過去最大水準の求人件数と好調続く離職率で賃金押し上げへ
更新日:2017年01月11日(水)
米労働省が10日発表した11月の月次求人労働異動調査(JOLTS:Job Openings and Labor Turnover Survey)で、求人件数は552.2万件。市場予想の550万件を上回り、10月の545.1万件(533.4万件から上方修正)からも増加。6カ月平均では558.85万件となり、10月の558.7万件をわずかに上回り4カ月ぶりに下げ止まった形。
水準的には2015年7月の578.8万件、2016年4月の584.5万件、7月の583.1万件でトリプルトップを構成し、ネックラインとなる2015年11月の519.8万件までのレンジ、概ね520-580万件を主要レンジとする過去最大水準での保ち合い状態に移行し始めた様子。完全雇用に伴い、雇用者数の伸びや失業率などとともに改善傾向は頭打ちの水準に達している可能性もありそうです。
その他の指標では、求人率は前月から0.1ポイント上昇し3.7%となり、回復目安3.0%超の状態は2014年4月以降、2年7カ月継続中。
解雇率も1.1%で前月から変わらず、回復目安1.4%を下回る状態は2年8カ月以上継続。
退職率(離職率)は6カ月連続2.1%で横ばい推移となり、回復目安2.1%に到達した状態が半年間継続中。
採用率は3.6%で前月から変わらず、回復目安3.8%まであと0.2ポイントの状態。
なかでも、自発的退職(離職)者の割合を示す退職率(離職率)がリセッション前の水準に達し、安定推移の状態となってきたことは、賃金上昇率の押し上げ効果へとつながることになります。
求人労働異動調査(JOLTS)の指標も、これ以上伸びない水準に達しつつあり、完全雇用の領域に到達し始めている状況のようです。
2017年の米雇用指標は、過去最大水準や最小水準(改善状態)での横ばい推移となる指標も増え始め、伸びしろを残す賃金上昇をサポートし続ける状態が続きそうな様相となってきました。あとは、ピークアウトによる後退傾向の有無をチェックする必要はありそうです。
そして、トランプ政権による法人税や所得税率の引き下げの有無とその度合い、インフラ投資の規模などの政策動向を見極め、米国経済への影響度をチェックする1年が始まろうとしています。
市場への影響を推し量ることができる手がかりが、本日の記者会見で聞かれるかどうか、そしてトランプ相場再加速か、巻き戻しの加速か、そのスタートの日となるかもしれません。
10日のNY金相場は0.6ドルの小幅続伸。トランプ会見を控えて米10年債利回りもドルインデックスも小康状態となり、金は1180ドル台での保ち合いとなって6週間ぶり高値をわずかに更新。NY市場では1190ドル台にワンタッチし、12月20日以降続く緩やかな上昇トレンドも維持。目先は1200ドル前後まで若干の上昇余地も残すものの、過熱感も高まりつつあり、きっかけ次第で失速も。日本時間本日深夜に行われるトランプ会見が、万が一ポジティブなものになれば急反落も予想され、1170ドルのサポート水準を割り込むと1150ドル前後までの調整も。
NYプラチナ相場も0.2ドルの小幅続伸。時間外に970ドルまで下げてNY市場では980ドル台を回復し、2カ月ぶりの高値水準を維持。トランプ会見を経て金が買われるなら追随し、1000ドル付近までの上昇も予想され、逆に売られるようならプラチナも反落へ。970ドルラインで下げ止まれない場合には940ドル台辺りまでの大幅調整となる可能性も。
ドル円は0.21%のドル安円高となって続落。上値は116円台前半までで押さえられ、しかし下値も115円前半では底堅く、方向感が定まらない様子で上下動を繰り返しながら115円台後半に収束。トランプ会見でドル高への言及などがあれば上下に大きく振られる展開も予想され、115円のサポート水準を割り込むと114円割れへと一段安へ。117円台へと反発するようなら118円台後半辺りまでの上昇余地も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場1/10終値とチャート
11日の国内金価格は0.21%の小幅続伸。9月7日(4721)以来、4カ月ぶりの高値水準となり、年末の保ち合い上方ブレイクに伴う
2017年最初の短期上値目標4720円にもほぼ到達。トランプ会見でドル高急進の展開は想定し難いところだが、トランプ期待剥落の度合いがわずかにとどまるようならドル高調整からの反動でドル円の小幅反発は十分想定され、その場合には堅調推移が続いてきたNY金の大幅調整の可能性もあり、国内金価格も調整局面へ。当面のサポート水準候補としては4680円辺りまで。逆の展開で一段高の場合には昨年7-10月の下落幅の76.4%戻しとなる4760円台が次の上値目安候補に。
プラチナ価格は0.23%の小幅安で5営業日ぶりの反落。しかし、オーバーペース気味の上昇局面形成からの調整としてはかなり控えめ。昨年10月24日(3352)から昨日(今年高値3876)までの23.6%戻し(3752)辺りまでの調整はいつ入ってもおかしくはない。ただし、イベントドリブンからの急上昇なら3900円台前半へとさらに上値を伸ばすような展開もありか。
※参考:
金プラチナ国内価格1/11とチャート
2017年01月11日(水)時点の相場
国内金:4,719 円 1/11(水)
▲10(
0.21%)
国内プラチナ:3,867 円 1/11(水)
▼9(
0.23%)
NY金:1,185.5 ドル 1/10(火)
▲0.6(
0.05%)
NYプラチナ:982.8 ドル 1/10(火)
▲0.2(
0.02%)
ドル円:115.77 円 1/10(火)
▼0.24(
0.21%)
1/10(火)のその他主要マーケット指標
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