2017年末コアPCE見通し1.5%に向けて早くも暗雲!?
更新日:2017年09月30日(土)
米商務省が発表した8月の個人消費物価指数(PCEデフレーター)は前年比+1.4%。市場予想の+1.5%を下回り、昨年9月以来の低水準で3カ月連続の横ばい推移。食品とエネルギー関連を除くコアPCEは前年比+1.3%。これも市場予想の+1.4%を下回り、2015年11月(1.3)以来1年9カ月ぶりの低水準。2011年4月以降6年4カ月間での最低水準となる1.3%まで再び低下してきた状態です。
内訳として、商品とサービスに大別すると商品は前年比+0.1%、サービスは前年比+2.0%となり、商品関連の価格上昇率低迷が足を引っ張る状況です。
商品は今年2月の+1.2%が最大となり6月には-0.4%まで低下、その後の回復が遅れている状態です。
サービス関連も今年2月の前年比+2.6%から減速傾向が続く状態にあり、インフレ率上昇を牽引する状況にはなっていないようです。
サービス関連の内訳として、食品関連は今年1-2月の-1.5%から7月にようやくプラス転換し、8月は+0.3%と回復傾向にはありますが、まだまだ低調。
エネルギー関連は2月の+17.3%から6月の+2.1%まで減速後、8月には+6.7%まで戻してきた状態です。インフレ加速の牽引役と言えるエネルギー関連の勢いもまだ回復途上。
今後、エネルギー関連がさらに加速することになれば、PCEデフレーターも徐々に加速方向へと上昇していくことにはなりそうです。
しかし、そのエネルギー関連を除外するコアPCEについては、加速への望みはまだまだ弱い状況と言えそうです。
9月FOMCでは2017年末のインフレ見通しを引き下げましたが、(中央値で)PCEの前年比+1.6%はともかく、コアPCEの前年比+1.5%に向けては、早くも暗雲が垂れ込めてきました。
29日のNY金相場は0.3%の反落。1290ドルをはさんでの揉み合いから8月16日以来1カ月半ぶりの水準となる1280ドル台へと軟調推移。米8月PCEデフレーターが予想以上に低調となったことでこの日の高値1293ドルまで上昇も、その後発表された9月シカゴPMIが65.2と市場予想の58.7を上回り、8月の58.9からも大幅上昇したことで巻き戻し。さらにトランプ米大統領がFRB議長職に関して、タカ派とされるケビン・ウォルシュ元FRB理事と会談したことが伝えられてのドル買い急進に伴い、金の軟調推移は加速。今朝の時間外では一時1270ドル台後半まで下げて1280ドル台へと戻した状態、
短期下値目安1270ドル台に到達して9月を終了。調整局面はいったん落ち着く可能性もあり、当面の予想レンジとしては9月初旬までの上昇幅の61.8%戻しとなる1260ドル台から38.2%ラインの1300ドル近辺まで。
週間ベースでは-12.7ドル(0.98%)で3週続落、ほぼ水平状態の52週移動平均線を大きく上回る水準での調整局面。月間では-37.4ドル(2.83%)の反落、上昇基調の20カ月移動平均線にサポートされる状態が8カ月続く上昇トレンド中の大幅調整。
NYプラチナ相場は1.16%の大幅安となって4日続落。金の軟調推移に連れて水準を切り下げ、7月13日(907.1)以来2カ月半ぶりの安値水準に。先日の十字線からの反発はかなわなかったものの、今年安値圏となる900ドル前後の水準までほぼ一本調子で戻してきたこともあり、金が下げ止まればプラチナもいったん下げ止まりへ。当面の予想レンジは900ドル近辺から、90日移動平均と今回の下落幅の38.2%戻しとなる950ドル辺りまで。
週間ベースでは-21.8ドル(2.34%)で3週続落、下落基調の52週移動平均線を下抜けて2週目。月間では-88.2ドル(8.83%)の大幅反落、月間騰落率としては昨年5月(-9.1%)以来1年4カ月ぶりの大幅下落。水平から上向きつつある20カ月移動平均線を大きく下抜けて横ばいから反落の兆しも。
ドル円は0.16%のドル高円安となって小幅反発。8月のPCEインフレ指標が低調となったことで112円50銭台からこの日の安値112円20銭近辺まで急落。1時間15分後には9月のシカゴPMI上振れと次期FRB議長指名への情報錯綜に伴うタカ派路線への思惑からこの日の高値112円70銭台まで急騰。ただしNY市場終盤にかけては週末の売りも出て112円半ばへと収束。短期上昇トレンドは失速し、112円30銭から80銭までが目先のコアレンジとなって次週の米経済指標結果に左右される展開へ。レンジ上抜けなら113円台後半が次の上値目標、下抜けの場合には111円後半が次のサポートに、これも下回るようだと調整局面拡大で110円半ばが下値目標へ。
週間ベースでは+0.51円(0.45%)となって3週続伸、上昇傾向が続く52週移動平均線(111.37)にサポートされる上昇トレンド。月間では+2.55円(2.32%)で3カ月ぶりの反発、下落基調が続く20カ月移動平均線(109.65)を大きく上抜けてトレンド転換に向けての攻防継続。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/29終値とチャート
2017年09月30日(土)時点の相場
国内金:4,987 円 9/29(金)
▼3(
0.06%)
国内プラチナ:3,594 円 9/29(金)
▼3(
0.08%)
NY金:1,284.8 ドル 9/29(金)
▼3.9(
0.30%)
NYプラチナ:910.3 ドル 9/29(金)
▼10.7(
1.16%)
ドル円:112.51 円 9/29(金)
▲0.18(
0.16%)
9/29(金)のその他主要マーケット指標
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