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前のめり過ぎた市場の流れにISMの冷水
更新日:2016年09月02日(金)
ISM製造業景況指数とMarkit製造業PMI 2016年8月8月末のジャクソンホールが分岐点となってドル安からドル高へと流れが変わリ始めた様子で1週間、その勢いは衰えるどころか、さらに加速の兆しさえ見られた矢先、ISM製造業景況指数がまさかの節目50割れ。ターゲットが翌日の雇用統計へと移行しようかというタイミングでのネガティブ・サプライズとなり、前のめり過ぎた市場の流れにISMの冷水が浴びせられた形です。

内訳でも新規受注、生産、雇用などが数カ月ぶりの水準へと低下して節目の50割れとなり、昨年末に底値をつけて反発し始めていた流れが急失速した状態となりました。
なお、このISM製造業景況指数の15分前に発表されたマークイットの製造業PMI8月改定値も52.0となり、7月の52.9からは低下していました。
マークイットの製造業PMIでは節目の50割れこそなかったものの、2009年以来の低水準となっていた今年4-5月の50ポイント台が底値となって反発基調を示し始めていた矢先の反落。米国の製造業の景況感は回復基調が続いている可能性を維持しながらも、決して順調ではないことを示し、次月以降の状況次第では、腰折れも警戒される状況となってきました。

ISM製造業景況指数が節目の50割れの状態で米国の利上げが行われたことは過去にない、と言われながらも利上げを決めた昨年12月、その時点の発表値11月分は48.4。今回、8月分ではこれを上回る49.4に留まり、それほど懸念するものでもない可能性も残ります。
なお、マークイット製造業PMIでは昨年11月は52.8。初回利上げ以降、ほぼ当時の水準以下での推移が続いています。

今回のISMの冷水とマークイットPMIの低迷は、製造業の回復基調の阻害要因となるドル高の加速を警戒し、製造業自らが発した警告だったのかもしれません。

NY金・日足チャート 2016/8/3 - 9/11日のNY金相場は0.43%の反発。新規失業保険申請件数が予想を下回り、米労働市場の好調維持確認直後につけた1305ドルがこの日の安値。その後ISM製造業景況指数の下振れを受けてこの日の高値1318ドルまで反発。1300-1310ドルのサポート水準ではいったん底堅さも確認。しかし、雇用統計への警戒感から反発も限定的。雇用統計もネガティブな結果となるようなら、それなりの反発も見込めるところ。但し当面の抵抗水準1360ドル台にはやや遠く、この水準までで保ち合い形成へ。ポジティブ度合いが大きければ1300ドルの大台ラインを守り切れない可能性も。その場合の下値目安は1290ドル、加速すると1270ドル付近まで。中期的にはダブルトップからの下値目安1250ドルも。

NYプラチナ・日足チャート 2016/8/3 - 9/1NYプラチナ相場は0.44%安で3日続落。金に連れての反発局面直前の安値では7月1日(1024.8)以来2カ月ぶりの安値水準となる1040ドル台前半まで下落。スタートポイントが低く、前日水準に戻しきれず。しかし、今朝の時間外ではいったんは1050ドル台に戻す場面もあり、6月24日安値から8月10日の今年最高値までの61.8%戻し1048.6ドル近辺ではそれなりのサポートも。雇用統計後の反発目安は50%ラインの1080ドル程度まで、下値目安は76.4%ラインの1010ドル付近まで。

ドル円・日足チャート 2016/8/3 - 9/1ドル円は0.17%の小幅ドル安円高となって7営業日ぶりの反落。ネガティブ・サプライズのISM製造業景況指数発表直前には7月28日(105.50)以来、1カ月ぶりのドル高円安水準となる104円ちょうどまで上昇。当面の上値目標水準103円台後半にもしっかり到達し、さらに上値を伸ばそうかという勢いで過熱感も高まっていた状態からの急反落は103円10銭まで。失速すべき水準で失速した状態となり、改めて雇用統計に反応して乱高下の展開へ。雇用統計もネガティブ・サプライズとなるようなことがあれば、相応の下落圧力となり、再び100円付近を目指す急落となるようなら、今年の中長期下落トレンド継続を確認することとなり、ネガティブな結果の割に下値も限定的となれば、大きな流れが変わり始めた可能性。ポジティブ・サプライズなら複数の抵抗線を超えて105円台半ば辺りまでの上昇も。※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/1終値とチャート

2日の国内金価格は0.37%の小幅続伸で8月16日(4678)以来、半月ぶりの水準を回復。8月末までの下落トレンドから、好転し始めた流れで21日移動平均線も突破。短期上昇トレンドスタートに向けては水平状態からわずかに下落の兆しも見られ始める90日移動平均線の上抜けが待たれる。ここを超えると節目の4710円台突破の可能性も高まり、4700円台後半を目指す短期上昇トレンド形成へ。90日移動平均線を超えられない限りは、横ばいからやや軟調気味の推移が続くことに。
週間ベースでは+94円(2.05%)となり、6週間ぶりの反発。

プラチナ価格は0.32%の小幅安で3日続落。下落トレンド継続中の小幅保ち合いでの小康状態。やはりわずかに下向き始めた90日移動平均線が通過する3800円ラインが上方向への重要な節目。ここを上抜けると流れが変わり、まずは3800円台後半へと上値を伸ばす展開も。下方向には8月末安値3720円台。短期的な2番底をつけて反発へ、とサポートされる可能性もあるものの、下抜けた場合には3680円程度までの下値余地拡大も。
週間では+17円(0.46%)の小幅高となり、5週間ぶりの反発。
※参考:金プラチナ国内価格9/2とチャート

2016年09月02日(金)時点の相場
国内金:4,674 円 9/2(金) ▲17(0.37%)
国内プラチナ:3,743 円 9/2(金) ▼12(0.32%)
NY金:1,317.1 ドル 9/1(木) ▲5.7(0.43%)
NYプラチナ:1,048.9 ドル 9/1(木) ▼4.6(0.44%)
ドル円:103.24 円 9/1(木) ▼0.18(0.17%)
→9/1(木)のその他主要マーケット指標

←適度に下振れた8月雇用統計、利上げ観測後退で適度なリスクオン 09/03(土)
→ADPとNFPの3カ月平均の連動性が示す、8月NFP下振れの可能性 09/01(木)
→8月雇用統計では雇用者数10万人増でも利上げ可能レベル? 08/31(水)
→物価上昇の気配なし、利上げ見通しも台風10号のように迷走 08/30(火)

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