PCEインフレの先行きを示すミシガン大学期待インフレ指数
更新日:2016年03月19日(土)
米3月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値は90.0となり、市場予想の92.2を下回りました。長期的には金融危機時の最低水準60前後からの順調な回復が続き、2014年12月に90台を超えました。しかし2015年1月の98.1をピークにやや鈍化傾向、高水準ながらも頭打ちの状況。
同時に発表される1年期待インフレ指数は、2月の2.5%から2.7%へと上昇しました。近年の動向としては、2011年3-4月の4.6%がピークとなって低下傾向が続きます。2015年1月と2016年2月には2011年以降の最低水準2.5%を2度つけて、低迷が続く状況。
このミシガン大学の1年期待インフレ指数に、商務省が発表するPCEインフレ率の動向を重ねて見ると、非常によく似た推移となっています。概ねミシガンの期待インフレ指数が先行し、PCEインフレはしばしば行き過ぎて、元の水準に戻る傾向があるようです。
2月末に発表された1月のPCEインフレ率は前年比1.3%となり、2015年の低迷期を抜け出した形となっています。これに対し、先日のFOMCで示された2016年末のPCEインフレ見通しは1.2%。前回12月の1.6%から引き下げられています。
PCEインフレとしては、急落状態から戻ってきた状態に過ぎず、2011年以降の低下傾向はまだ続いていると見ることもできます。さらに、ミシガン大学の期待インフレ指数でも相変わらず2011年以降の低下傾向が続いていることが、FRBの見通しに影響しているのかもしれません。
セントルイス連銀のブラード総裁は「経済が進展しているなかで米金融政策は極端」であるとし、「利上げがインフレを押し上げる」可能性や「原油の影響を除けばインフレは目標に近い」などの発言も。FOMCで現状維持に唯一反対票を投じで利上げを支持したカンザスシティ連銀ジョージ総裁に続き、タカ派メンバーの発言も目立ち始めています。
しかし、市場動向を忠実に指し示している可能性のある、ミシガン大学の期待インフレ指数などに上昇の兆しが見られるまでは、FRBの大勢としては慎重姿勢が続くのではないか、と見られます。
18日のNY金相場は0.85%の反落。ドル売り円買い傾向が強まった東京時間に1267.7ドルまで上昇したのがこの日の高値となって軟調推移へ。ドル売りの巻戻しと株高傾向が進むに連れて一時1250ドル割れへ。金融市場の動向を左右する重要イベント通過に伴い、金は高値圏での保ち合いを維持するなかでもやや調整気味の展開。三角保ち合いの色合いが強まりつつあり、上値は1270ドルラインが重く、突破できれば1300ドルの大台トライへと向かう可能性も残されるが、短期的にはまだ難しそうな状況か。下値は1230ドル前後が当面のサポートラインに。
週間ベースでは-5.1ドル(0.4%)と小幅続落。
NYプラチナ相場は1.88%の大幅反落で、前日の大幅高の3分の2戻し。高値圏での三角保ち合い傾向を強めながら上値は切り下がる展開。
1月末以降の上昇局面では乱高下気味に水準を切り下げた後に大きく上昇するパターンが繰り返されてきたが、今回も同じパターンなら、いずれ大きく上昇する局面が訪れることになるが。そうなる為には990ドルの節目を突破する必要。下方向には、下げ止まり間近となってきた200日移動平均線(950ドル台半ば)まででサポートされない場合には930ドル辺りまでの一段安となって、ここまでの上昇パターンが崩れることに。
週間ベースでは+0.8ドル(0.08%)の小反発。
ドル円は4日ぶりの反発となり、0.15%の小幅ドル高円安。東京市場午前にはまたも円買い圧力が急速に強まり110円80銭台までの下値トライ、そして急速に売り戻されるパターンで111円台前半へ。その後は対資源国通貨などに対するドル売りの巻戻しに連れてゆるやかにドル高円安の流れ。ドル円の上値の重さは変わらず、110円付近までの円買いドル売り再進行の可能性はまだ十分に残されているものと見る。東京市場が休場となる21日月曜日に、2月11日のような展開が再現された場合には、110円を大きく割り込む行き過ぎの展開も警戒される。
週間では-2.25円(1.98%)となり、3週続落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/18終値とチャート
2016年03月19日(土)時点の相場
国内金:4,824 円 3/18(金)
▼74(
1.51%)
国内プラチナ:3,771 円 3/18(金)
▼35(
0.92%)
NY金:1,254.3 ドル 3/18(金)
▼10.7(
0.85%)
NYプラチナ:970.5 ドル 3/18(金)
▼18.6(
1.88%)
ドル円:111.55 円 3/18(金)
▲0.16(
0.15%)
3/18(金)のその他主要マーケット指標
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