世界の金大国におけるこの1年間の金価格推移
更新日:2015年05月21日(木)
NY金相場は、このところ1200ドル付近で落ち着いた状況となっていますが、1年前と比較するとその水準は切り下がっています。
昨年5月20日のNY金相場は1,294.6ドル。この1年間で85.9ドル下落し、騰落率は-6.6%。
世界の主要金産出国における金価格推移を見てみると、
オーストラリア:+9.6%
ロシア:+34.4%
カナダ:+4.4%
南アフリカ:+5.9%
いずれも金価格は上昇しています。対ドル為替レートがいずれも自国通貨安となっていることにより、NY金相場の下落分をカバーしても余るほどの通貨安となっている状況です。
とりわけロシアでの価格上昇は突出していますが、年末年始のロシア通貨危機状態と今年1月のNY金相場上昇とが重なった時期の98%上昇(約2倍!)となった時からは随分と落ち着いてきた状態です。
金産出国にとって、価格下落に伴う採算性悪化の懸念は、今のところはなさそうです。
世界の金消費大国における金価格推移を見てみると、
インド:+1.3%
中国:-7.2%
トルコ:+14.0%
ユーロ圏:+15.3%
2大金消費大国のインドは小幅上昇にとどまり、中国では下落しています。変動相場制への移行中の中国では新興国通貨安のような急激な為替変動はまだ押さえられていることもあり、NY金相場の変動がほぼそのまま反映されています。
金消費大国にとっての価格安定、下落は需要増が見込まれることになりそうです。
新興国通貨の代表格でもあるトルコリラ安が続くトルコと、ECBの量的緩和の影響でユーロ安となったユーロ圏のドイツなどでは、消費需要の低下が懸念されます。
なお、日本の金価格はこの1年で+11.8%(※上記国々と同一条件で計算、実勢価格では+11.4%)。
トルコやユーロ圏には及びませんが、やはり消費需要は低迷し、リサイクルのニーズが増えそうな状況です。
20日のNY金相場は0.17%の小反発。1200ドル台での揉み合う展開となり、前日の大幅安からの流れは1200ドルを割れることなく、いったん下げ止まりの状態。NY引け後のFOMC議事要旨で、6月利上げには慎重派が多数を占めることが示されると1210ドル台前半へと反発する場面も。1230ドルが当面の上値抵抗線となり、1200ドル台での底値固めができるかどうか。中長期的には緩やかな下落トレンドが続き、短期的には上昇トレンドが失速し、再開か反落か、レンジ移行かの見極めフェーズへ。
プラチナ相場は0.52%の反発。前日の下げ幅が拡大し過ぎた分だけ反発値幅もそれなりに。結果的に1150ドルの節目ラインで下げ止まって反発し、このラインが目先のサポートラインとなる可能性も。21日移動平均線をゴールデンクロスした9日移動平均線にもサポートされつつ、上値を切り下げる90日移動平均線との間で揉み合い形成か。
ドル円は3日連続での0.5%前後の上昇となり、5日続伸。堅調推移の状態が続き、終値ベースでの121円台は3月17日以来2カ月ぶり。FOMC議事要旨にはやや乱高下の反応となり、瞬間的にはこの日の高値121円48銭まで上昇。結果的に短期的な上値メド、今年終値ベースでの高値121円45銭に到達。若干の調整をはさみながらも、上昇トレンドはまだしばらく続きそうな状況にあり、長期保ち合い上放れに伴い今年最高値122円を超える可能性は十分にあり、123円台半ばあたりまで上値を伸ばす可能性も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/20終値とチャート
21日の国内金価格は0.44%の反発。上昇トレンド中の調整もいったんは限定的となり、調整幅拡大へと向かう可能性よりも、再度上値トライへと向かう可能性のほうがやや優勢となってきた様子。5040円台にのせてくると、上値余地が大きく拡大する可能性。逆に5010円台、5000円台を割れた場合には調整幅は4950円程度まで拡大。
プラチナも0.63%の反発となり、再度上値トライへと向かう可能性も。90日移動平均線と4850円までが抵抗水準に。抜けると4900円台を目指して上昇トレンド加速の可能性。ただし4790円台を割れると4700円台前半へと大幅調整の可能性も。
※参考:
金プラチナ国内価格5/21とチャート
2015年05月21日(木)時点の相場
国内金:5,033 円 5/21(木)
▲22(
0.44%)
国内プラチナ:4,826 円 5/21(木)
▲30(
0.63%)
NY金:1,208.7 ドル 5/20(水)
▲2.0(
0.17%)
NYプラチナ:1,156.9 ドル 5/20(水)
▲6.0(
0.52%)
ドル円:121.33 円 5/20(水)
▲0.64(
0.53%)
5/20(水)のその他主要マーケット指標
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