失業保険申請件数は43年ぶり低水準、回復が遅れる米雇用指標は?
更新日:2017年02月10日(金)
昨日発表された
米国の週間新規失業保険申請件数は、43年ぶり低水準となっていた11月12日までの週の23.3万件とほぼ同水準となる23.4万件となりました。この結果、4週移動平均では24.43万件となり、1973年11月3日までの週の24.4万件以来、43年3カ月ぶりの低水準となっています。もうこれ以上の低下は望めないのではないか、と思われる程の水準まで回復基調が続いてきました。
失業率は完全雇用と言われ、雇用者数の伸びも好調で、賃金上昇率は上昇余地を残しながらも加速基調は続き、米国の主要な雇用指標は軒並み堅調に推移しています。
しかし、回復基調が遅れる雇用指標も残ります。現在の米国で一般的に使用される失業率は1月には4.8%で、回復目安とされる5.0%には2015年9月の時点で到達し、それ以降は5.0%以下を維持しています。この通常使われる失業率(U3失業率)に、フルタイムでの就業希望にも関わらずやむを得ずパートタイム労働に従事する人などを加算した
広義の失業率であるU6失業率は、回復目安8.8%に対して1月は9.4%とまだ乖離があります。
トランプ大統領も、現状の失業率は労働市場を過剰に高く表示すると批判し、ムニューチン財務長官も金融政策に与える失業率の影響が大き過ぎることを懸念し、積極的に職探しをしていない人などが数値に反映されないことを批判していました。
現状の(U3)失業率が歴史的低水準となる4.6%まで低下して反発基調の兆しも見られることから、U6失業率も回復目安に届かないまま反発基調が進行することも有り得そうです。
失業者全体のうち、その期間が27週以上、つまり半年以上失業状態が続く長期失業者の割合は、回復目安19.1%に対して1月は24.4%。
2008年7月の18.9%から翌8月に19.8%へ跳ね上がると、2011年7月の45.1%まで急増し、2012年以降は急低下しています。しかし足下では鈍化傾向も見られ、歴史的に見ても高水準にとどまっています。さらに過去をさかのぼっても、20世紀に突出してピークをつけた1983年の26%をようやく、わずかに下回ったところでの停滞が続きます。
労働参加率は目安66.1%に対して1月は62.9%。
この数値は、1940年代から1970年頃までは60%が上限となっていましたが、1970年代から上昇傾向が続き、1988年に66%台に到達。2000年にはピークとなる67.3%まで上昇していました。
その後2008年8月を最後に66.1%を割り込むと低下の一途。足下ではようやく下げ止まっただけの状態です。
年齢構成の変化もあり、歴史的に見ても労働参加率が回復目安66.1%に到達することは未来永劫不可能ではないか、とも思われるような状況です。
9日のNY金相場は0.22%の小幅安となり、6日ぶりの反落。時間外では1240ドル台の高値圏を維持し、再度1240ドル台後半を試す場面もあったものの、目標水準1250ドル付近到達に伴う達成感から既にパワー不足の状態。NY市場ではトランプ大統領の「2-3週間内に驚異的な税制改革案発表」発言をきっかけに急落の展開へ、今朝も軟調推移で1230ドル割れ。週末の日米首脳会談が無事終了した場合にはドル高の流れが再加速する可能性が高く、トランプ大統領の議会演説が行われる月末に向けては調整局面形成へ。目先は90日までの移動平均線も集中する1200-1210ドル辺りがサポート水準候補。
NYプラチナ相場は0.27%の小幅続伸。NY市場朝に1030ドル台前半まで急騰した時点で上値トライの勢いは力尽きた形となり、上値目標1040ドル近辺にはわずかに届かず失速。金の急反落に連れる形で今朝には1010ドル割れ。目先は調整フェーズ濃厚となり、1000ドルの大台ラインは心もとなく、980ドル付近が比較的堅めのサポート水準候補。
ドル円は1.17%の大幅反発となり、終値では1月30日以来の113円台。112円半ばで上値を押さえられていた保ち合い状態から、トランプ発言を受けての上方ブレイク。就任以降、ネガティブ発言だけがクローズアップされてきただけに、従来どおりの意思表示に過ぎない発言であってもトランプ相場の原動力のひとつとなってきた減税への言及に市場は敏感に反応。米10年債利回りの急反発とともに113円台を回復すると、今朝の東京市場では株高の流れとともに113円60銭台へ。小幅保ち合い上方ブレイクに伴う
上値目安113円台後半にも早速到達。トランプ相場の調整局面は38.2%戻しと90日移動平均線付近で反発する形で終了した可能性もあり、日米首脳会談後にアク抜けならドル高継続で115円ラインが次の抵抗水準候補に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場2/9終値とチャート
10日の国内金価格はわずか2円の上昇で5日続伸。トランプ発言を受けてボラティリティが高まりつつある状態のなか、半年ぶり高値水準での様子見状態。ドル高の進行が速すぎるようだとNY金の下げ幅が拡大する可能性もあり、国内金価格の足かせに。上値目標4790円付近に向けての流れ継続もその足取りは重い。中期トレンド転換点の水準に位置することもあり、一方的な流れとはなり難い状況。
200日移動平均線はわずかに上昇の兆しで中期トレンド好転方向へ。
週間ベースでは+58円(1.23%)で続伸。
プラチナ価格は0.79%の続伸で8月12日(4014)以来半年ぶりの高値水準。
近年の主要レンジ上限3900円ラインを本格的に上抜け、フラッグ状態の三角保ち合いも上方ブレイク。急反落リスクを抱えながらの上昇に一抹の不安も残るものの、3900円ラインを維持できれば大きな流れも変わり始めることに。当面の上値目標は8月高値圏となる4030円台辺りまで。
週間では+58円(1.5%)となり3週続伸。
※参考:
金プラチナ国内価格2/10とチャート
2017年02月10日(金)時点の相場
国内金:4,773 円 2/10(金)
▲2(
0.04%)
国内プラチナ:3,934 円 2/10(金)
▲31(
0.79%)
NY金:1,236.8 ドル 2/9(木)
▼2.7(
0.22%)
NYプラチナ:1,022.2 ドル 2/9(木)
▲2.8(
0.27%)
ドル円:113.24 円 2/9(木)
▲1.31(
1.17%)
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