を目指します。
とりあえず、FRBのバランスシート縮小に向けた政策転換を、日欧のバランスシート拡大で補い、市場への影響を最小限に抑える方向性が確立中です。
6日のNY金相場は0.27%の小幅安ながら7営業日続落。ドラギECB総裁会見では上下に振れる場面もあったものの、前日から続く1,140ドル台での保ち合い状態が継続、短期目標水準1,100ドル台半ばでの横ばい推移。米経済指標に敏感に反応するドル円相場との逆相関性が最大水準に高まり、雇用統計の結果がポジティブなら大きく下振れの可能性。一時的に1,100ドルの大台を割れることも。
プラチナ相場は3日連続1%超の大幅続落。終値での1,200ドル割れは2009年7月以来5年4カ月ぶり。ただし安値では1,193.4ドルまでにとどまり、10月6日の今年安値1,186.5ドル以上をキープし、短期下値目標1,200ドル前後の水準を維持した状況。短期的には金との連動性が弱まっていた状態から、以前のように強まる傾向にあり、金に連れ安の流れとなった場合には一時的に1,150ドル前後までの下落も想定される状況。
ドル円相場は0.49%の続伸。日本時間12時半過ぎには2007年11月1日以来7年ぶりの高値水準となる115円50銭台まで上昇して反落、2時間経たないうちに114円00銭台まで1円50銭の急落と荒々しい値動きで高値圏での警戒感も高まる状況。しかしユーロ売りに伴うドル買いなどにも支えられてNY時間には115円台を回復するなど相変わらずのドル買い円売り意欲の強さも感じられる状況。目先のサポートライン113円半ばを維持できれば、大きく上値を伸ばす余地も十分あり。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/6終値とチャート
7日の国内金価格は0.31%の小反発。4,510円台から4,570円台のレンジをわずかに下抜けたところからいったんレンジ内回帰。やや乱高下状態にあり、雇用統計の結果次第で上下に大きく振られる展開も。下方リスクがやや優勢、下値トライ時のメドは4,430円近辺。
プラチナ価格は0.36%の小幅安で3日続落。短期トレンドはゆるやかな上昇傾向を維持、上方向への節目4,780円到達ならさらに大きく上値余地拡大見込み。金に連れて急落し、下値サポートライン4,660円台を割れるようなことがあれば流れが大きく変わる可能性も。
※参考:
金プラチナ国内価格11/7とチャート
2014年11月07日(金)時点の相場
国内金:4,526 円 11/7(金)
▲14(
0.31%)
国内プラチナ:4,732 円 11/7(金)
▼17(
0.36%)
NY金:1,142.6 ドル 11/6(木)
▼3.1(
0.27%)
NYプラチナ:1,197.1 ドル 11/6(木)
▼13.5(
1.12%)
ドル円:115.21 円 11/6(木)
▲0.57(
0.49%)
11/6(木)のその他主要マーケット指標
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