波乱の2016年1月相場、消化不良で迎えるトリは日銀
更新日:2016年01月29日(金)
中国市場の大混乱からスタートした2016年1月の金融市場。中国株式市場のサーキットブレイカー騒動を経ても下げ続ける中国株と、人民元切り下げを受けての中国経済減速懸念と財政不安も燻り始め、未だに東京市場は10時15分の人民元の基準レート発表にやきもきし、中国株安人民元安に連動するように日本株安円高基調も進行。
サウジアラビアとイランの国交断絶に始まる中東リスク不安に止まらない原油安も。年初には朝鮮半島の地政学リスクやテロへの警戒も強まり、世界同時株安から世界同時リスク回避の流れが進行することとなりました。
世界の株価は原油相場連動状態となり、NY原油が26ドル台まで下落した20日がとりあえずの底値となった形で日米欧の主要株価指数もこのタイミングで安値をつけて反発。
ECBの追加緩和示唆もリスク回避の巻戻しをサポートする形となり、米日と続く主要先進国中銀による政策期待も高まるなかで迎えたFOMCでは、ハト派的な内容にも不十分と解釈した米株などは下落。
昨日には、産油国が来月にも会合を開催して減産の可能性を協議する、との報道に原油相場が急騰すると、これに連れて株高急進の場面も。
信頼にかける中央銀行の政策示唆や、市場見通しとの乖離が続く声明文の内容よりも、原油価格が上昇することのほうが重要なサポート要因であることが露呈したような感も。
世界の主要リスク資産はいったん底値をつけた可能性もあるものの、反発も限定的な状況で、今ひとつ消化不良のような揉み合い状態を形成し始めています。ここまでの
年初来騰落率では、原油とドイツ株に日本株が10%安となり、株安ドル安円高ユーロ高。ただし米ドルは資源国通貨や新興国通貨に対しては買われ続ける状況でドル高地合いも継続中。為替もリスク回避傾向が続く状況で、唯一明確に買い優勢となっているのは金。ただし、その金も足下では上昇一服で方向感を決めかねているような動きのようにも。
海外要因のみで売られ過ぎと言われ続けてきた日本株にとっても、アベノミクスを牽引してきた重要閣僚、甘利大臣の引責辞任という国内リスク要因も発生。これによって過度の日銀期待が高まっている可能性もあり、それほどの期待もされていなかったはずの今回の日銀金融政策への注目度は、俄然高まってきた様子です。
しかし、原油価格を押し上げる事ができない日銀の追加緩和では、大きな流れが変わるとも思えない状況とも言えそうです。
28日のNY金相場は前日比わずかに0.2ドル安で小幅続落。終値ベースではほぼ変わらずの推移となったものの、FOMC後に1128ドルまで上昇したところからは10ドル超の反落。1120ドル台で推移していた状態から、減産協議報道による原油急騰に牽引されたリスク選好の流れを受けて1110ドル付近まで急落すると、その後の否定報道にも戻りは限定的に。結局1130ドル台の上値メドに対してあとわずかとなる1128ドルまで上昇したところが短期的な上値のピークとなった様子。再度上値を試す可能性もわずかに残しながら、サポートラインとなりつつある1110ドル付近までのレンジで揉み合い形成へと移行か。
NYプラチナ相場は6日ぶりの反落で1.61%安。短期目標880ドル付近到達後の一服感からは、さらなる上値トライへの余力はなく、力尽きた形はある意味正常な流れ。ここからは、昨年までの急落トレンド継続か、少しづつ流れが変わるかどうかの分岐点に。長期トレンド継続なら安値更新へと向かうことになり、そうならなければ徐々にトレンド変化の可能性も。直近節目850ドル辺りまでで支えられ、再び上値トライで890ドルの節目を超えるような展開となれば、900ドルの大台超えへ。
ドル円は0.13%の小幅ドル高円安で3日続伸。原油動向に加え、甘利氏辞任や米耐久財受注の大幅下振れなどに反応し、上下動を繰り返しながらも日銀への期待感が下値をささえ、118円台後半での揉み合い状態が継続。22日の大陽線の終値をわずかに上抜けた形となり、ドル高円安加速への下地は出来上がった可能性。日銀金融政策でポジティブな解釈が出来れば120円前後まで上値を伸ばす展開も。逆に失望売りで118円前後まで下げるようなら117円付近までの円高余地も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場1/28終値とチャート
29日の国内金価格は0.52%安となり、7日ぶりの反落。NY金の短期トレンド頭打ちによって国内価格も調整安、円安基調加速の兆しも見られるものの、目標水準4610円台に向けての鍵は日銀動向次第に。失望感の高まりで円高方向への巻戻しにさえならなければ、ゆっくりと上値を試す流れは継続へ。懸念される事態となった場合には、4500円前後が直近サポートライン候補に。
週間ベースでは+101円(2.27%)の続伸。月間では+114円(2.57%)となり、3カ月ぶりの反発。
国内プラチナ価格は1.23%の大幅安で5日ぶりの反落。反落警戒水準からの下落は已む無しの展開、まだ流れが大きく変わった訳ではない状態。調整フェーズが一時的か、ある程度進行するか、ここからの展開には要注意。21日移動平均の3500円付近がサポートラインとなれば、上昇トレンド継続への可能性も維持へ。上向きの9日移動平均が位置する3450円付近を下抜けるようだと昨年来のトレンド再開への警戒感が高まることに。
週間では+207円(6.2%)と4週間ぶりの大幅反発。月間では-160円(4.32%)の反落。
※参考:
金プラチナ国内価格1/29とチャート
2016年01月29日(金)時点の相場
国内金:4,555 円 1/29(金)
▼24(
0.52%)
国内プラチナ:3,547 円 1/29(金)
▼44(
1.23%)
NY金:1,115.6 ドル 1/28(木)
▼0.2(
0.02%)
NYプラチナ:867.9 ドル 1/28(木)
▼14.2(
1.61%)
ドル円:118.81 円 1/28(木)
▲0.15(
0.13%)
1/28(木)のその他主要マーケット指標
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