ユーロ圏も景気上振れで製造業PMIも過去最高、もインフレ低迷
更新日:2017年12月15日(金)
ユーロ圏の景気加速はまだまだ続きそうな勢いです。
マークイットが発表した12月の製造業PMI速報値では、フランスが11月の57.7から59.3へと予想外の急騰で17年3カ月ぶりの高水準。生産も17年4カ月ぶり高水準、新規受注の増加率は7年間で最大。17年間で最大の追加スタッフを雇用する事態となっています。
ドイツの製造業PMIも11月の62.5から63.3へと一段と上昇、1996年の調査開始以来、過去最高水準。総選挙からほぼ3カ月が経過しても政権が樹立されない空白状態にあっても、この影響を全く感じさせない好調が続き、国内外の需要は力強く伸び続けているようです。
この結果、ユーロ圏の製造業PMIも11月の60.1から60.6へと5カ月連続の上昇となり、これも調査開始以来で過去最高水準に。サービス業も2011年初以来の高水準となり、雇用も17年間での最高水準、インフレ圧力も上昇傾向は継続している、との見方もあるようです。
この日のECB理事会で示されたユーロ圏の経済成長見通しでも、2018年は前回の1.8%から2.3%へと大幅上方修正されています。
ドラギECB総裁も、指標は「経済成長が底堅く続いている」ことを示しているものの、「十分な量的緩和はまだ必要」との見解。
また、「インフレは中期的には上昇」するはずだが、現状としては「価格の上昇圧力は依然として弱い」との見方。
インフレ見通しも2018年の1.4%から2020年の1.7%まで、ECBの物価目標「2.0%近辺」を下回る低迷状態が続きます。
少なくとも来年9月まで継続予定の債券買い入れによって、ユーロ圏の好景気もまだしばらく続きそうな状況にあり、早くても2019年以降と見られるECBの利上げがスタートするまで、低インフレ状態も続くことになりそうです。
米欧の景気好調、低インフレ、低金利状態が、株高をサポートする状態もまだしばらく続きそうで、同時に金価格の下値も限定的にとどめるサポート要因にもなっています。
14日のNY金相場は0.68%の続伸。前日NY引け後のFOMC直後の急騰で1250ドル台後半へと水準を切り上げた後は小康状態。高値では一時1261ドルまで上昇も、1260ドル台を維持できず。タカ派的ではなかったFOMCを好感しての上昇も、米税制改革法案成立に向けた動向への警戒感などもあり、上値もまだ軽くはなさそう。米11月小売売上高の好結果をきっかけにやや売られる場面でも下値は1250ドル台前半までと限定的に。9月以降の下落トレンドが終息によるいったん底打ちの可能性は高まる状況も、23.6%戻し(1267.6ドル)から200日移動平均線(1268.3)近辺が当面の抵抗水準となり、反発基調継続への分岐点にも。
NYプラチナ相場は0.66%の反発。FOMC後に880ドル後半へと上昇した流れでは890ドルラインが抵抗線となって上値を押さえられると反落気味の展開に。NY朝には880ドル割れへと軟調推移となり、引けにかけてなんとか880ドル台を回復。反発基調本格スタートに向けての勢いは金に比べて弱い、従来の関係性にすっかり戻った状態となり、抵抗水準となりつつある890ドル超えの為には金の反発基調加速が必須条件に。目先はまだ下値警戒感が残り、戻り売り圧力が少しでも強まる展開となれば860ドル前後までの下落は見込まれそうな状況。
ドル円は0.13%の小幅ドル安円高となって3日続落。FOMC後のドル売り急進後の反発は112円80銭台までが上限となって戻り売り優勢の展開に。NY市場では、失業保険申請件数も11月の小売売上高も好結果となったものの上値は限定的となり、現状の税制改革法案に賛成しない可能性がある共和党上院議員がいることも伝えられると、株安と金利低下の流れが強まり、ドル円は112円00銭台まで下落。今朝の東京市場でも112円20銭台で軟調気味の推移が続き、下値警戒感も徐々に高まりそうな雲行きに。20日移動平均線(112.31)との攻防状態から完全に下抜けてしまうと、ドル安円高方向への流れが加速する可能性もあり、11月末安値圏111円前後では下げ止まらず、9月半ばまでの保ち合い上限付近、110円半ばまでが下値目安に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場12/14終値とチャート
15日の国内金価格は0.39%安となって3日ぶりの反落。中長期上昇トレンドをサポートしてきた
200日移動平均線(4872)との攻防状態は続き、前日の上抜けの兆しから一転、今度は下抜けの兆しへ。目先、200日線が抵抗水準となるようなら、下値目安4820円台辺りまで一段安の展開へ。
週間ベースでは-12円(0.25%)の小幅安となり、昨年8月以来、1年4カ月ぶりの5週続落。
プラチナ価格は1.13%の大幅反落となり、昨年10月25日(3394)以来、ほぼ1年2カ月ぶりの安値水準。今回の急落局面での
下値最大目安3400円台半ばまでしっかり下落したことに伴う一服感もつかの間、しばしば行き過ぎるプラチナはこの局面でまたもオーバーラン。売られ過ぎの過熱感も急速に高まる状態となり、ここから先はいつ急反発の展開となってもおかしくはないところ。ただし、下値警戒感がくすぶるNYプラチナが一段安の展開となった場合には3400円の大台前後の水準が次の下値目安にも。金との価格差もこれまでの最大水準1410円台を突き抜けて1437円まで急拡大し、トリプルトップ形成に向けて縮小のシナリオもいったん消滅。
週間ベースでは-74円(2.12%)と続落。
※参考:
金プラチナ国内価格12/15とチャート
2017年12月15日(金)時点の相場
国内金:4,858 円 12/15(金)
▼19(
0.39%)
国内プラチナ:3,421 円 12/15(金)
▼39(
1.13%)
NY金:1,257.1 ドル 12/14(木)
▲8.5(
0.68%)
NYプラチナ:881.2 ドル 12/14(木)
▲5.8(
0.66%)
ドル円:112.39 円 12/14(木)
▼0.14(
0.13%)
12/14(木)のその他主要マーケット指標
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