PCEデフレーターも3月に急失速で利上げを急ぐ必要性も後退
更新日:2017年05月02日(火)
米商務省が1日発表した3月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年同月比+1.8%となり、4年10カ月ぶりの高水準となった2月の+2.1%から急失速。FRBの物価目標基準となる指標の目安水準2%到達は1カ月の短命に終わり、インフレ圧力がそれほど強まっていないことを示した形です。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPCEも2月の前年同月比+1.8%から3月は+1.6%へと低下、2016年7月以来8カ月ぶりの低水準へと急失速。
なお、インフレ上昇要因となる原油価格も3月には急落していました。NY原油の月間平均価格では2月の53.46ドルから、3月は49.67ドルへと4カ月ぶりの50ドル割れ。
4月の原油価格は前半に反発も後半にかけて再び50割れへと反落しており、月間平均では51.12ドルと反発傾向も限定的。
原油価格上昇によるインフレ上昇、そしてコアインフレも追随して上昇という構図からは、4月のインフレ指標の反発度合いも限定的となり、FRBの6月利上げの決め手にはなり切れないものと予想されます。
それでも、さらなるインフレ失速、雇用指数の低迷などがない限りは6月利上げの可能性は高そうですが、今後、利上げを急ぐ要因となりうるインフレ圧力は、現時点ではそれほど高騰している訳ではなさそうです。
1日のNY金相場は1.01%の大幅安となって3日ぶりの反落。時間外に1272ドルまで反発した後は息切れ、軟調推移。NY市場では米PCEインフレ失速に加え、4月
ISM製造業景況指数も年初来最低水準へと失速したことを受けて一時1270ドル手前まで反発も、その後は
米10年債利回りの節目2.3%超への反発に伴い、節目の1260ドル割れ。米議会では9月末までの予算案合意で政府機関のシャットダウン回避、税制改革案が合意に向けて進展中とのムニューシン発言、オバマケア代替法案改訂版の採決見込み、さらにはアトランタ連銀のGDPナウでの第2四半期GDP予想+4.3%などリスクオン材料も目白押し。
NASDAQは最高値更新、
VIX指数は一時一桁台となる9.90まで低下、終値でも10.11と2007年2月16日(10.02)以来10年3カ月ぶりの低水準。金は下値目安1260ドル近辺を下抜けて4月10日以来3週間ぶりの1250ドル台。4月前半までの保ち合い水準に回帰した状態となり、いったんは落ち着きやすいところ、ただし目先は米指標結果に左右され、下は1240ドル前後までは下げやすく、反発方向には1280ドル付近が抵抗水準候補に。
NYプラチナ相場は1.74%の大幅続落。NY市場では一時1月4日(928.4)以来4カ月ぶりの安値まで下落し、終値では年初来安値を更新。直近の下値目安940ドル台をオーバーランし、大きく見ると3月以降の保ち合い水準を下抜けた形に。短期的にはいったん下げ止まりの可能性も、早々に940ドル台へと反発できないようなら、下落トレンド再加速で昨年12月安値更新も視野に。金との価格差は323.3ドルへと拡大し、昨年10月24日(324.6)以来半年ぶりの水準。
ドル円は0.34%のドル高円安となって3日続伸。日本株高の流れとともに東京市場引けにかけて112円トライ、NY市場朝の経済指標下振れ後の反発局面にも112円トライ、そして今朝にもまた112円トライ。リスク・オン地合いで米金利上昇とともにドル高円安の流れは続くが112円ラインは想像以上に重そうな状況。欧州市場の連休明けとともに、米雇用指標やFOMCでの6月利上げの可能性示唆など、きっかけとなりうる材料もあり、112円を突破できれば114円台を目指す展開となる可能性も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場5/1終値とチャート
2日の国内金価格は0.49%の反落。ISM製造業景況指数などは予想通りの失速となったものの、これに伴うNY金の反発も限定的となり、それを上回るリスク・オン材料にドル高金安となって国内価格も失速。上値目標水準4890円を目指した流れは連休前に失速してしまった形となり、週明けには水準が切り替わる可能性にも要警戒。現状の流れが続き、雇用統計や賃金動向なども無難な結果で切り抜け、7日にマクロン新仏大統領誕生となれば、4830円を割り込んだ場合の下値目安4770円前後までの急落も。米指標下振れ続出、仏大統領選での波乱、地政学リスクへの懸念急拡大など、いずれも可能性はかなり低めの事象が発生した場合に限り、上値目標水準突き抜けというケースも。
プラチナ価格は1.07%の大幅反落。3630円の節目を完全に割り込み、保ち合い下抜けで下値トライスタートを示唆する形で連休入り。4月11日につけた今年安値3608円とほぼ同水準となり、チャート形状的にはダブルボトム形成へという展開もあり得なくはないが、可能性は低そう。安値更新で当面の下値目安は3530円前後まで、連休明けには既に到達している可能性も。
金との価格差はこれまで過去最大だった2016年3月4日の1221円を上回る1229円へと拡大、これもまだ、ピークではない可能性も・・・。
※参考:
金プラチナ国内価格5/2とチャート
2017年05月02日(火)時点の相場
国内金:4,839 円 5/2(火)
▼24(
0.49%)
国内プラチナ:3,610 円 5/2(火)
▼39(
1.07%)
NY金:1,255.5 ドル 5/1(月)
▼12.8(
1.01%)
NYプラチナ:932.2 ドル 5/1(月)
▼16.5(
1.74%)
ドル円:111.83 円 5/1(月)
▲0.38(
0.34%)
5/1(月)のその他主要マーケット指標
4月製造業PMI、世界の主要国ほぼ全てが加速基調だが 05/03(水)国内金とプラチナの価格差は過去最大水準、金は反落警戒水準に 05/01(月)0.2%vs2.7%の米1-3月期GDPは0.7%、それでもドル高? 04/29(土)米3月製造業出荷も減速、ソフト+ハードデータも失速の兆しか 04/28(金)
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