米住宅市場の大幅改善傾向に動き出したドル円相場
更新日:2015年05月20日(水)
4月の米住宅着工件数は年率換算で前月比20.2%増となり、件数では7年5カ月ぶりの高水準となる113.5万件、市場予想も大きく上回り、増加率では1991年2月以来、実に24年ぶりの伸び率に。3月が悪すぎたとも言えるものの、3月分も92.6万件から94.4万件へと上方修正。また、季節的に4月は伸びやすいという特性はありながらも、昨年4月の103.9万件、7.9%増を実数でも伸び率でも大きく上回る水準。さらに、先行指標となる建設許可件数の114万件、前月比10.1%増という数値も昨年4月の107.4万件、+1.2%を大きく上回り、件数では2008年6月以来約7年ぶりの高水準に。
低調続きだった4月分の指標のなかで、まずは住宅市場に改善傾向が見られたこと、しかもサプライズ的にポジティブな結果となったことでドル買いの流れが加速しました。保ち合い状態から抜け出して120円台後半へと上昇、今朝時点では一時120円97銭辺りまでドル高円安が進行しています。
昨日時点で、
近年まれに見る膠着状態となっていた5月のドル円相場の変動幅は、今朝の変動幅を含めると1.75%程度に拡大しています。しかし、まだ4月の1.94%にも及ばず、2カ月連続2%未満という膠着状態からは抜け出し切れてはいない状況、と言えそうです。
ドル円の1日あたりの変動値幅を見ると、今年の平均は0.946円、変動率では0.79%。これを上回る0.8%以上の変動率となった日は、今年ここまでで40日を数えます。そのうち33日が3月まで、4月は6日間、5月はまだ1日しか記録していない状況。その唯一の日は先週の13日、
米4月の小売売上高が低調な結果となって119円台前半へと大幅下落となった日でした。
その小売や消費、物価、製造業の景況感、貿易収支や賃金などに、住宅市場に続き回復傾向が見られ始めるようになれば、ようやく本格的にドル高再開の流れが加速し始め、膠着状態からの脱却も本格化するものと思われます。
現在は、その流れの一端が垣間見られたに過ぎない状態、かもしれません。
19日のNY金相場は1.7%の大幅下落となり、6日ぶりの反落。欧州時間にはクーレ欧州中銀専務理事のECB量的緩和ペース加速発言でのユーロ急落に伴うドル買いの流れに押されて1220ドル割れ、いったんは戻した後、米4月住宅着工件数のポジティブ・サプライズを受けて再び1220ドル割れ、1210ドル割れへと売られる展開。上値目標1230ドル台に到達し、3カ月ぶり高値水準となっていたことにより下落幅はやや拡大。結果的に今年の高安50%ライン1224.7ドルが抵抗水準となった形。安値では38.2%ライン1205.1ドルちょうどで下げ止まり、90日移動平均線をわずかに下回る水準でもあり、中期的なニュートラル水準に戻って次の展開へ。
プラチナ相場も6日ぶりの反落で2.34%の大幅安。目標水準1180ドル台にはわずかに届かなかったものの、5日続伸で寸前まで上昇したことによる達成感から反落し易い状態だったこともあり、3カ月ぶりの下げ幅に。50%ライン1188.5ドルにタッチできずに反落し、38.2%ライン1164.5ドルも下抜けたところに、金と比較して地合いの弱さがうかがえる状況。1120ドルから1180ドルのレンジで方向感模索の展開へ。
ドル円は0.59%上昇し4日続伸。4月の住宅指標が大幅改善を示したことでドル買いの流れが加速、1カ月ぶりのドル高円安水準となる120円70銭台まで上昇し、120円台前半のレジスタンスを上抜けたことによりレンジ相場から脱出、ドル高円安の流れが加速する可能性。目先の上値メドとしては終値ベースでの今年高値121円台半ば。少し時間を要するとしても、利上げ見通し状況がタカ派寄りに傾くなどの材料次第で123円台半ば辺りまでの上昇余地も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/19終値とチャート
20日の国内金価格は6日ぶりの反落で0.56%安。予想どおりの反落も予想外の円安サポートが入り、下げ幅は限定的に。90日移動平均線を上回り、5000円台を維持する堅調な状態が継続。ただしNY金減速によるサポートレスの影響のほうが強く、いったん調整フェーズとなる可能性のほうが優勢か。
プラチナも6日ぶりの反落となり0.95%の下落。3カ月ぶりに上抜けた90日移動平均線が抵抗水準となって反落、この4840円台が当面の抵抗線に。サポートライン候補としては4月末から5月初旬の揉み合い水準となった4720円台。
※参考:
金プラチナ国内価格5/20とチャート
2015年05月20日(水)時点の相場
国内金:5,011 円 5/20(水)
▼28(
0.56%)
国内プラチナ:4,796 円 5/20(水)
▼46(
0.95%)
NY金:1,206.7 ドル 5/19(火)
▼20.9(
1.70%)
NYプラチナ:1,150.9 ドル 5/19(火)
▼27.6(
2.34%)
ドル円:120.69 円 5/19(火)
▲0.70(
0.59%)
5/19(火)のその他主要マーケット指標
世界の金大国におけるこの1年間の金価格推移 05/21(木)年間でも月間でも近年まれに見る膠着状態にある5月のドル円相場 05/19(火)大阪都構想否決に見る欧州での住民投票の難しさ 05/18(月)低迷状態が続くNY連銀製造業景気指数の長期推移 05/16(土)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン