好結果が予想される米1月雇用統計の懸念材料、賃金は失速も?
更新日:2017年02月03日(金)
今夜発表される米1月の雇用統計では、それなりの好結果を予想する向きも多いようです。失業率は現状維持の4.7%、非農業部門雇用者数(NFP)は前月比+17.5-18.0万人程度との予想がメインのようです。
水曜日のADP雇用者数では+24.6万人と大幅に上振れており、ADPとNFPの3カ月平均での相関係数は2016年後半以降0.75前後の強い相関性を維持しています。12月時点のADPの3カ月平均は+16.7万人、NFPの3カ月平均は+16.5万人。この数カ月間はほぼ同水準での推移が続いていることから、1月のNFPも+20万人超へと上振れ、も十分にありそうです。
また、賃金上昇率も12月の平均時給では前年比+2.93%へと急騰し、2009年5月(2.93%)以来7年7カ月ぶりの高水準となっており、近いうちの3%台到達も見込まれ、今回も+2.8%程度は維持するのではないか、との見方も多いようです。
なお、先日のFOMC声明文では「雇用の伸びは引き続き底堅く」推移することが予想され、「賃金インフレは依然低い」状態にあるとの認識でさらなる上昇が期待される状況です。
しかし、1月半ばにアトランタ連銀が発表した賃金上昇トラッカーの12月分は3.5%へと急落していました。個人時給の中央値を使用したこのデータでは、10-11月に2008年11月(4.0%)以来7年11カ月ぶり高水準となる3.9%まで上昇していたところからの急失速となり、中高賃金帯の伸びが失速したか、あるいは低賃金帯の失速で中央値を押し下げた可能性もありそうです。
いずれにしてもトランプ相場の影響とは関係なく、賃金上昇トラッカーの数値は順調に上昇基調は維持し、平均時給を牽引する状態にはあるものの、12月にはやや大きめの調整局面を形成し、1月急反発なら12月は単なるノイズ、しかし1月も低調なら失速状態継続で「賃金インフレは依然低い」状態が続くことになります。
今回、賃金上昇率も含めて好結果となった場合でも、サプライズ的とならない限りは、次週10日に予定される日米首脳会談への警戒感などもあり、ドル買いへの巻き戻しはそれほど進まない、という展開も予想されます。
2日のNY金相場は0.92%の反発。様子見状態を余儀なくされたFOMC通過後はドル安の流れがジワリと進行、ドル・インデックスが99ポイント台前半へと11月半ば以来2カ月半ぶりの安値圏へと低下した流れで金は11月17日(1231.1)以来、これも2カ月半ぶりの高値水準へ。しかしいずれはドル高へ、との思惑も燻るなかでは金の上値も重く、節目の1220ドル台を維持できずに失速。それでも年初来高値更新に伴い上方視界も開け始めた様子。1220ドルラインを再度しっかり上抜けることが出来れば1250ドル付近を目指す流れスタートへ。しかし雇用統計がそれなりの好結果となった場合には1220ドルラインを上限に1180ドル台までを下限とする保ち合い推移継続へ。サプライズで下限割れなら1150ドル付近を目指す流れへと逆流の展開も。
NYプラチナ相場は0.02%の小幅安で5日ぶりの反落。上方向への節目水準1010ドルを突破して11月9日(1023.0)以来、約3カ月ぶりの高値水準となる1015ドルまで上昇も一時的にとどまり、金に連れての失速で再び990ドル台へ。980ドルから1010ドルまでのレンジ推移の状況は変わらず、長めの上ヒゲ陰線を形成し、下値トライへの警戒感も若干高まる状況に。金との価格差も200ドルラインで跳ね返されて217.1ドルへと拡大。980ドルの下限割れなら940ドル台までが下値目安に。
ドル円は0.37%のドル安円高となって前日上昇分まるまる反落。ドル・インデックスの2カ月半ぶり安値圏到達にともない、ドル円も11月29日(111.62)以来2カ月ぶりのドル安円高水準へ。日本の10年債利回りが1年ぶりとなる0.1%台へと上昇したことへの警戒感も円高材料に。ただし、112円付近ではドル買い意欲も強く113円付近まで反発。結果、31日安値とほぼ同水準となる112円00銭台の安値で短期ダブルボトムを形成し始めた可能性も。ネックラインは1日高値113円90銭台。雇用統計上振れをきっかけにこの水準を上抜けた場合にはさらに2円の上昇で116円付近までの上昇も見込まれる。ただし、現状は113円台前半が抵抗水準となりつつあり、111円前後までの一段安もありそうな状況。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場2/2終値とチャート
3日の国内金価格は前日から変わらず。上方向への流れ加速の兆し、の状態でいったんストップ。雇用統計の結果がかなりポジティブな結果なら流れが巻き戻される可能性もあり、4670円台でサポートされない場合には下落基調の流れが加速、4580円台の下値目安を目指す展開も。予想外にネガティブな結果なら上方向への流れ再開へ。
週間ベースでは+33円(0.7%)の反発。
プラチナ価格は0.77%の反落。三角保ち合い上方ブレイクへと切り返した流れは案の定、ダイバージェンスが示唆したとおりの反落で保ち合い状態に引き戻された形。
近年の主要レンジ上限となる3900円ラインへの抵抗感も根強く残る様子。目先、3860円の節目を割れると3770円台を目安に大幅調整局面も。あらためて3900円ライン突破、高値更新へと向うようなら4000円近辺を目指すような流れがスタートする可能性もありうるが。
週間ベースでは+21円(0.54%)と小幅続伸。
※参考:
金プラチナ国内価格2/3とチャート
2017年02月03日(金)時点の相場
国内金:4,715 円 2/3(金) +-0(0.00%)
国内プラチナ:3,876 円 2/3(金)
▼30(
0.77%)
NY金:1,216.7 ドル 2/2(木)
▲11.1(
0.92%)
NYプラチナ:999.6 ドル 2/2(木)
▼0.2(
0.02%)
ドル円:112.80 円 2/2(木)
▼0.42(
0.37%)
2/2(木)のその他主要マーケット指標
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