ビッグマック指数で見るビッグマック・インフレ率
更新日:2017年01月17日(火)
エコノミスト誌が先週発表した2017年1月のビッグマック指数によると、ドルベースで見た世界のビッグマック価格トップ3はスイス(6.35ドル)、ノルウェー(5.67)、スウェーデン(5.26)。この3強は2015年7月から変わらず、スイスのトップは2015年1月から2年間続いています。
米国のビッグマック価格は昨年7月の5.04ドルから5.06ドルへと小幅高、昨年1月の4.93ドルからの上昇率は2.64%となり、ビッグマック価格で見るインフレ率は前年比+2.64%。昨年7月時点では前年比+5.22%、昨年1月は前年比+2.92%とコンスタントに上昇基調が続いており、ビッグマックに限ればインフレ目標2.0%達成済の状況です。
これに対して日本のビッグマック価格は、円ベースでは昨年7月の370円から380円へと値上がり。昨年1月も370円で、ビッグマック・インフレ率は前年比+2.7%。ただ、2014年7月から昨年7月までは370円で据え置きの状態が続き、インフレ率0.0%の状態も続きました。2009年から2013年7月までは320円での据え置きとなり、2014年には370円へと大幅値上げされ、2015年1月時点のビッグマック・インフレ率は前年比+19.35%という時期もありました。
日本の場合は据え置き期間も長いため、数年に一度、比較的大幅値上げとなるケースが多いようです。ただし、2000年台前半のように値下げが続くような時期は過ぎ、不規則ながらもインフレ上昇基調を取り戻しています。円ベースでのビッグマック価格で見る限りは、完全にデフレからは脱却しています。
しかし、これをドルベースで見ると、2012年末からの円安転換により価格は急落し、2014年以降は3ドル台前半での揉み合い状態となっています。
2011年7月時点では米国の4.07ドル(29位)に対して日本は4.08ドル(26位)とわずかに上回っていましたが、2017年1月時点では米国は6位、日本は3.26ドルで34位まで後退しました。ドルベースでの日本のビッグマック価格は、この1月時点ではインフレ率前年比+4.49%となっていますが、デフレ状態からは抜け切れない状況が続いています。
ブレグジットに伴うポンド安が続く英国の場合は、1年前の4.22ドル(12位)から3.73ドル(24位)へと下落、インフレ率は前年比-11.6%となっています。
逆に、ドルベースでのビッグマック価格で高インフレが続いている国もあります。
ブラジルは2016年1月の3.35ドル(27位)から、20117年1月には5.12ドルとなり、米国をかわして5位に急上昇。ビッグマック・インフレ率では前年比+52.8%。
さらに高インフレとなっているのが南米のベネズエラ。
深刻なインフレに見舞われ、通貨危機に陥っているベネズエラでは、自国通貨でも2016年7月の2170ボリバルから1380ボリバルの急騰、1年前の1月(132ボリバル)からは3418ボリバルの急騰、実に25.9倍の価格に跳ね上がったことになり、ビッグマック・インフレ率は前年比+2590%。
特に原油価格一段安の影響を受けた2016年前半には経済危機も深刻化、債務不履行(デフォルト)危機に瀕し、中央銀行は金を大量売却。
ベネズエラの金準備保有量は2016年前半に急減していました。
また、昨年12月時点で国際通貨基金(IMF)が予想していたベネズエラの2016年インフレ率予想は470%、2017年には1660%に達するとの見方も示していましたが、ビッグマックの価格だけを見れば、既にそれを遥かに超えるハイパーインフレとなりつつあります。
ドル建てで見てもベネズエラのビッグマックは半年前の3.38ドル(35位)から5.25ドル(4位)へとおよそ1.6倍の価格に急騰、前年1月の0.66ドル(56位)からは8倍の価格となり、ドルベースでのビッグマック・インフレ率でも前年比+695.5%の高インフレ。
なお、不支持率51%のトランプ米次期大統領は極度の潔癖症のため、ハンバーガーの肉の焼き具合はウェルダムでないと絶対に食べないのだそう。
ビッグマックを食べることはなさそうですが・・・。
16日のNY市場はキング牧師生誕記念日の祝日で休場。時間外のNY金は1200ドル台前半での小動き、プラチナは990ドルをはさんでの揉み合いからわずかに軟調。
ドル円は0.29%の小幅安となって6日続落。ハードブグレグジット懸念に伴うポンド売りでリスク回避の流れが優勢となった東京市場では日本株安とともに円高進行、一時12月8日(113.12)以来1カ月ぶりの円高水準となる113円60銭台へ。その後NY市場にかけては閑散状態から114円を挟んでの揉み合い状態へ。115円割れに伴う
下値目安114円割れを達成し、12月15日と1月3日高値118円60銭台とネックライン12月30日安値116円00銭台で構成するダブルトップからの下落幅2.6円分もほぼ消化した状態となり、113円台半ばは下げ止まり、もしくは反発へと切り返すにも都合の良い水準。ただし、本日予定されるメイ英首相のEU離脱方針表明演説への警戒感はくすぶり、週末のトランプ米大統領就任式までは波乱の展開も。リスク回避の流れが再度強まることになれば、11月から12月までの上昇幅の38.2%戻しとなる112円前後までが次の下値目安候補に。
17日の国内金価格は0.19%の小幅反落。ゆるやかながらも円高基調がとまらない状況から適度な水準で、まだ不十分ながらも調整局面を形成。10月安値4473円から1月16日の4727円までの上昇幅に対する23.6%戻し(4667)となる4670円近辺までの調整があってもおかしくはない。ただ、リスク回避局面ではNY金の一段高も予想され、国内価格の調整もほどほどに再度高値更新トライへと向う可能性も。4730円の節目突破なら次の上値目安は4770円台辺りまで。
プラチナ価格は3日ぶりの反落で0.54%安。NYプラチナが1000ドルの大台手前で足踏み状態となっていることにより、国内価格も年初の急騰からは高値保ち合いを形成、やや失速気味で方向感も喪失気味の状態に。3840円の節目割れの場合には3780円程度までは急落の展開も。逆に3880円の節目を突破するようなら上昇トレンド再加速で3950円付近を目指すような流れにも。
※参考:
金プラチナ国内価格1/17とチャート
2017年01月17日(火)時点の相場
国内金:4,718 円 1/17(火)
▼9(
0.19%)
国内プラチナ:3,852 円 1/17(火)
▼21(
0.54%)
NY金:1,196.2 ドル 1/16(月) +-0.0(0.00%)
NYプラチナ:986.4 ドル 1/16(月) +-0.0(0.00%)
ドル円:114.18 円 1/16(月)
▼0.35(
0.31%)
1/16(月)のその他主要マーケット指標
英ハードブレグジット懸念後退、米国発ドル高牽制スタート 01/18(水)プラチナ価格は主要レンジ上限トライ、年内最高値目標は4800円も 01/16(月)トランプ政権への不透明感にもインフレ上昇圧力は着実に上昇 01/14(土)見方分かれるトランプ政権下のインフレ見通し 01/13(金)
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