3月利上げ濃厚も下げ渋るNY金、20カ月移動平均線とともに上昇?
更新日:2017年03月07日(火)
NY金相場は20カ月移動平均線の上昇局面とともに長期上昇トレンドを形成し、20カ月移動平均線の下落局面とともに長期下落トレンドを形成してきました。
2016年2月には、3年2カ月ぶりに20カ月移動平均線を上抜けましたが、2011年から2015年までの下落幅に対する38.2%戻しラインにぶつかって反落、11月には再び20カ月移動平均線を割り込んでしまいました。しかし2カ月後には再度上抜け、ただし今度は23.6%ラインに上値を押さえられての反落、3月6日時点では20カ月移動平均線を上回る水準での推移が続きます。
この20カ月移動平均線は、昨年秋以降1200ドル近辺での横ばい推移が続いていますが、1月の1198.8ドル、2月の1202.9ドル、そして3月6日時点では1209.5ドルへと少しづつ上昇の兆しも見られます。20カ月間の月末価格を平均して算出する20カ月移動平均は、20カ月前の価格が1月毎に計算対象外となる為、今年後半には2015年の軟調推移の期間が順次外れていくことになり、比較的上昇しやすくなります。
足下のNY金相場はやや軟調な展開とはなっていますが、3月利上げが確実視されるなかで、ドル高がそれほど進行しないこともあり、比較的下げ渋る状態ともなっています。今朝時点でのCMEフェドウォッチでは3月利上げの確率は86.4%まで上昇。先週末から一段と上昇し、2015年12月に10年ぶりの利上げを決めたFOMC直前の83.3%を上回る水準となっています。
もはや3月利上げは完全に織り込み済となり、次のテーマは
FOMCで示されるドットチャートによる年内利上げ回数見通しへ。中央値で年3回となっていた12月FOMCからそれほど変わらないようなら、ネガティブ・サプライズともなりかねない状況も予想されます。
また、3月利上げを含めて年4回となったとしても、6月以降の追加利上げへの思惑が後退する度にドル売り金買いが強まる場面も想定されそうです。
年央まで、20カ月移動平均線と絡み合う状態での横ばい推移傾向を維持した場合、2011年以降続く長期下落トレンドの抵抗線上抜けのチャンスも訪れることにもなります。そうなれば、NY金相場は年後半にかけて、20カ月移動平均線とともに上昇基調を強めるような展開もありうるかもしれません。
6日のNY金相場は0.08%の小幅安で5営業日続落。5日続落以上は昨年11月以来4カ月ぶり。北朝鮮による4発のミサイル発射によるリスク回避ムードなども影響し、1230ドル台を維持する底堅さはロンドン市場まで継続。しかし、NY市場では米10年債利回りが2.5%に向けて上昇し、売られていたドルも買い戻され、金は先週末終値付近、1220ドル台半ばへと軟調推移。サポート水準となっていた1230ドルを改めて割り込んだことにより、3月利上げの事実確認までは軟調な展開が予想される。当面の下値目標水準としては、12月安値から2月末高値までの半値戻し(1194.6)も意識される1200ドル前後まで。
NYプラチナ相場は1.6%の大幅反落。結果的に週明け時間外までの反発局面は1000ドル回復とともに息切れ。大台ではわずかな滞空時間で軟調推移再開、先週安値を下回り、1月20日(976.0)以来、1カ月半ぶりの安値水準へ。1000ドルの大台ラインが抵抗水準となって短期下落トレンド再スタート、当面の目標は950ドル台まで。12月安値から2月高値までの61.8%戻し(949.5)も意識される。
ドル円は0.14%の小幅続落で114円割れ。地政学リスクへの警戒感もあり株安円高優勢の展開となった週明け、114円台を早々に割り込むと113円台後半での保ち合い推移。NY市場では米金利上昇とともに114円台回復も一時的。3月利上げを織り込んで上値の重い状態が続くが下値も堅く、予定どおりの利上げに向けて週末の雇用統計を無難に通過することができれば、115円台までの上昇余力はありか。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/6終値とチャート
7日の国内金価格は0.6%安となって3日続落、2週間ぶりの安値水準に。底堅さも見られるが軟調推移となってきたNY金と、底堅さも見られるが上値も重いドル円という構図で調整局面拡大の様相となってきた国内金価格。次週FOMCまでは一方的な流れは生じ難いとは思われるものの、4790円のサポートラインが目前に迫り、ズルズルと割り込んでしまうような展開も予想される。4700円近辺を下値目安にゆっくりと調整フェーズ進行か。
プラチナ価格は1.84%の大幅反落となり、1月24日(3824)以来1カ月半ぶりの安値水準に。レンジ幅を拡大し続ける逆三角保ち合いが続き、3月に入って上方向へと大きく抜け出したかに見えた流れは急速に巻き戻され、今度は下方向へと大きく抜け出し。
逆三角保ち合い特有の乱高下となり、非常に不安定な状態。今回も巻き戻される可能性もあるものの、素直に長期保ち合いからの下抜けと見れば、当面の下値目安は3720円近辺まで。また、昨年10月後半を起点とする上昇トレンドは4カ月半続いたことになり、現状23.6%戻し(3841)付近に到達し、反発への可能性も残される。調整局面継続なら38.2%戻し(3748)程度までの下落は想定の範囲内。
※参考:
金プラチナ国内価格3/7とチャート
2017年03月07日(火)時点の相場
国内金:4,801 円 3/7(火)
▼29(
0.60%)
国内プラチナ:3,845 円 3/7(火)
▼72(
1.84%)
NY金:1,225.5 ドル 3/6(月)
▼1.0(
0.08%)
NYプラチナ:978.2 ドル 3/6(月)
▼15.9(
1.60%)
ドル円:113.89 円 3/6(月)
▼0.16(
0.14%)
3/6(月)のその他主要マーケット指標
米1月貿易収支は4年10カ月ぶりの大幅赤字、ツイートリスクも 03/08(水)国内金価格の52週移動平均乖離率はMAX3.5%、プラチナは5-6% 03/06(月)イエレン発言で3月利上げほぼ確定、その先は雇用とインフレ次第 03/04(土)新規失業保険申請件数は44年ぶり低水準、減少幅と期間は過去最大 03/03(金)
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