想定以上の7月雇用統計、賃金上昇率はレンジブレイクの兆しも
更新日:2016年08月06日(土)
7月の
米雇用統計で、平均時給は25.69ドルとなり、前月比では市場予想の+0.2%を上回る+0.31%となり3カ月ぶりの高水準となりました。前年同月比では+2.64%となり、昨年12月(+2.64%)以来、7カ月ぶりの高水準。なお、この水準は2009年7月(+2.69%)以来となる高水準。次月以降、前年比+2.65%以上の上昇率となれば7年ぶりの高水準となります。
かつて、リセッション前には前年比+3%前後の高水準で推移していた賃金上昇率は、リセッション後には+2%前後の水準に低迷する状態が続き、2015年後半からは2.4-2.6%のレンジへと水準を切り上げていました。そして今、さらに上方向へと、レンジブレイク目前の状態となってきました。
前年比を6カ月平均で見ると、7月時点で+2.49%となり、既に2009年11月(+2.52%)以来、6年8カ月ぶりの高水準へと加速し始めた状態となっています。
好調だった時代の+3%前後に向けて動き出した可能性もある賃金上昇率は、今後のインフレ見通しを押し上げる重要な要因となり得ます。
短期的にはまだまだ、かもしれませんが、中期的には目標2%に向けてインフレ率が上昇する確証の一つとなる可能性が、少しづつ高まりそうな状況となってきました。
5日のNY金相場は1.68%の大幅反落。雇用統計の2カ月連続となるポジティブ・サプライズに素直に売りで反応。1360ドル台後半から1340ドル台へと20ドルほどの急落後、引けにかけても1340ドル台前半までジリジリと値を下げて1週間ぶりの水準へ。6月24日、Brexit以降の上昇幅に対する23.6%戻しとなる1348.1ドルを少し下回る水準となる妥当な調整レベル。38.2%ライン1329.9ドル、1330ドル前後までの調整余地も想定され、この価格帯は7月半ばの保ち合い水準にも相当し、サポートされやすいところ。年内の利上げ観測は若干上昇したものの、さらに急速に高まるような状況にはまだない。チャート形状では7月上旬と8月上旬高値でダブルトップを形成し、ネックラインとなる1310ドル台を今後割り込むようなことがあれば、さらに大きく水準を切り下げるような展開も想定されることに。逆に1370ドル台の厚めの抵抗水準を突破した場合には、1400ドルの大台トライのチャンスも。なお、この日SPDRゴールド・シェアの金ETF保有高は前日比7.1トン増加して980.34トンとなり、3年ぶり高水準となっていた7月5日の982.72トン付近へと急増。
週間ベースでは-4.6ドル(0.34%)の小反落。
NYプラチナ相場は1.16%の大幅安で3日続落。雇用統計直後には1160ドル台半ば1140ドル台前半まで急落後、引けにかけては1150ドル台まで反発する底堅さも。調整レベルとしては6月24日以降の上昇幅に対する23.6%戻し1129.5ドルにも達しておらず、まだまだ控えめ。38.2%ラインとなる1096.2ドル、7月の保ち合い水準でもある1100ドル前後の強めのサポート水準以上を維持している限りは中期的な強気トレンドも継続。短期レンジでは1200ドルの大台トライはいったん先送りへ。
週間では+0.9ドル(0.08%)で小幅続伸。
ドル円は0.58%の反発でドル高円安方向へ。サプライズとなった雇用統計に急騰で反応も値幅はかなり限定的。101円付近から101円50銭までは瞬間的に上昇したものの、その後はいったん揉み合う展開となり、102円台到達にも1時間半を要するスローペース、終値でも102円割れ。NYダウが過去最高値再トライへと向い、NASDAQとS&Pは最高値更新、VIX指数は昨年7月以来1年1カ月ぶりの低水準となるリスクオン相場でドル高進行も、円安の勢いが今ひとつの様子。目先、101円割れでは少し底堅くなり、102円台前半の抵抗水準が重くのしかかる状態か。
週間ベースでは-0.29円(0.29%)と小幅続落。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/5終値とチャート
2016年08月06日(土)時点の相場
国内金:4,747 円 8/5(金)
▲14(
0.30%)
国内プラチナ:4,020 円 8/5(金)
▼15(
0.37%)
NY金:1,344.4 ドル 8/5(金)
▼23.0(
1.68%)
NYプラチナ:1,151.5 ドル 8/5(金)
▼13.5(
1.16%)
ドル円:101.80 円 8/5(金)
▲0.59(
0.58%)
8/5(金)のその他主要マーケット指標
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