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米国の利上げ賛否に白熱する世界の片隅でひっそりと格下げされる国
更新日:2015年09月17日(木)
経済協力開発機構(OECD)の見通しでは、今年の世界経済見通しを6月時点の+3.1%から3.0%に引き下げ、2016年見通しも3.8%から3.6%へと引き下げました。中国やユーロ圏、日本、新興国など全般に低調な見通しが続く中で、今年の米国経済見通しは2.0%から2.4%へと上方修正。米国経済が世界を牽引する構図が鮮明となっています。その経済状態良好な米国がわずか0.25%程度の利上げを行うかどうかに対して世界中のマーケット関係者の議論は白熱。

日本時間18日早朝に利上げか、今回は見送りかの発表を前に周囲は賛否両論。ここにきて否定論のほうが圧倒的優勢となり、CMEフェドウォッチも今回の利上げ確率23.14%の状態で結論を見守る状態に。イエレン議長の元顧問までもが完全雇用には程遠く、2016年に入ってもしばらくは現状維持すべき、との見解を示したようです。
しかし、米国経済の成長率見通しを引き上げたOECDは、現状の不透明感払拭の為に早期利上げに賛成の立場を表明したようです。通貨安や資金流出、ひいては格下げリスクも抱える新興国のなかでも、早期利上げ決定を支持する声も出ているようです。
かつてないほどに世界中の注目を集める米国の利上げ動向を巡り、現時点での結論がもうじき発表されることになります。

そんなタイミングでひっそりと格下げされた国もあります。日本国債の格付けが米国の格付け会社S&Pによって「A+」へと格下げされました。2年半前に見通し「ネガティブ」として格下げを前提とした様子見状態に入っていたS&Pは、当時スタートしたばかりのアベノミクスによるデフレ脱却、経済再生、成長戦略と財政再建に向けた取り組みに注目していました。
しかし、2年半経過した今、その進捗の遅さにしびれを切らした様子です。ある意味予定通りの格下げとは言え、これで格付け大手3社全てから「A+」相当以下、上から5番目、フィッチだけは6番めの「A」に格付けされ、「シングルA」クラス。同じアジアの主要国でも香港の「トリプルA」、サウジ、韓国、中国の「ダブルA」に大きく水を空けられた格好です。

米国とは対照的に経済回復が思うように進まず、デフレ脱却もままならず、足下では政局不安への懸念も拡大しかねない状況の日本は、1段階格下げされたからといってすぐに悪影響が懸念されることはないにしても、いずれ金融政策が正常化に向かえば国債金利も上昇し、悪い円安が進行してしまう可能性もあります。
米国の利上げに伴う新興国通貨安や格下げリスクを心配する前に、自国の格下げリスクをもう少し心配するべきかもしれません、、、。

NY金・日足チャート 2015/8/17 - 9/1616日のNY金相場は1.49%の大幅反発。米8月の消費者物価指数が前月比マイナスに落ち込むと、利上げ先送りを織り込む形で水準を切り上げ、5日ぶりに1100-1110ドルの小幅レンジを上方ブレイク、一時的には1週間ぶりの1120ドル超え。対ユーロ、新興国通貨などでのドル売り傾向が強まったこともサポート材料となり、下落トレンド脱出に向けた反発基調継続へ。目先の上値目安は1130ドル台前半辺り。まさかの利上げ決定の場合には、織り込み分の巻き戻しでは収まらず、1100ドルのサポートライン割れで今年最安値(1072.3)更新トライへと向かう可能性が残ることにも警戒。

NYプラチナ・日足チャート 2015/8/17 - 9/16NYプラチナ相場は1.83%の大幅続伸。950ドル割れの目標水準到達からの反発基調が、株高の流れと金の反発に引っ張られるように加速。8月末から続いた短期下落トレンドにはいったん区切りをつけた形となり、ニュートラルに近い状態でFOMCを迎えることに。上方向へは1000ドルの大台ラインが抵抗線となり、超えると1040ドル台を目指す流れも。下方向には950ドルが重要なサポート水準。一時的に950ドルを割り込んだのは7月以降で合計6回。かなりの底堅さが見られ、当面の底値圏としての存在感を強めた状態。万が一、ここを割りこむようなことがあれば、920ドル台辺りまでの急落の可能性も。

ドル円・日足チャート 2015/8/18 - 9/16ドル円は0.12%の小幅続伸。120円台前半での揉み合い状態からS&Pの日本国債格下げを受けての円売りで120円70銭手前まで上昇。米8月CPIでインフレ進行が確認できず、利上げ観測のさらなる後退でドル売り円高も限定的。株高と米金利上昇の流れにも連れて120円70銭まで戻して揉み合い状態へ。120円から120円70銭までにレンジを縮小する形でFOMC待ちへ。利上げ見送りで120円割れなら119円がやや固めのサポートラインに。もし、利上げは当面先送りなどのハト派見解なら119円割れも。その場合には円高方向へと大きく流れが変わり、116円トライの可能性も。利上げ決定、もしくは見送りでも年内利上げ濃厚となるようなタカ派見通しで120円70銭を上抜けると、改めて122円付近を目指す展開へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/16終値とチャート

17日の国内金価格は1.59%の大幅高で4日ぶりの反発。利上げ見送り先行織り込みのNY金反発に格下げによる円安も加わり、下方リスク拡大の危機から大きく切り返し、底値反発となる可能性も。このまま波乱がなければ上値目標4720円付近を目指す流れへ。大逆転の展開で4570円台のサポートラインを割り込むようなことがあれば、4500円割れへと向かうリスクも。

プラチナ価格は1.35%の大幅続伸。今年最安値圏からの反発基調がゆっくりと進みそうな展開も周囲の状況がそれを許さない状態。上下の節目4110円から3980円までの値幅の中間点付近に位置し、通常ならしばらくはレンジ内推移が見込まれるところ。しかし、この夏の高ボラティティの状況下では1日で100円以上の変動も珍しくなく、当面の最大イベント通過に警戒感も。上振れなら4200円近辺を目指す流れ、下振れなら3930円近辺まで急落の可能性も。
※参考:金プラチナ国内価格9/17とチャート

2015年09月17日(木)時点の相場
国内金:4,651 円 9/17(木) ▲73(1.59%)
国内プラチナ:4,055 円 9/17(木) ▲54(1.35%)
NY金:1,119.0 ドル 9/16(水) ▲16.4(1.49%)
NYプラチナ:975.7 ドル 9/16(水) ▲17.5(1.83%)
ドル円:120.55 円 9/16(水) ▲0.14(0.12%)
→9/16(水)のその他主要マーケット指標

←世界経済の不透明感に配慮したゼロ金利維持で不透明感も維持 09/18(金)
→株価と金の一段安を救った?かもしれない世銀とNY連銀 09/16(水)
→過去の利上げと金相場 09/15(火)
→想定外の利上げ決定なら金は一段安、見送りなら大幅上昇へ 09/14(月)

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