満月の日の雇用統計が期待はずれとなった理由
更新日:2014年11月08日(土)
10月半ば以降、急速なドル高傾向が進んできたところで迎えた
米雇用統計は、好調な結果を期待する向きも多く、結果次第ではドル高の流れがさらに加速していたかもしれない状態で、やや期待はずれな結果となりました。
しかし、数字自体はそれほど悪い訳ではありません。
失業率は2008年7月以来、6年3ヶ月ぶりの低水準となる5.8%へと低下し、非農業部門雇用者数(NFP)は市場予想の+23.5万人こそ下回ったものの、9カ月連続での前月比+20万人以上を維持し、6カ月平均では+23.53万人、3カ月平均でも+22.4万人と好調を維持。
その他の指標では、
低迷中の労働参加率は前月の62.7%から62.8%へとわずかに上昇。
長期失業者の割合は回復基調ながら32%、前月の31.9%と合わせて足元やや停滞。
広義の失業率(
U6失業率)は前月の11.8%から11.5%へと低下、2008年9月以来6年1ヶ月ぶりの低水準へと改善。
平均時給は24.57ドル、前月比わずか+0.16%、前年比+1.99%にとどまり、
2009年以降続く2%近辺での横ばい推移が継続中。
気になる「労働市場のたるみ」は継続し、強弱入り交じる結果にも、やはり代表的指標となる(U3)失業率の低下とNFPの堅調推移に米労働市場の好調さは表れます。
なお、NFPの数値は必ずと言っていいほど、上方修正されます。下方修正されたのは過去2年間のうち今年1回、昨年1回の2回のみ。その下方修正分を含む平均修正幅は、2014年分だけでも月あたり+2.2万人。過去2年間では+2.9万人となっています。
今回発表された10月のNFP+21.4万人は、いずれ+24万人程度へと上方修正される可能性がかなり高いことになります。
満月の日に発表される数値が好結果となることによって、ドル高の流れがさらに急速に進むことを懸念した当局側から何らかの圧力が働いたのではないか、と邪推したくなるような微妙な数値です。
7日のNY金相場は2.38%の大幅上昇で8営業日ぶりの反発。東京時間に一時2010年4月以来4年7カ月ぶり安値を更新する1,130ドル台まで下落後、1,140ドル台半ばで迎えた米雇用統計の結果に急騰。過熱感MAXの状態からようやく反発のきっかけを与えられたことで今年2番めの上げ幅となり、1,170ドル台後半まで上昇。結果的に1,100ドル台半ばの短期目標水準到達後、やや行き過ぎた後に反発に転じた形。1,140ドルが当面のサポートラインに。
週間ベースでは-1.8ドル(-0.15%)の小幅安で3週続落も長い下ヒゲを残し、反発の可能性を示唆。
プラチナ相場も金に連れ高、1.31%の大幅高で4日ぶりの反発。下押し局面では10月6日の今年安値1,186.5ドル付近となる1,188.2ドルまで下げて2番底を形成(の可能性)、1,200ドル前後の短期下値目標水準が底値となって反発基調へと向かう可能性も。1,240ドル台と1,190ドル台が上下の節目として意識され、短期的にはまだ下向きのトレンドにも変化の兆し。
週間ベースでは-22.4ドル(-1.81%)の大幅安で4週続落。
ドル円相場は0.53%の反落。雇用統計発表直前に7年ぶり高値115円50銭台を瞬間的ながらわずかに更新したことからも、ポジティブな結果を期待する向きの強さが感じられ、発表直後の急落、それほどネガティブな結果ではないことからの急反発後の調整局面進行も、それを裏付けるような流れに。引け際には114円台半ばで揉み合う状態となり、利確と調整売り、押し目買いとの交錯。ここまで急速に進んできたドル高円安の流れがいったん区切りをつける可能性も。現時点では、120円方向へと向かう可能性を維持、113円台半ばがサポートライン。揉み合い傾向が続くようなら115円台前半が抵抗線として存在感を高める可能性。
週間ベースでは+2.24円(+2.0%)で3週続伸。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/7終値とチャート
2014年11月08日(土)時点の相場
国内金:4,526 円 11/7(金)
▲14(
0.31%)
国内プラチナ:4,732 円 11/7(金)
▼17(
0.36%)
NY金:1,169.8 ドル 11/7(金)
▲27.2(
2.38%)
NYプラチナ:1,212.8 ドル 11/7(金)
▲15.7(
1.31%)
ドル円:114.60 円 11/7(金)
▼0.61(
0.53%)
11/7(金)のその他主要マーケット指標
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