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イエレン・ダッシュボードは良好、議会証言では慎重姿勢も?
更新日:2017年07月12日(水)
JOLTS求人労働異動調査 2017年5月米労働省が11日発表した5月のJOLTS求人労働異動調査で、求人件数は566.6万件。4月分が604.4万件から596.7万件へと下方修正されたことで、過去最大は2016年7月の597.3万件となり、4月は史上2番めの高水準。2015年7月の589.1万件と合わせてトリプル・トップを形成する形となり、5月には反動減という状態。ただし、6カ月平均で見ると5月は571.1万件に達し、過去最大を更新。

雇用者数と求人件数の合計に占める求人件数の割合を示す求人率は3.7%となり、4月の3.9%からは低下。ただし、回復目安の3.0%には2014年4月時点で到達し、2015年7月と2016年7月には過去最高となる4.0%まで上昇し、現在も高水準での揉み合い状態。強いて言えばピークアウトの可能性も若干懸念される状況。
この他、採用率は4月の3.5%から3.7%へと上昇。回復目安の3.8%には2015年12月と2016年2月の2度到達し、この水準付近での揉み合いから再び3.8%手前に。
離職率は4月の2.1%から2.2%へと上昇。回復目安の2.1%には2015年12月に到達し、2016年5月以降は13カ月連続で2.1-2.2%の水準を維持。
解雇率は1.1%で8カ月連続の横ばい推移。回復目安の1.4%以下の水準には、2009年11月の段階でいったん到達し、2010年8月以降はほぼ7年間この水準以下をキープ。

イエレン・ダッシュボードとしてイエレンFRB議長が重視してきた労働指標のうち、JOLTS労働異動調査関連の指標は全て目標到達済の良好な状態。

残る指標、雇用統計関連では雇用者数、失業率、U6失業率が既に目標水準到達済の状態で、目標未達は労働参加率と長期失業者の割合。
6月雇用統計では労働参加率が62.8%へと上昇も回復目安とされる66.1%には程遠く、長期失業者の割合は24.3%となり、回復目安19.1%手前で失速状態。
全9指標中7指標は目標到達済で、残り2指標は当分未達の状態が続きそうな状況ですが、トータル的には概ね良好でイエレン議長の判斷に影響を与えるような状況にはなさそうです。

ただ、この日はハト派のブレイナードFRB理事が「更なる利上げ前にインフレについての的確な判断が必要」との慎重姿勢。3月時点では「早期利上げの準備は整った」との強気姿勢を見せていた状態から、やや軟化した様子。
さらに、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁も「再投資停止後の市場反応を確認してから3度目の利上げを検討すべき」との見解を示しています。6月末時点では「年内あと1回の利上げは理にかなう」 としていたタカ派姿勢からこちらもやや慎重姿勢に。

労働指標は極めて良好な状態を維持しながらも、賃金上昇率やインフレ低迷などの問題を抱えながら、ここまで強気姿勢を貫き続けたイエレンFRB議長も、議会証言では本来のハト派気味に、慎重姿勢も見られるかもしれません。

NY金・日足チャート 2017/6/6 - 7/1111日のNY金相場は0.12%の小幅続伸。ドル高優勢の展開となった東京時間には1210ドル前半から1210ドル割れへと軟調推移、欧州時間には1210ドルをはさんでの揉み合い後、トランプJr.のロシアゲート疑惑で1210ドル台半ばへと小幅に急反発。その後もブレイナードFRB理事のハト派発言などを支えに堅調推移となり、今朝の時間外では1210ドル台後半。6月末からの下落基調は1200ドルの大台ライン手前でいったん下げ止まり、小幅に戻り局面形成という状態に。イエレン議会証言でも慎重姿勢が見られるようなら、もう一段の戻り余地も。6月6日高値から7月10日安値までの38.2%戻し1240.2ドル付近までが当面の上値目安となりやすく、安値更新の場合には1月末安値圏1190ドル前後までが次の下値目安に。

NYプラチナ・日足チャート 2017/6/6 - 7/11NYプラチナ相場は0.35%安となって小幅に3日続落。NY市場では一時12月15日(888.7)以来、ほぼ7カ月ぶり安値となる891ドルまで下落した後に反発。終値でも12月29日(897.8)以来、6カ月半ぶりの900ドル割れ。ただし、今朝の時間外では900ドル台を回復し、短期的な下値目安900ドル割れ水準にしっかりと到達したことによる一服感もあっての反発という形に。また、昨年後半以降の下値サポート水準890ドルに支えられた格好で、いったんは落ち着きやすいところ。当面の反発目安は920ドル台まで、安値更新の場合には800ドル台前半が警戒水準に。

ドル円・日足チャート 2017/6/7 - 7/11ドル円は0.09%の小幅安となって3日ぶりの反落で114円割れ。堅調推移となった東京市場とNY朝にも114円40銭台まで上昇し、3月15日(114.88)以来4カ月ぶりのドル高円安水準に到達。5月高値114円30銭台をわずかに超え、4月安値と6月安値とのダブルボトムのネックライン超え。しかしトランプJr.のロシア接触疑惑をきっかけに急反落。114円割れ後にはハト派のブレイナードFRB理事の発言に上値を押さえられる形となり、今朝にかけてもやや軟調推移。結局、強めの抵抗水準を突破できずに反落の展開となり、目先は113円前半までがサポート水準として意識される展開に。下抜けると112円半ばまで調整局面形成へ。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場7/11終値とチャート

12日の国内金価格は0.13%の小反落。短期下落トレンドスタートを示唆した状態のままで値動き停止状態に。NY金の反発に支えられる形で下げ渋る状態が続き、下押し圧力は後退傾向へ。4680円台を目安とする下値トライ進行への可能性を残しながら、耐える展開が継続。

プラチナ価格は0.17%の小幅続落。今年安値圏での鍋底状態形成からの反発局面入りか、保ち合い長期化に伴う反発への勢い後退による底割れか、両睨みの様相に。3540円から3600円までのレンジを抜け出した方向へと、強めのトレンド形成へ。
※参考:金プラチナ国内価格7/12とチャート

2017年07月12日(水)時点の相場
国内金:4,771 円 7/12(水) ▼6(0.13%)
国内プラチナ:3,544 円 7/12(水) ▼6(0.17%)
NY金:1,214.7 ドル 7/11(火) ▲1.5(0.12%)
NYプラチナ:898.7 ドル 7/11(火) ▼3.2(0.35%)
ドル円:113.93 円 7/11(火) ▼0.10(0.09%)
→7/11(火)のその他主要マーケット指標

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