賃金指数はダラス連銀11年ぶり、リッチモンド連銀は過去最高
更新日:2018年08月29日(水)
鉱工業生産や耐久財受注、住宅販売件数、フィラデルフィア連銀製造業景況指数やシカゴ連銀全米活動指数、ミシガン大消費者信頼感指数など、米国経済指標ではこのところ市場予想を下回るやや低調な結果も目につくようになっていましたが、この日発表されたコンファレンスボードの消費者信頼感指数は8月に予想外の大幅上振れとなり、米国の消費マインドの力強さがあらためて示された格好です。
同じ時間に発表された8月のリッチモンド連銀製造業指数も24.0となり、2月と並び過去最高となった昨年11月の26.0に次いで過去2番めの高水準へと上昇しています。
その構成指数のうち、賃金指数も今年4-6月と並ぶ27.0となって過去最高。前日に発表されたダラス連銀でも賃金指数は8月に33.4となり、今年2月と並んで2007年1月(36.3)以来、11年ぶりの高水準となっています。
7月雇用統計での平均時給の上昇率は、前年比+2.70%となって2カ月連続で小幅に鈍化していましたが、3カ月平均では前年比+2.74%で9年ぶり高水準となり、ゆるやかながらも加速傾向を示していました。
アトランタ連銀発表の賃金上昇トラッカー(時給中央値の3カ月平均)も、7月は前年比+3.3%で6月の+3.2%からは加速していました。
8月雇用統計でも賃金上昇率が加速基調を維持しているかどうかが注目されます。
賃金上昇率を物価上昇率(CPI)が上回る状態は7月まで3カ月連続となっており、この状態が長引くようだと、力強さを示した消費マインドにもマイナス材料に。
パウエルFRB議長はインフレが更に加速する兆候はないと明言しましたが、賃金上昇率がCPIを超えてさらに加速する兆候も、今のところはまだ見られません。
28日のNY金相場は-1.6ドル、0.13%の小幅安で3日ぶりの反落。トリア伊経済・財務相が「EU基準である財政赤字GDP比3%を超える計画は無い」との発言が好感されてこの日もユーロ高ドル安が進行してユーロドルは3日続伸で一時1.17ドル台まで上昇。これに伴うドル安の流れでNY金は時間外に2週間ぶりに1220ドル台まで上昇。しかしNY市場では米8月消費者信頼感指数が予想を大幅に上回る133.4となり、18年ぶり高水準となったことをきっかけにドル高の流れが急進。急反落となったNY金は1210ドルを割れて1200ドル半ばへ。20日移動平均線(1207.8)にサポートされれば上値目標1230ドル近辺に向けて再トライへ。下方向には1190ドルが重要な節目水準、これを割り込むようだと流れは再逆転、今年最安値更新トライへも。
NYプラチナ相場は-8.9ドル、1.11%の大幅安で3日ぶりの反落。時間外とNY朝の2度トライして超えられなかった810ドルがこの日の高値となって急反落。800ドルの大台ラインもサポートにはならず、NY引け後には一時790ドル割れも。急落前の保ち合い水準830ドル付近を目標として進行し始めた反発基調は、警戒された20日移動平均線(805.8)がしっかり抵抗線となっての反落。反発基調が完全に腰折れとなったわけではないものの、その勢いは弱まる状態。改めて20日線から810ドルまでの抵抗水準との攻防でこれを突破できれば820ドル台へと一段高の可能性。なお、下方向には770ドル台が重要なサポート水準。
ドル円は前日から10銭ほどのドル高円安となって3日ぶりの反発。東京市場でのドル高円安基調では前日高値111円30銭台までで上値を押さえられ、ドル安基調となった欧州時間には前日安値110円90銭台では底堅く、NY時間には米経済指標の好結果を受けての反発も111円20銭台まで。2日連続ほぼ同一レンジでの推移となり、90日以下の移動平均線が全て110円50銭から111円までのレンジに集中し、拡散への準備段階となってきた様子ともなり、9月以降のトレンド発生を示唆する可能性も。目先は111円台前半が主要レンジとなり、抜け出した方向へと動き出す可能性も。ただし下方向には110円50銭までに集中する移動平均にサポートされやすく、これを下回ると200日移動平均線(109.82)も。雇用統計、賃金上昇率などが好結果となればドル高円安再開か。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/28終値とチャート
29日の国内金価格は-35円、0.76%安となって3日ぶりの反落。NY金が1210ドル割れへと調整の動きとなったことで、
短期上値目標4640円台には少し届かず失速、調整局面形成。現状、21日移動平均線(4596)にサポートされ、その下には上昇基調に転じた9日移動平均線(4555)も控え、この程度までの調整にとどまれば、再び上値トライのチャンスも。4630円台の節目を超えることができれば次の上値目標は7月末水準4680円近辺へ。
プラチナ価格は-55円、1.78%の大幅安で3日ぶりの反落。今回は行き過ぎの展開とはならず、
上値目標3090-3100円近辺到達とともに21日移動平均線(3088)も抵抗線となっての反落もやむなし。反発し始めた9日移動平均線(3022)が目先のサポートライン候補となり、その下には超えてはならない重要なサポート水準2970円台。上方向には3100ラインが当面の抵抗水準となり、上抜けできれば急落前の保ち合い水準下限3150円近辺に向けての流れ再開へ。
※参考:
金プラチナ国内価格8/29とチャート
2018年08月29日(水)時点の相場
国内金:4,599 円 8/29(水)
▼35(
0.76%)
国内プラチナ:3,041 円 8/29(水)
▼55(
1.78%)
NY金:1,214.4 ドル 8/28(火)
▼1.6(
0.13%)
NYプラチナ:795.3 ドル 8/28(火)
▼8.9(
1.11%)
ドル円:111.20 円 8/28(火)
▲0.13(
0.12%)
8/28(火)のその他主要マーケット指標
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