金ETFは2年5カ月ぶり低水準、反転を示唆する水準?
更新日:2018年08月09日(木)
北米の金ETF保有高の64.8%、世界全体では33.4%を占めるSPDRゴールド・シェアの保有高は、8月8日時点で786.08トン。過去2年間の最低水準となっていた2017年8月11日の786.87トンを下回り、2016年2月29日(777.27)以来、2年5カ月ぶりの低水準まで減少しています。
NY金は2011年に史上最高値、SPDRゴールド・シェアの金ETF保有高は2012年に最高水準に達し、その後はともに低下の一途となり、2015年12月17日にNY金は1049.6ドル、ETFは630.17トンでともに底打ちしていました。2016年前半にかけては金価格もETFも急上昇、2月にNY金は1200ドル台へ、ETFは3月に780トン台に達していました。
金価格もETF保有高もその頃の水準に到達したことになります。
WGCの金ETFに関するレポートによれば、世界の金ETF全体の月間フローでは、5月から7月にかけてETF残高は北米エリア主導で売りが拡大しました。ただし、5月にはユーロ急落の影響で
ユーロ圏での金価格は急騰しており、欧州での買いが北米での売りを相殺する形となり、ETF残高減少は小幅にとどまったようです。そして6月には金価格の急落とともにETFも売り込まれ、7月にはやや減速という状態となっています。
2018年前半の金価格軟調推移の背景には、ドル高と第1四半期の金需要低迷などが挙げられています。しかし、年後半に向けては、ポジティブながらも不均衡な世界経済の成長軌道、貿易戦争による為替への影響、インフレ加速とイールドカーブ逆転懸念などが金価格の押し上げ材料となる可能性も指摘されています。
8月序盤、今のところNY金価格もETF保有高も下げ止まっておらず、このまま8月も下落して終えるようだとNY金は5カ月続落。5カ月続落となれば、
金価格の歴史的高値圏からの暴落初期段階となった2012年10月から2013年2月までの時以来、5年半ぶりとなります。
歴史的に見れば、NY金価格もETF保有高も、下落基調の継続期間、その水準的にも反転を示唆するレベルに到達しています。
8日のNY金相場は+2.7ドル、0.22%の小幅続伸。時間外の1220ドル台前半からNY市場では一時1210ドル台前半まで売られても1220ドル台を回復。1220ドルをはさんで行って来いの展開で値動きはこの日も限定的。7日に米国が中国への追加関税第2弾を23日に発動することを発表したのに対し、この日は中国が同額の米製品160億ドルに報復関税適用を発表。エスカレートする米中貿易戦争の行方を見守るように、金市場は安値圏で動意低下状態。米10年債利回りが3%を超えないこととドルインデックスが95ポイント台では上値を押さえられる状態にサポートされて下げ渋る状態も、どちらかといえば下方リスクがやや勝る状態のようにも。引き続き1180ドル付近までの下落リスクを抱えながらの保ち合い推移。1230ドル台後半へと保ち合い上抜けなら流れは変わり、上値目標は1280ドル台へ。
NYプラチナ相場は-1.9ドル、0.23%の小反落。20日移動平均線(829.9)との攻防はこの日も続き、変動幅は820ドル台半ばから830ドル台半ばまでの10ドル強に縮小。三角保ち合いの先端部分を形成し、方向感は反発方向優勢の状態からほぼニュートラルの状態となり、動き出しを待つような状態に。840ドル超へと上方ブレイクできれば上値目標水準は今年の下落幅の38.2%戻し(885.7)。810ドル台を下回るようだと800ドル割れ、今年最安値更新トライの展開へ。いずれの場合にも金の動き出しも必要に。
ドル円は46銭、0.41%のドル安円高となって3日ぶりの反落。終値ベースでは2週間ぶりの111円割れとなり、1カ月ぶりのドル安円高水準。日米貿易協議(FFR)への警戒感などから円高の流れが強まって水準を切り下げると今朝の東京市場でも110円80銭台へと円高圧力が続く状態となり、三角保ち合い下抜けの兆し。FFRは長期戦になるものと予想されるものの、スタート時点で「自動車追加関税」、「2国間自由貿易協定(FTA)」などのキーワードが報道ベースで聞かれるようだと円高の流れが加速することにも。目先、110円90銭台を回復できない状態が続けば円高基調継続へ。3月につけた今年最安値から7月高値までの38.2%戻し(109.92)から6月末安値圏109円台後半辺りまでが当面の下値目安に。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/8終値とチャート
9日の国内金価格は-15円、0.32%の反落で前日反発分を帳消し。円高圧力によって上値を押さえられ、7日につけた1年7カ月ぶり安値4638円をわずかに下回り、底打ちへの可能性はまたしても裏切られた形となり、下値警戒感も再燃。節目の4630円台を維持できなくなれば、4600円の大台割れを試しに行く可能性。逆に4650円台の戻り高値を上抜けることができれば反発局面形成で4月高値からこの日までの下落幅の23.6%戻し(4720)から8月1日の戻り高値(4717)近辺までが上値目標に。
プラチナ価格は-12円、0.38%の反落。9-21日移動平均線(3180-3189)が依然として抵抗水準として上値を阻む存在に。流れとしては反発基調が続いているにもかかわらず、金の軟調推移に引っ張られるように水準を切り上げ切れず、三角保ち合いが継続。保ち合い長期化なら次の展開としては流れ逆転で下値トライ再開、というパターンが確率的には高まることにも。方向性は金の行方に委ねる状態で上方ブレイクできれば目標水準は3300円台へ、下方向なら3000円台前半も。
※参考:
金プラチナ国内価格8/9とチャート
2018年08月09日(木)時点の相場
国内金:4,637 円 8/9(木)
▼15(
0.32%)
国内プラチナ:3,177 円 8/9(木)
▼12(
0.38%)
NY金:1,221.0 ドル 8/8(水)
▲2.7(
0.22%)
NYプラチナ:829.5 ドル 8/8(水)
▼1.9(
0.23%)
ドル円:110.94 円 8/8(水)
▼0.46(
0.41%)
8/8(水)のその他主要マーケット指標
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