米賃金上昇率伸び悩みを日米金融政策逆行の流れがフォロー
更新日:2017年07月08日(土)
米労働省発表の
6月雇用統計で、平均時給は5月の26.21ドルから26.25ドルへと上昇。前月比では市場予想の+0.3%を下回る+0.2%、厳密には+0.15%。前年同月比では+2.6%の市場予想に対して+2.5%と低迷。厳密には+2.46%で1年3カ月ぶりの低水準となった5月の前年比+2.42%からわずかに上昇し、4カ月ぶりに下げ止まった状態に過ぎません。前年比の3カ月平均では5月の+2.52%から6月は+2.46%へと4カ月連続の低下、昨年3月の+2.45%以来、1年3カ月ぶりの低水準となっています。
賃金上昇率の伸び悩みが続くなかでも、雇用者数が予想を上回る増加となったことが好感され、米国の金融政策正常化に向けての流れを否定的に見る向きは少ないようです。CMEフェドウォッチでの12月利上げ確率は60%弱で、雇用統計前からほぼ変わらずの水準を維持しています。
この結果を受けてNY金は1210ドル近辺へと10ドル超、水準を切り下げる形となりました。
米長期金利も上昇、ドル高も進行、
日米金利差も拡大してドル円も上昇という格好にはなっていますが、実際には米10年債利回りは雇用統計発表後に一時的に上昇しただけで発表前の水準に収束しています。また、ドルインデックスも同様の展開で発表前の水準。
ただし、その前の東京市場で日銀が指値オペの実施と通常の買い入れオペの増額を通知したことで、日米金融政策逆行があらためて意識させられる形となり、円安とともにドル高と金利上昇の流れが加速していました。
賃金上昇率伸び悩みで低インフレが続くかもしれない状況下でも、米国の金融政策正常化への流れを日銀がフォローしたような形となりました。
7日のNY金相場は3日ぶりの反落で1.11%の大幅安となり、3月15日(1200.7)以来、3カ月半ぶりの安値水準。強弱入り交じる結果となった米雇用統計には乱高下の反応となり、発表直後には1228ドルまで急騰。しかし雇用者数の伸びを好感する形でドル高の流れとなって急反落。短期的には1200ドルラインが目先のサポート水準とはなりそう。しかし、5月安値(1214.3)を下抜けたことで4月高値(1297.4)と6月高値(1298.8)からなるダブルトップのネックライン割れ。中期的には1130ドル前後を目指す展開となる可能性が生じたことに。
週間ベースでは-32.6ドル(2.62%)となって5週続落。
NYプラチナ相場も3日ぶりの反落で0.68%安。雇用統計直後の反発局面では920ドル手前まで、反落局面では900ドル割れを回避し、時間外にかけて910ドル手前まで反発。5月安値と今回の安値でダブルボトム、昨年末安値とでトリプルボトムを形成する形となって900ドル前後の水準が強めのサポート水準となり、短期的な下落局面もほぼ終息した可能性。920ドル半ばを超えるとそれなりの反発局面形成へ。
週間ベースでは-19.6ドル(2.12%)で続落。
ドル円は4日ぶりの反発となって0.62%上昇し、5月10日(114.27)以来ほぼ2カ月ぶりのドル高円安水準。米雇用統計前にこの日の上昇分の大半に貢献したのは日銀。東京市場午前の指値オペと通常の買い入れオペ増額によって、日米金融政策の方向性の違いを意識したドル買い円売りが急進。時間外の米10年債利回りも急上昇し、ドル円は一時113円80銭台まで上昇。113円70銭台で迎えた雇用統計には113円50銭近辺まで急反落後に一時114円10銭台まで上昇。過熱感高騰のなかで5月高値付近まで上昇してきたことで、短期トレンドには一服感も。目先は113円台前半がサポート水準となり、割り込むと112円半ばまでの調整も。
週間ベースでは+1.49円(1.32%)となって4週続伸。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/7終値とチャート
2017年07月08日(土)時点の相場
国内金:4,770 円 7/7(金)
▼14(
0.29%)
国内プラチナ:3,546 円 7/7(金)
▼6(
0.17%)
NY金:1,209.7 ドル 7/7(金)
▼13.6(
1.11%)
NYプラチナ:904.1 ドル 7/7(金)
▼6.2(
0.68%)
ドル円:113.92 円 7/7(金)
▲0.70(
0.62%)
7/7(金)のその他主要マーケット指標
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