トランプ助言組織解散とFOMC議事要旨で反転トレンド巻き戻しへ
更新日:2017年08月17日(木)
7月のFOMC議事要旨では、予想された低インフレへの警戒感がクローズアップされた形となり、かなりハト派色が強まる印象となりました。
一時的要因としていた低インフレから抜け出せない状況が続いていることに対しては、
1)本当に一時的かどうかの見極めができるまで(即ち、インフレ上昇が確認できるまで)利上げ再開を保留すべき。
2)インフレ率は現在の予想よりも長い間2%を下回り続ける可能性も。
3)インフレ見通しは下落方向に動くリスクも。
など、慎重姿勢からやや悲観的な見方まで、ハト派優勢の状況です。
その一方で、利上げ保留に伴うインフレ急騰リスクを警戒するタカ派意見も根強く存在するものの、これは極めて少数派と見られ、投票権保有メンバー内ではハト派トーンが強まりつつあるようです。
少なくとも、
コアPCEが現在の前年比+1.5%から+2.0%方向へと動き出すまでは、この態勢は続くものと思われ、第4四半期まで続くことになれば、年内の追加利上げは見送られることになりそうです。
そんな思惑から、
今年の重要水準で反転したかに見えたトレンドが急速に巻き戻される状態となり、ドル買い金売りの流れからドル売り金買いへと巻き戻されています。
ある程度予想どおりとも言える今回のFOMC議事要旨は、この巻き戻しの流れのきっかけではなく、追加材料となった様子です。
きっかけとなったのは、トランプ米大統領の2つの助言組織の解散。
バージニア州で発生した白人至上主義団体と反対派との衝突事件に対して「双方に責任」があると発言したトランプ大統領への批判が高まり、米国の主要企業首脳で構成する「製造業評議会」と「戦略・政策フォーラム」の2つの組織からの辞任が相次ぎ、組織解散を求める声も多数挙がっていた模様。
トランプ大統領の失言や暴言、側近や周辺での対立や混乱などが絶えない状況は、まだまだ続きそうな様子です。
いずれ、インフレ率が2%へと上昇したとしても、このトランプ・リスクだけはくすぶり続けることになりそうです。
16日のNY金相場は3日ぶりの小反発で0.25%高。1270ドル後半での小康状態から、NY引けにかけてはトランプ米大統領の戦略・政策フォーラム解散報道を受けて1280ドル台へ、さらにハト派トーンとなったFOMC議事要旨を受けて1290ドル近辺まで反発。1260ドルから1300ドル手前までの主要レンジを上方へと圧縮する動きとなり、レンジ下限を1270ドル半ばへと切り上げようかという状態に。方向感は調整優勢から中立へ、目先、上方向には1300ドルラインはまだ強めの抵抗線、調整再開で1270ドル方向へと反落の場合には1260ドル前後が次のサポート水準。
NYプラチナ相場も3日ぶりの反発で0.73%高。南アフリカの護民官が中央銀行の役割変更を提案していた問題で、南ア高裁が15日に従来どおりインフレターゲットを使命とすることを容認したことで中銀の独立性維持が保たれ、南アランドが買われていることも好感し、プラチナも反発の動きとなっていた状態から金の反発に連れて一段高。高値からの反落を960ドル半ばで折り返した形となり、今朝の時間外では980ドル台を回復。960ドル台から990ドルまでの高値保ち合いを形成し、上限突破なら1000ドルの大台超えの確率はかなり高まり、下限割れなら940ドル付近までの調整進行も。
ドル円は3日ぶりの反落で0.43%のドル安円高。欧州市場からNY市場にかけては110円90銭台まで上昇も、目先の抵抗水準となる111円ラインを超えられず、トランプ・リスクで反落した流れはFOMC議事要旨で加速、110円付近まで1円弱の急落局面を形成。結果的にドル高円安方向への流れ加速への分岐点111円が上限となり、109円の下限ラインまでの保ち合い中程まで押し戻され、今朝の東京市場では109円台後半へと下値トライ再開の様相も。目先は米指標にある程度敏感に反応しながらも保ち合い傾向継続へ。レンジ上限を突破できれば113円までの大幅反発局面形成も、下限割れの場合には今年安値更新で107円付近までが意識される大幅下落局面形成も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/16終値とチャート
17日の国内金価格は0.27%の続伸で6月8日(4857)以来の高値水準。夏場前半の保ち合い回帰への兆しを回避、スローペースの短期上昇トレンドを維持し、4930円台を上値目標とする夏の大相場形成への可能性をなんとかつなぎとめた状態。21日移動平均線(4816)が90日移動平均線(4811)をわずかにゴールデンクロスし、弱めながらも上昇基調をサポート。トレンド加速に向けてはNY金の高値更新が必要。
プラチナ価格は0.95%の大幅続伸。3月22日(3747)以来、ほぼ5カ月ぶりの高値水準となり、3690円の節目も突破。移動平均線の昇順パーフェクトオーダーも完成し、もう一段高の兆し。少なくとも上値目標3730円台までの上昇確率は高まり、NYプラチナが大台回復となれば3700円台後半も。
※参考:
金プラチナ国内価格8/17とチャート
2017年08月17日(木)時点の相場
国内金:4,854 円 8/17(木)
▲13(
0.27%)
国内プラチナ:3,701 円 8/17(木)
▲35(
0.95%)
NY金:1,282.9 ドル 8/16(水)
▲3.2(
0.25%)
NYプラチナ:974.5 ドル 8/16(水)
▲7.1(
0.73%)
ドル円:110.19 円 8/16(水)
▼0.49(
0.44%)
8/16(水)のその他主要マーケット指標
ECBのユーロ高牽制にも米鉱工業生産は伸び悩み、金は1290ドル 08/18(金)米7月小売売上高は年初来最大の伸び率、短期トレンド反転加速 08/16(水)クリーブランド連銀インフレ期待モデル再失速、2%到達は20年後 08/15(火)1300ドルと108円、2.10%台の壁と93ポイント近辺のサポート帯 08/14(月)
最近よく読まれた記事
明日の国内金プラチナ相場価格リアルタイム予想
PIVOT指数から見るNY金相場サポート&レジスタンスライン
PIVOT指数から見るNYプラチナ相場サポート&レジスタンスライン