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★金プラチナ短期相場観★

次の為に実行したいFRBと次の為に実行したくない日銀
更新日:2015年10月20日(火)
先週まで、年内利上げの可能性を肯定していたはずのNY連銀ダドリー総裁が「利上げ検討は時期尚早」との見解を示したことを伊紙が伝えたています。年末までの多くの指標を確認した上で決定すべき、ともっともらしい付帯条件をつけながらも、「年内利上げは可能」と考えていた事実を認めながら「状況が変わった」ことにより、「世界経済の減速傾向」を無視するのは「大きな誤り」である、と。

市場コンセンサス的には年内利上げ見送りが圧倒的優勢となっていたとは言え、イエレン議長、フィッシャー副議長とダドリー総裁を中心に年内利上げ肯定派の勢力もまだまだ優勢であり、金融政策正常化に向けては一刻も早く利上げしておくべきとの使命感すら感じられた状況が変化し始めたようです。
ドル高懸念も再浮上していることに加え、先週のタルーロ、ブレイナード両FRB理事に続き、FOMCでの副議長も務める中核メンバーの造反とも言える発言により、年内利上げの可能性は限りなく見送り優勢へと近づいたと言えそうです。

一方、物価動向正常化に向けては目標に届かす、7-9月期GDPの低迷も予想され、2期連続マイナスのリセッション予想も増え始める日本では、日に日に日銀への追加緩和期待が高まります。
しかし、こちらでは円安懸念も残り、もう少し円高になれば抵抗感も和らぐのでは、との見方や、10月末の追加緩和期待の高まりとともに実際にこれを予想する向きが増え始めたことにより、サプライズ感が既に喪失気味となっていることなども否定材料に。
さらに、物価動向に対して根拠なき自信を見せる黒田総裁としては、今後の追加消費増税対応や、次に起こりうる何らかの危機対策の為にも追加緩和は温存しておきたいとの思惑も見え隠れ。

次の危機対策時に利下げで対応するためには早く利上げを実行しておきたいFRBと、次の危機対策の為にも今回は実行したくない日銀は、いずれも葛藤とともに迎える次週の金融政策決定会合、次回、次々回含め年内は実行できずに、実行せずにやり過ごす可能性のほうが高そうに見えます。

その間隙を縫うように、ECBが先行して年内に追加緩和実行へと動き出す可能性のほうが高そうに思われます。その為には今週のECB理事会後のドラギ総裁会見で、それを示唆する発言が飛び出すことになります。
そうなれば、ユーロ安ドル高の進行に連れ、ややドル高円安傾向へ。金はやや軟調推移へ。
ドル高傾向、円安傾向が進むとFRBと日銀はさらに動きにくくなることになります。

NY金・日足チャート 2015/9/18 - 10/1919日のNY金相場は0.87%安で続落。数字上は予想を上回った中国のGDPには小幅上昇で反応も限定的となり、調整優勢の流れ。欧州時間にはやや株安ドル安の流れに1170ドル台後半へと反発したものの、米10月のNAHB(全米住宅建設業者協会)住宅市場指数が予想を上回る高水準となったことを受けて10ドルほどの急落。短期的には上昇トレンド中の適度な押し目を形成し、再び買い圧力が強まるようなら6月高値1202ドル超えが次の目標水準に。下値は1160ドル付近までがサポートされやすい水準。

NYプラチナ・日足チャート 2015/9/18 - 10/19NYプラチナは4日ぶりの反落で0.89%安。金に連れての軟調推移となり、久々の調整局面形成もここまでの急騰からすると、かなり控えめ。1000ドルの大台ライン付近での足場固めも重要に。押し目買いで再度上値トライへと向かうなら、8月高値超え、1140ドル付近が目安に。

ドル円・日足チャート 2015/9/18 - 10/19ドル円は119円半ばでの横ばい推移継続。午前中の中国GDP発表前後につけた119円10銭台と119円60銭台がこの日の安値と高値となり、以降はレンジ縮小傾向。そのなかでは徐々に下値だけを切り上げるドル高優勢の展開。住宅市場の景況感上振れやサンフランシスコ連銀・ウィリアムズ総裁のタカ派発言などが下支え材料に。わずかに円高方向優勢の状態からほぼニュートラルな保ち合い状態回帰へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/19終値とチャート

20日の国内金価格は0.29%安となり、小幅に3日続落。適度な調整の範囲内で短期上昇トレンド継続。抵抗水準となりつつある4850円を超えることでできれば8月高値4900円近辺を目指す流れへ。下方向には4750円辺りまではサポートされやすく、切り返す可能性のほうが優勢に。

国内プラチナ価格はわずかに1円上昇し、4営業日続伸。調整不足からの過熱感高まり過ぎ状態で90日移動平均線を手前に失速気味。トレンド維持に向けても4100円程度までの調整は許容範囲。
※参考:金プラチナ国内価格10/20とチャート

2015年10月20日(火)時点の相場
国内金:4,811 円 10/20(火) ▼14(0.29%)
国内プラチナ:4,174 円 10/20(火) ▲1(0.02%)
NY金:1,172.8 ドル 10/19(月) ▼10.3(0.87%)
NYプラチナ:1,014.6 ドル 10/19(月) ▼9.1(0.89%)
ドル円:119.50 円 10/19(月) ▲0.01(0.01%)
→10/19(月)のその他主要マーケット指標

←米景気減速懸念が徐々に高まるなかで好調を維持する住宅市場 10/21(水)
→28年ぶりのブラックマンデー回避でプラチナ価格も下支えへ 10/19(月)
→利上げ躊躇の理由=労働市場回復とインフレ動向とのミスマッチ 10/17(土)
→CPI上昇もドル高懸念の製造業景況指数は低迷続く 10/16(金)

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