伸び悩む賃金上昇率、3カ月平均では9年ぶり高水準
更新日:2018年08月04日(土)
米
7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数(NFP)の伸びが前月比+15.7万人にとどまり、市場予想を大きく下回ったことでネガティブな市場反応となりました。
ただし、過去2カ月分は合計5.9万人の上方修正となり、
年間平均でも+21.5万人と3年ぶり高水準を維持しています。
また、失業率は予想どおりながら6月の4.0%から3.9%へと低下し、18年ぶり低水準となった5月の3.8%に次ぐ低水準となりました。広義の失業率であるU6失業率は6月の7.8%から7月は7.5%へと急低下。2001年5月(7.5%)以来、17年2カ月ぶりの低水準となっています。
そして平均時給は27.05ドルとなり、前月比+0.26%、前年同月比では+2.70%で市場予想通りの結果。ただし、5月の前年比+2.79%、6月の+2.74%に続き2カ月連続の小幅低下となっています。8年ぶり高水準となった昨年9月の+2.83%が最近のピークとなり、厳密には2.8%台を記録したのは近年ではこの月だけ。
前年比+2.8%ラインが最近の上限となり、賃金上昇率は伸び悩み状態が続いています。
ただし、3カ月平均ではこの7月に前年比+2.74%となって3カ月連続上昇、2009年7月(+2.83%)以来9年ぶりの高水準となっています。
一見、伸び悩みが続く賃金上昇率は、スローペースながらもその水準を切り上げつつあるようです。
雇用者数の伸びが鈍化したことは、労働市場が引き締まり、労働力不足が影響しているとの見方もあります。
だとすると、いずれ賃金上昇率加速へとつながる可能性も想定されます。実際に年後半には賃金上昇率は加速するだろうとの見方も多数あるようです。
その一方で、賃金上昇ペースが加速し過ぎず、比較的安定推移していることは景気過熱への警戒感を抑えることにもつながり、FRBの計画通り安定的な利上げペースを維持することへの裏付けにもなります。
「低インフレ」の謎がほぼ解消されつつある現状、残る謎は「賃金上昇率の伸び悩み」のみという状況ですが、年後半にかけてこれも解消していくようなら、FRBの計画にも軌道修正が迫られ、景気加熱への警戒感とともに次のフェーズへの思惑が高まり始めることも予想されそうです。
3日のNY金相場は+3.1ドル、0.25%の小幅高となって3日ぶりの反発。前日NY引け後に節目の1220ドルを割り込むと一時1212.5ドルまで下落。7月19日につけた今年最安値1210.7ドル以来、2週間ぶり安値となって二番底を形成する可能性を残して折返し。NY市場では米7月雇用統計でNFPの伸びが予想を大きく下回ったこともあり、1220ドル台を回復。マークイットの非製造業PMI、ISM非製造業景況指数も予想を下回る結果となって一時1230ドル手前まで上昇。しかし上値もまだ重く、週末の時間外は1221.9ドルまで下げて終了。ドルインデックスが95ポイント台に乗せて伸び悩んだこともNY金の反発をサポートした格好、ただし95ポイント台を維持したことがNY金の上値を押さえた形にも。依然として1220ドルから1230ドル半ばまで、安値圏での小幅保ち合い推移が続き、1200ドルの大台割れか1200ドル台後半へと大幅反発か、レンジブレイク待ちの様相。
週間ベースではわずかに+0.2ドル(0.02%)の小幅高となり、4週間ぶりの反発。
NYプラチナ相場は+8.7ドル、1.05%の大幅続伸。820ドル半ばでのもみ合い状態が続いた時間外から、金に連れる形で上値トライの展開となったNY市場では3日ぶりに840ドル台まで上昇。週末時間外には832.7ドルまで下げて終了。810ドル台から850ドルまでのレンジ半ばに位置し、レンジブレイクなら900ドルの大台ライン付近を目指す上昇局面形成か、再度800ドル割れを試しに行く展開か。なお、今年最安値となった7月19日の794.5ドルを頂点に7月3日安値と8月2日安値とで逆三尊を形成する可能性もあり、ネックラインとなる860ドル付近を上抜けた場合、計算上は900ドル台回復も視野に。金との価格差は386.3ドルとなり、5月22日(383.2)以来2カ月半ぶりの水準まで縮小。
週間ベースでは+5.2ドル(0.63%)となって小幅に続伸。
ドル円は35銭のドル安円高となって3日続落。欧州時間朝の111円80銭台がこの日の高値となってドル高の流れが反転、雇用統計をはじめ米7月指標が軒並み予想を下回る結果となったことに加え、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長の「中国は貿易に関してトランプ米大統領を過小評価しないほうがいい」との挑発発言なども嫌気されて一時111円10銭近辺まで下落。ドル円は20日移動平均線(111.70)との攻防にも破れて反落した形となり、ドルインデックスも95ポイント台の高値圏で伸び悩み、
米10年債利回りも3.0%ラインで頭打ちとなったこともあり、流れ的には調整的な展開が優勢にも。111円台を完全に割り込めば6月末水準109円台後半までが下値目安に、112円台へと反発できれば113円台前半までの上値再トライの可能性も。
週間ベースでは+0.25円(0.23%)で3週間ぶりの反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/3終値とチャート
2018年08月04日(土)時点の相場
国内金:4,657 円 8/3(金)
▼31(
0.66%)
国内プラチナ:3,171 円 8/3(金)
▲19(
0.60%)
NY金:1,223.2 ドル 8/3(金)
▲3.1(
0.25%)
NYプラチナ:836.9 ドル 8/3(金)
▲8.7(
1.05%)
ドル円:111.28 円 8/3(金)
▼0.35(
0.31%)
8/3(金)のその他主要マーケット指標
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