米製造業受注は堅調推移続くも鉄鋼アルミ関税懸念も
更新日:2018年06月05日(火)
米商務省が発表した4月の製造業受注は前月比-0.8%となり、市場予想の-0.5%を下回りました。ただし、3月分が前月比+1.6%から+1.7%へと上方修正されており、2月の+2.0%と合わせて前月比増が続いたことによる反動もあります。
3カ月平均で見ると4月は+1.0%。昨年8月から9カ月連続のプラス圏推移となっています。3カ月平均では、昨年7月の-0.2%をはさんで2016年8月までプラス圏となっています。
2016年8月から1年9カ月間、ほぼ前月比増となり、基調的には堅調な状態が続いていることになります。
ISM製造業景況指数でも5月まで高水準での推移が続いていることから、ハードデータでも米製造業の好調を示す結果はもうしばらく続くことになりそうです。
しかし、6月1日からはこれまで適用除外となっていたカナダ、メキシコ、EUに対しても鉄鋼・アルミニウム追加関税が適用されています。
それでなくとも原材料価格の上昇がマイナス材料として懸念される米国内製造業にとっては、さらなる材料価格上昇が警戒されます。
米国の鉄鋼アルミ輸入関税導入に対しては、メキシコが世界貿易期間(WTO)に対して紛争処理手続きを開始し、英国のメイ首相は「正当化できない」と遺憾の意を表明し、EUとしては今月20日頃をめどに米製品に対する報復関税導入を表明しています。カナダも報復措置を表明していることから、今週末のG7でも「G6+1」の対立の構図は避けられそうにありません。
一朝一夕におさまる問題でもなく、米中協議を含めて貿易関連での主要国と米国との関係悪化や小さな波乱は続き、貿易摩擦懸念はくすぶり続けることにもなりそうです。
そうこうしているうちに米国内製造業の景気ピークアウトをきっかけに景気後退懸念が台頭し、世界経済へと負の連鎖が波及する時期が早まることにもなりかねません。
4日のNY金相場は0.15%の小幅続落。イタリア・スペインの政局不安が後退したことを受けてユーロ買い主導のリスク選好の流れが先週から続いており、週明けも欧州時間にはユーロ買いの流れが強まり、相対的にドル売りが強まったことを受けてNY金は1290ドル台半ばから1300ドル台前半へと小幅に上昇。しかしNY市場では米株高の流れもあり、ドル買い優勢の展開となり1300ドル割れへと軟調推移。1300ドルをはさんでの保ち合い推移が続くなか、20日移動平均線(1302.4)が抵抗線となってわずかに下方シフトの兆しも。しかし、週末のG7から次週の米朝会談、FOMC、ECB理事会など重要イベントウィークを控えていることもあり、もうしばらくは小康状態継続か。1290ドル台から下方向への流れが強まるようなら1270ドル前後までの下値トライへ。巻き戻して1310ドル超へと抜け出すと上値トライの展開で1340ドル近辺が上値目標にも。
NYプラチナ相場は0.35%安で続落。上値は910ドル台を試すもこれを維持できず、下値は900ドルラインにサポートされる小幅保ち合い状態が継続。流れとしては5月後半に底値をつけて反発基調に転じたものの、910ドル近辺の水準で上値を押さえられて失速。パターン的には反落を警戒する状況にも。保ち合い長期化に伴い、900ドルのサポートを割れると850ドル前後までの下値トライの展開にも。逆に910ドル台を上方向に抜け出すことになれば反発の流れが再加速、3月高値圏970ドル辺りが上値目標にも。
ドル円は0.26%のドル高円安で続伸。南欧政局リスク後退と米雇用統計の好結果を受けてのリスク選好地合いが続き、ナスダックの過去最高値更新など株高の流れとともにユーロや新興国通貨などが買われてドル安円安、ドル円では小幅に円安が勝る展開に。ややドル売りの勢いが強まった欧州時間には109円30銭台までの下押し、NY市場では109円80銭台まで反発しほぼ2週間ぶりのドル高円安水準に。今朝の東京市場では110円寸前まで上値を試して失速。短期的な
上値目安110円近辺に到達した形となり、円安一服となる可能性も。目先は109円台を主要レンジに重要イベントウィークにかけては108円半ばから111円までレンジを拡大する可能性もあり、ドル高円安方向に111円を超えると113円台が意識され、108円台半ばを割り込むようなら106円台前半までの円高も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場6/4終値とチャート
5日の国内金価格は0.16%の小幅続伸。5月半ばから抵抗線となっていた9日移動平均線(4890)をわずかに上抜け、短期下落トレンド脱却に向けての第1関門をクリア。第2関門は90日移動平均線(4928)とこれをデッドクロスした21日移動平均線(4922)。この水準を上抜けると反発の勢いが強まり、5月高値圏4980円近辺を目指す展開にも。ただしNY金にやや軟調な兆しも見られ、下方圧力が強まり4860円の節目を割れると3月後半安値4820円近辺までの下値再トライの展開にも。
プラチナ価格は0.18%安となって4日ぶりの反落。今年安値圏で上下動を繰り返す保ち合いで鍋底を形成しつつあり、流れとしては反発方向優勢に傾きつつある様子も。しかし、時間外のNYプラチナが900ドルのサポートライン割れを試しつつあり、再び下方圧力が強まる可能性も。目先3390円台を下回ると今年安値更新で3350円近辺までが下値目安に。反発の流れで3440円を超えると3500円台回復を目指す展開にも。
※参考:
金プラチナ国内価格6/5とチャート
2018年06月05日(火)時点の相場
国内金:4,892 円 6/5(火)
▲8(
0.16%)
国内プラチナ:3,414 円 6/5(火)
▼6(
0.18%)
NY金:1,297.3 ドル 6/4(月)
▼2.0(
0.15%)
NYプラチナ:903.5 ドル 6/4(月)
▼3.2(
0.35%)
ドル円:109.82 円 6/4(月)
▲0.29(
0.26%)
6/4(月)のその他主要マーケット指標
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