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1年期待インフレ率が過去最低の5年期待インフレ率を下回る時
更新日:2016年10月15日(土)
ミシガン大・1年期待インフレと5年期待インフレ 2016年10月ミシガン大消費者信頼感指数の10月速報値は87.9となって9月の91.2から急落、2015年9月(87.2)以来1年と1カ月ぶり低水準へと急減速状態となりました。消費センチメントの悪化が懸念されるところです。

同時に発表されたインフレ期待の指標動向が注目されましたが、1年期待インフレ率の10月速報値は9月確報値から変わらずの2.4%。今年5月と9月と並び、2010年9月(2.2)以来6年ぶり低水準で踏みとどまった形です。
しかし、5年期待インフレ率は9月の2.6%から2.4%へと急落し、過去最低を記録しました。

結果、1年後のインフレ率の予想値と5年後の予想値が歴史的低水準で一致する状態となっています。
通常、好景気の時には「1年後も物価はさらに上昇しているだろう、でも5年後には落ち着くだろう」との心理が働き、1年期待インフレ率は大きく上昇し、5年期待インフレ率は小幅上昇にとどまります。近年での最大値は、1年期待インフレではリーマンショック直前の2008年5月の5.2%。5年期待インフレでも同時期の2008年5月と6月の3.4%でした。

逆に、景気後退局面や悪化時には「1年後はもっと物価は低下するだろう、でも5年後には落ち着くだろう」と逆の心理で1年期待インフレは大きく低下し、5年期待インフレは小幅低下にとどまります。1年期待インフレの過去最低はリーマンショック直後、2008年12月の1.7%でした。この時の5年期待インフレは2.6%。
その後、世界金融危機となって米国はリセッション期、その後遺症も残る2010年までの間に、1年期待インフレ率が5年期待インフレ率を大きく下回る時期が何度か発生しました。

2011年から2014年までは常に1年期待インフレが5年期待インフレを比較的大きく上回る状態が続きました。しかし、2015年以降は1年期待インフレと5年期待インフレが揉み合い状態となり、ともに低下基調となっています。
そして今月、速報値ながら5年期待インフレが過去最低となる2.4%を記録し、1年期待インフレも同じ2.4%で横ばい。次の展開としては、近い将来、1年期待インフレが5年期待インフレを、それなりの乖離幅をもって下回るような状態も予想されそうです。

NY金・日足チャート 2016/9/15 - 10/1414日のNY金相場は0.17%の小反落。米9月小売売上高が8月の前月比-0.2%から+0.6%へと予想通りながら急回復し、9月生産者物価指数も予想以上に上昇したことなどを受けて1250ドル台半ばから1246ドルまで急落。しかし一時的にとどまって反発すると、今度は10月ミシガン大消費者信頼感指数の速報値が13カ月ぶりの低水準へと悪化したことを受けて1260ドルまで急反発。またも長続きせず、上下に振られながら1250ドル台半ばを中心に揉み合い状態が継続。1250ドルを本格的に割り込めば1230ドル付近が下値目安に、1260ドル台半ばを上抜けると1280ドル台までが視野に、という状態で保ち合い継続へ。
週間ベースでは+3.6ドル(0.29%)、3週間ぶりの小反発。

NYプラチナ・日足チャート 2016/9/15 - 10/14NYプラチナ相場は0.71%高となって4日ぶりの反発。米9月指標の好結果への反応による一時的な急落局面ではサポートライン候補となる930ドルを割れて928ドルまで下落。その後の反発局面では942ドルまでと限定的。結果的に930ドル割れは一瞬にとどまり、下ヒゲを残してようやく反発らしい反発。9月29日の1030ドル台から2週間で930ドル付近までほぼ100ドルの急落局面を形成することとなり、ひとまず一段落の気配。23.6%戻しとなる950ドル台付近までが目先の反発目安に。一段落とはならず、あらためて930ドルを割り込んだ場合には910ドル台が次の下値目安。
週間ベースでは-23.1ドル(2.4%)安となって3週続落。

ドル円・日足チャート 2016/9/15 - 10/14ドル円は0.47%の反発で104円台へと再上昇。前日の中国の貿易収支悪化をきっかけとしたドル安とは対照的に、この日は中国の9月消費者物価、生産者物価指数ともに上昇となったことを好感して東京市場からドル高の展開。NY市場では米小売売上高や生産者物価指数の好結果に一時104円50銭手前まで上昇。しかしその後は米株と米10年債利回りの急失速とともに103円80銭まで反落。日足では103円台半ばで下値を支えられ、104円台半ばを突破し切れない状態が3日間継続。上限突破なら105円台後半まで上値を伸ばす可能性、逆に下限割れなら102円割れへと急反落の可能性も。
週間ベースでは+1.21円(1.18%)となって5月以来の3週続伸。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場10/14終値とチャート

2016年10月15日(土)時点の相場
国内金:4,497 円 10/14(金) ▼10(0.22%)
国内プラチナ:3,359 円 10/14(金) ▼40(1.18%)
NY金:1,255.5 ドル 10/14(金) ▼2.1(0.17%)
NYプラチナ:939.5 ドル 10/14(金) ▲6.6(0.71%)
ドル円:104.17 円 10/14(金) ▲0.49(0.47%)
→10/14(金)のその他主要マーケット指標

←国内プラチナ価格は2番底、金との価格差は三尊天井 10/17(月)
→日銀でも、ミシガン大でもNY連銀でもインフレ期待は急降下中 10/14(金)
→高水準が続いていた米求人件数も今年最低水準へと急減速 10/13(木)
→2009年以来7年ぶりの低迷続く労働市場情勢指数(LMCI) 10/12(水)

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