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世界の金需要 2016年第3四半期
更新日:2016年11月11日(金)
世界の金需要 2016年第3四半期ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が今週発表したレポートによると、2016年第3四半期の世界の金需要は992.8トン。第2四半期から5.5%減少し、前年同期比では10.1%の減少。前期より金価格が上昇したことにより投資需要が減少し、前年比では価格水準が大きく上昇したことによる宝飾品需要と公的機関の需要減が大きく影響しました。宝飾品需要が全体の5割を占め、投資需要が34%、産業用と公的機関需要が8%づつという構成比となっています。

世界の金投資需要 2016年第3四半期投資需要では、金相場の流れが変わった2016年第1四半期にETFが大幅買い越し転換したことで600トン超へと急増し、その後は相場上昇とともに減少し、第3四半期には第1四半期の半分強となる335.7トンとなっています。
このうち、ETFの買い越し量は半分以下へと急減しています。これに対してインゴットやコインなどの現物需要は、価格低迷が続いた2015年第3四半期がピークとなり、その後の減少傾向は比較的ゆるやかなペースとなっています。

インドと中国の金消費需要 2016年第3四半期宝飾品需要全体の5割以上を占める中国とインドの需要も今年に入って低調な状態が続いています。そのなかでも2カ国の推移には違いが見られ、中国はゆるやかな減少傾向で第3四半期には141.5トン。インドは今年第1-2四半期に100トン割れへと急減し、3四半期には154.7トンまで大幅増となっています。結果的にこの2カ国合計での宝飾品の世界シェアも今年前半には55%前後まで低下していた状態から、第3四半期には60%へと上昇しています。
現物投資需要でもこれに近い推移を示し、中国は第2四半期に急減、3四半期は横ばい推移で41トン。インドは第1四半期に急減後、ゆるやかな増加傾向となって3四半期は40.1トン。2カ国合計での現物投資需要の世界シェアは42.7%。

景気低迷からの回復傾向が中国の現物需要の下げ止まりを示唆し、インドでは季節的・祝祭要因などから年末に向けての需要増も見込まれます。
今後、金相場が一段安へと向うようなら、この2大金消費大国の需要を押し上げることになりそうです。逆に上昇傾向となれば需要減速要因となりますが、その場合にはETF投資需要増が補う形となりそうです。

宝飾品と現物投資需要を合わせた金消費需要の2016年第3四半期ベスト10は、
1位:インド(194.8)
2位:中国(182.5)
3位:米国(43.6)
4位:ドイツ(20.5)
5位:タイ(16.9)
以下、サウジアラビア(15.1)、トルコ(14.3)、インドネシア(13.4)、ベトナム(12.4)、ロシア(11.5)と続きます。
いずれも前年同期比では20-30%の減少、インドネシアは-4%、ベトナムとロシアが-17-16%台の小幅減。
なお、日本は16位で7.4トン、前年同期比では-51.2%の大幅減、上位30カ国では減少率最大。世界最大の逆張り消費国です。
上位30カ国で前年比プラスとなったのは11位のパキスタン(10.3)の+7.3%、28位のスペイン(1.9)の+2.4%、30位のスリランカ(1.4)の+7.4%の3カ国のみ。
全般的にアジアの金消費需要の強さは目立ちます。

NY金・日足チャート 2016/10/12 - 11/10トランプ・ショックからすっかりトランプ・ラリーに転じた10日のNY市場では、NYダウが7日続落後の4日続伸で過去最高値更新。工業需要の割り合いが高い銀相場も3日続伸。一方では移民政策への警戒感もありNASDAQは4日ぶりの反落と失速の気配も。リスク選好とドル高の流れに押されるNY金相場は0.56%安で4日続落。時間外では一時1290ドル台まで反発する場面もあったものの、NY市場にかけては失速状態が続き、下方向への節目となる1260ドル付近での攻防へ。何度か下値を試す状態となり、1240ドル近辺までの下落は見込まれそう。

NYプラチナ・日足チャート 2016/10/12 - 11/10NYプラチナ相場は2.1%の大幅続落。1000ドルの大台ラインをはさんでの小幅保ち合いが続き、意外な底堅さも見せていた状態から力尽きた形で990ドルの保ち合い下限割れ。そのまま972ドル台の安値まで急落し、下値目安となっていた970ドル前後に到達。引け後の時間外では970ドル台から980ドル近辺での保ち合い、反発傾向の動きとなり、この近辺から1010ドルまでのレンジ形成の様相も。上限突破の場合には短期上昇トレンド再加速で1040ドル付近を目指すような展開も。

ドル円・日足チャート 2016/10/12 - 11/10ドル円は1.09%の大幅ドル高円安となって5日続伸、7月20日(106.88)以来のドル高円安水準。トランポノミクスへの期待感が高まり、大統領就任前からハネムーン期間の兆し。米経済への刺激やインフレ加速も連想され、急騰する米10年債利回りは1月11日以来、10カ月ぶりとなる2.15%へ。日銀目標水準0%のイールドカーブ・コントロールで-0.05%近辺に貼り付く日本10年債利回りとの差も急拡大。日米金利差との連動性が高まるドル円もこれに連動する形で急騰局面を形成中。ドル・インデックスが再び2月以来の高値圏となる99ポイント付近まで急騰していることもあり、ここから先のドル高の流れもさすがに減速傾向か。それでもドル円は目先の上値目標107円台後半まで、もう一段の上昇余地を残す。昨年12月17日以来、11カ月ぶりに200日移動平均線(106.60円)を超え、中長期的な流れが変わり始める可能性もあるが、現状ではこの水準での攻防が続く状況。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場11/10終値とチャート

11日の国内金価格は0.26%の反落。2カ月ぶりの90日移動平均線超えを目前に失速。しかし、短期上昇トレンドは継続中で当面の上値目安4670円台を目指す流れ。90日移動平均線が水平状態を維持している間に上抜けしておきたいところ。4600円付近がサポート水準、割りこむようだと4550円割れも。
週間ベースでは+10円(0.22%)、小幅に4週続伸。

プラチナ価格は0.82%安となり、ようやく13営業日ぶりの反落。しばしば一方的な流れが続くプラチナの場合、今度は調整フェーズがどこまで続くのかを、少し警戒する局面。ただ、NYプラチナと為替の現状からは、一方的な下落が続くような状況にはなさそうだが。節目水準となりやすい3600円ラインを多少割り込むことはあっても3500円台後半までの範囲ではサポートされやすそう。3640円が当面の抵抗水準となり、超えると3700円付近までの上値トライへ。
週間ベースでは+56円(1.58%)で3週続伸。
※参考:金プラチナ国内価格11/11とチャート

2016年11月11日(金)時点の相場
国内金:4,634 円 11/11(金) ▼12(0.26%)
国内プラチナ:3,610 円 11/11(金) ▼30(0.82%)
NY金:1,266.4 ドル 11/10(木) ▼7.1(0.56%)
NYプラチナ:982.2 ドル 11/10(木) ▼21.1(2.10%)
ドル円:106.80 円 11/10(木) ▲1.15(1.09%)
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