PCEは半年、コアPCEは1年5カ月ぶり低水準、続くインフレ鈍化
更新日:2017年07月01日(土)
米商務省が発表した5月の個人消費支出物価指数(PCEデフレーター)は前年同月比+1.4%。4月の+1.7%からは大きく低下し、4年10カ月ぶり高水準となってFRBのインフレ目標に到達した2月の+2.1%をピークとして3カ月連続の低下。昨年11月(1.3)以来、半年ぶりの水準へと物価上昇ペースは鈍化しています。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコアPCEは前年同月比+1.4%。2012年7月以降、ほぼ5年間のピーク水準となる+1.8%を昨年10月と今年1-2月に記録した後、やはり3カ月連続の低下となり、2015年12月(1.4)以来、1年5カ月ぶりの低水準に。コアPCEは今回の利上げフェーズ開始時の水準へと、振り出しに戻った状態です。
インフレ動向を左右する原油価格が下落傾向となったことが、今年前半のインフレ鈍化に大きく影響しています。NY原油価格の月間平均とPCEとの24カ月間の相関係数は2013年以降、0.7から0.9台での推移が続いており、強い相関関係を示します。そして、PCEの上下動に先導される形で推移するコアPCEも、少なからず原油相場の影響を受ける状態です。
NY原油も今年2月に月間平均では1年8カ月ぶり高水準となる53.46ドルのピークをつけ、5月には48.54ドルまで下落しました。足下では
急落後の反発局面にあるNY原油相場ですが、6月の月間平均は45.20ドルとなり、昨年8月以来10カ月ぶりの低水準へとさらに低下することが確定しています。
少なくとも、6月のPCEデフレーターもインフレ鈍化傾向が続くことが予想されます。
サンフランシスコ連銀のエバンズ総裁他、米国のインフレ鈍化は一時的要因によるもの、との発言が多々聞かれますが、一時的なインフレ鈍化は少なくとも、4カ月程度は続くことになりそうです。
30日のNY金相場は0.28%の小幅続落。欧米市場では出口論への意識が高まる状態が続き、この日も欧米主要国の債券売りで利回り上昇の流れとなり、
米10年債利回りは4日続伸で5月16日以来、1カ月半ぶりの水準となる2.30台へと反発。軟調推移の展開を余儀なくされた金も5月16日(1236.4)以来1カ月半ぶりの安値水準で6月後半の保ち合い下限に到達した状態で
2017年上半期を終了。1240-60ドルのレンジを抜け出した方向へ20ドル程度の変動が予想される状況のまま7月へ。
週間では-14.1ドル(1.12%)となり、12月以来の4週続落。月間では-33.1ドル(2.6%)で3カ月ぶりの反落。
NYプラチナ相場は0.51%の反発。前日、一時的に910ドル割れを試したことで下値トライを終えたことにしてしまった可能性も。それ以降は920ドル台を維持しての小康状態となり、NY市場ではゆるやかに反発基調で1週間ぶりの水準を回復、今朝の時間外では920ドル台後半へ。930ドル超えへと水準を切り上げることができれば上昇トレンド形成で目標水準960ドル台へ。逆に910ドル前半へと反落の場合には下値トライ再開で900ドル割れへ。
週間ベースでは-5.7ドル(0.61%)で反落。月間では-26.6ドル(2.8%)の反落。
ドル円は0.24%のドル高円安となって3日ぶりの反発。112円をはさんでの揉み合いからNY市場ではドル高へ。米5月PCEデフレーターの低下は想定の範囲内となり、6月のシカゴPMIとミシガン大学消費者信頼感指数がいずれも予想を上回る好結果となったことが追い風となり、米長期金利上昇とともにドル高基調が継続。ドル円も5月16日(113.11)以来1カ月半ぶりのドル高円安水準となり、5月高値からの61.8%戻し(112.20台)を達成して7月へ。76.4%戻しとなる113円台に向けては米指標の相応のポジティブ・サプライズが必要か。200日移動平均(111.10)から90日移動平均(111.62)なども集中する111円半ばのサポート力は強まる状況。
週間ベースでは+1.13円(1.02%)で3週続伸。月間では+1.66円(1.5%)の反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/30終値とチャート
2017年07月01日(土)時点の相場
国内金:4,801 円 6/30(金)
▼26(
0.54%)
国内プラチナ:3,556 円 6/30(金)
▼17(
0.48%)
NY金:1,242.3 ドル 6/30(金)
▼3.5(
0.28%)
NYプラチナ:923.7 ドル 6/30(金)
▲4.7(
0.51%)
ドル円:112.43 円 6/30(金)
▲0.27(
0.24%)
6/30(金)のその他主要マーケット指標
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