米ドルは高金利通貨に、利上げペースは年3回継続で3.5%まで
更新日:2018年03月22日(木)
FF金利が1.50-1.75%へと引き上げられたことで、上限金利はニュージーランドと並び、
主要先進国のなかでは高金利通貨となった米ドル。金融政策は当面緩和的に留めることを表明したニュージーランド準備銀行に対して、米FOMCでは年内に少なくともあと2回の利上げが見込まれることが示され、6月にも1.75-2.00%へと引き上げられてニュージーランドの金利も完全に上回ることが確実視される状況となっています。
FF金利見通し中央値では2.125%で前回12月から変わりませんが、2018年末までに4回の利上げを予想したFOMCメンバは12月には16人中4人、25%だったのに対し、今回は15人中7人。46.7%へと急増しています。中央値は2019年に2.875%で3回、2020年には3.375%でさらに2回といずれも上方修正。FF金利は2年後に3.5%まで引き上げられる可能性があることも示されました。
以前と比較するとかなりタカ派的な見通しのようにも見えますが、株価は下げ渋り米長期金利は低下、ドル売りが進行する展開となっています。
GDP見通しの中央値は2018年が2.5%から2.7%へ、2019年も2.1%から2.4%へと大幅上方修正も2020年の2.0%と長期見通し1.8%は据え置き。
減税と財政出動の影響などもあり、「景気見通しは最近数カ月間に底堅さを増した」ことを反映した様子も、2020年以降は伸びが鈍化する見通しに。
ただし、失業率見通しは2018年末が3.9%から3.8%へ、2019年は3.9%から3.6%へ、2020年も4%から3.6%へと一段と低下見込みが続き、長期見通しもこれまでの4.6%から4.5%へと引き下げ。
既に完全雇用とされていたはずの失業率は、当面底打ちすることなく、今後もまだまだ下がり続けるだろう、との強気見通し。
コアPCEインフレ見通しは2018年は1.9%で変わらずも、2019年末は2.0%から2.1%へと上方修正。
FRB理事の定員7名に対して3名体制で臨んだ今回のFOMCでは、「貿易政策は反映していない」とのこともあり、今後の体制変更や貿易戦争への警戒感などを差し引いた市場反応となっているのかもしれません。
21日のNY金相場は0.73%の反発。時間外での1310ドル割れは一時的にとどまり、ドル安の流れを受けて堅調に推移。NY朝には1320ドル台を回復、NY引け後のFOMC結果を受けて1330ドル台へと急騰、一時2週間ぶり高値となる1336ドル台まで上昇、今朝の東京市場の時間帯も1330ドル台での推移。年内の利上げ見通しが強まらなかったことで下方リスクは大きく後退、1310ドルが当面のサポート水準となり、ここを割り込んだ場合でも1300ドルの大台維持か下抜けても一時的で1290ドル台まで。逆にこのまま1330ドル台を維持できれば地合い好転、利上げ決定後の反発基調が今回もスタートする可能性。当面の上値目標としては今年高値再トライで1370ドル台まで。
NYプラチナ相場は0.59%の反発。940ドル台を維持した時間外からNY市場では950ドルをはさんでの揉み合い推移へと水準を切り上げ、NY時間外でのFOMC後の急騰局面では一時960ドル台まで上昇。今朝の東京時間では950ドル台後半での推移。金と同様に大幅下落リスクは大きく後退し、940ドルが当面のサポート水準として機能しそうな状態となり、上方向には970ドルが引き続き抵抗水準に。目先、下限割れの場合でも下値は930ドル前後までにとどまる可能性が高まり、上限突破の場合には流れが大きく好転、1000ドルの大台トライへと向う可能性も。
ドル円は0.48%のドル安円高となって前日上昇分を帳消し。FOMC前からやや軟調の推移となり、欧州時間には中国の「米関税への対抗措置」を計画していることが伝えられて30銭ほど急落する場面も。やや不安定な動きで迎えたFOMCの結果も強弱見方も分かれる面もあり、106円60銭台まで急騰後に急反落と乱高下の反応。結果的にはドル安優勢の流れとなった形で今朝の東京市場では106円割れ。FOMCの結果を受けてドル安圧力がさらに強まるような状況ではないものの、中国やEUの米国への報復関税などへの警戒感もあり、ドル高への推進力も後退。目先、106円台を回復できないようなら下値再トライへの勢いが強まる可能性もあり、そうなれば下値目安は今年安値を更新、104円台半ば辺りまで。106円台後半へと反発できればドル高円安方向への流れ再開で上値目標は108円台前半まで。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場3/21終値とチャート
22日の国内金価格は1.04%の大幅続伸。1週間ぶりの水準を回復し、
2カ月ぶりに21日移動平均(4860)の水準まで到達、年初からの下落局面も彼岸底となって流れも好転へ。4870円の節目を上抜けることになれば、反発局面加速で90日移動平均(4962)も超え、4980円台辺りまでが当面の上値目標水準に。
プラチナ価格は0.75%の続伸。
短期下値目安3460円台辺りに到達したことにより、2番底をつけての反発の流れが継続。ただし金と比べて反発力はやや控えめとなり、3450円から3550円までの広めのレンジ内中央まで戻したに過ぎず、流れは完全に反転とも言い切れない状態。目先はレンジ内での保ち合い推移を経て徐々に地合い回復へ。
※参考:
金プラチナ国内価格3/22とチャート
2018年03月22日(木)時点の相場
国内金:4,859 円 3/22(木)
▲50(
1.04%)
国内プラチナ:3,504 円 3/22(木)
▲26(
0.75%)
NY金:1,321.5 ドル 3/21(水)
▲9.6(
0.73%)
NYプラチナ:950.6 ドル 3/21(水)
▲5.6(
0.59%)
ドル円:106.03 円 3/21(水)
▼0.51(
0.48%)
3/21(水)のその他主要マーケット指標
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