リッチモンド・ダラス連銀の賃金指数と賃金上昇率
更新日:2017年08月01日(火)
低インフレへの懸念が強まり、雇用統計での注目度も俄然高まる賃金上昇率。直近の賃金上昇率は5月に前年比+2.42%と1年3カ月ぶり低水準へと失速した後、6月には+2.46%へと小反発。2016年後半から続いた2.6%から2.8%の揉み合いから急落した水準からは抜け出せない状態が続きます。
リッチモンド連銀製造業指数の構成指数の一つ、賃金指数では、5月に21.0となって2014年5月(21.0)以来3年ぶりの高水準となった後、6月は10.0へと1年7カ月ぶり低水準へと急落、そして7月は17.0へと反発した状態。
ダラス連銀の賃金指数では、5月に24.3となって2014年12月(25.0)以来2年5カ月ぶりの高水準、6月は21.1へと低下、そして7月も20.6へと小幅続落した状態です。
過去の推移を見ると、2008年から2009年の金融危機時にはリッチモンド連銀とダラス連銀の賃金指数が先行して急落。賃金上昇率は遅れて急落していました。その後の反発局面では賃金上昇率はリッチモンド・ダラス連銀の賃金指数に追随し切れない状態が長期間続きました。
最近の数年間では、賃金指数も若干の上昇傾向となり、賃金上昇率もようやくこれらに追随して上昇。
賃金上昇率に対して、リッチモンド連銀とダラス連銀の賃金指数は先行性があるようにも見えます。
また、2つの地区連銀の賃金指数はそれぞれ金融危機前、2007年の水準をほぼ回復しているのに対し、賃金上昇率は金融危機前の水準3%近辺にはまだまだ手が届かない水準。リッチモンド・ダラス連銀の賃金指数がもう一段上昇しないと賃金上昇率のさらなる上昇は望めないのではないか、という状態のようにも見えます。
少なくとも、リッチモンド・ダラス連銀の賃金指数は長期的に見た高水準での揉み合い状態にあり、賃金上昇率の急加速を連想させるような状況にはなさそうです。
31日のNY金相場は0.39%高で3日続伸。フィッシャーFRB副議長が政府の政策見通しを巡る不透明感が米企業の投資を抑制との懸念を示し、そのトランプ政権では21日に指名されたばかりのスカラムチ広報部長が早くも解任。ホワイトハウス内の迷走を意に介さないNYダウは5日続伸で過去最高値更新、しかしユーロ高が続きドルインデックスはおよそ1年3カ月ぶりの安値圏へとドル全面安の流れも続く7月末。小動きとなった米10年債利回りを睨んで金も1カ月半ぶり高値圏となる1270ドル台で小動き。1260ドルの節目を超えてスタートした短期上昇トレンドは週末にかけての米指標でポジティブ・サプライズでもない限りゆるやかに進行か。今年高値更新にはネガティブ・サプライズも必要となりそうだが、1290ドル近辺までは届きそうな流れ。
月間ベースでは+31.1ドル(2.5%)と反発。上昇基調の20カ月移動平均線(1240.8)にサポートされての堅調推移。
NYプラチナ相場は0.44%高となって3日続伸。6月14日(951.9)以来、1カ月半ぶりの水準を回復し、
上値を押さえられ続けた90日移動平均線(938.6)をようやく突破、このところの保ち合い上限となっていた940ドルの節目も上抜けつつあり、短期的には上昇トレンド形成への可能性が高まる状況に。金の上値トライに追随する展開となれば、ダブルトップとなっていた5月と6月高値970ドル手前の水準が当面のターゲット。なお、この水準は5月安値と7月安値とで構成するダブルボトムのネックラインにも相当し、超えることができれば中期的には一段高も想定される重要水準。
月間ベースでは+17ドル(1.84%)の反発。ほぼ水平状態の20カ月移動平均線(976.0)を下回る水準での推移は5カ月連続。
ドル円は0.41%の続落。先週末に111円の節目を割り込んだことで軟調推移が継続。月末ロンドンフィックスにかけてのユーロ買いの勢いやトランプ政権迷走を嫌気したドル売りがこの流れを後押し、1カ月半ぶりのドル安円高水準。3日の国内内閣改造でも期待感剥落となれば円高要因も加わってドル円の下押し要因に。米住宅市場の好調を示した6月中古住宅販売成約指数の上振れや、予想を若干下回ったものの高水準を維持した7月シカゴPMIも材料視されず。本日のPCEデフレーターや週末の雇用統計、賃金上昇率などがかなりポジティブな数値とならない限りはドル安の流れは継続か。109円後半までが目先の下値目安で、ネガティブな指標があれば109円近辺までの下落も想定。
月間では-2.18円(1.94%)の反落。ゆるやかに下落する20カ月移動平均線(110.59)をわずかに下抜け。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場7/31終値とチャート
1日の国内金価格は0.21%の反落。4830円の節目を上抜けて短期上昇トレンド加速へ、と思われた状態からの失速でいったん足踏み。NY金の堅調推移をドル安の勢いが一時的に上回った形も、流れとしては上方向優勢の状態は続き、高値更新へと向う展開へと発展する可能性はまだ十分に想定可能。今週中に4830円台へと水準を切り上げることが出来ないようなら若干雲行きが怪しくなることにもなりかねないものの、そうはならない、と予想。
プラチナ価格は0.2%の小幅続伸。
3540円から3600円までのレンジでの底値保ち合い状態は6月半ばから足掛け3カ月めに突入。上値トライの兆しとなってきたNYプラチナに追随できれば目標水準3700円台前半の上昇トレンド形成へ。
※参考:
金プラチナ国内価格8/1とチャート
2017年08月01日(火)時点の相場
国内金:4,817 円 8/1(火)
▼10(
0.21%)
国内プラチナ:3,581 円 8/1(火)
▲7(
0.20%)
NY金:1,273.4 ドル 7/31(月)
▲5.0(
0.39%)
NYプラチナ:940.7 ドル 7/31(月)
▲4.1(
0.44%)
ドル円:110.25 円 7/31(月)
▼0.45(
0.41%)
7/31(月)のその他主要マーケット指標
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