世界のプラチナ需給:2018年第2四半期
更新日:2018年09月07日(金)
WPIC(World Platinum Investment Council)が発表したプラチナ需給レポートによれば、2018年第2四半期の世界のプラチナ総供給量は65.9トン。このうち鉱山産出量が49トン、在庫調整を含めて51トン、リサイクルが14.9トンとなっています。
総供給量では前期比+21.1%、前年同期比では+0.5%。鉱山産出量は前期比+20.7%、前年同期比+1.3%、リサイクルは前期比+5.5%、前年比では変わらず。中国と日本でのプラチナ現地価格が第2四半期に下落し、ジュエリーのリサイクル率が前年比-10%となったことで自動車触媒リサイクルの増加分を相殺した形。
南アフリカでは鉱山採掘環境の改善により前期比+24.3%の大幅増。
鉱山産出量の世界シェアは南ア:71.4%、ロシア:13%、ジンバブエ:7%、北米:5.4%、その他:3.2%。
世界全体のプラチナ需要は第2四半期に55.4トン。前期比-7.5%、前年比-8.5%となり、3四半期ぶりの低水準。需要低下により、需給バランスは10.6トンの供給過多。
需要全体の44.9%を占めた自動車触媒は24.9トンで前期比-0.6%、前年比-4.8%。引き続き西ヨーロッパでのディーゼルシェア減少が影響し、3四半期ぶりの低水準。
自動車排ガス触媒需要については、これまでディーゼル車のみにプラチナが使用され、排ガス不正問題をきっかけにディーゼル車需要減とともにプラチナの需要も減少してきましたが、今後はガソリン車用の触媒としても排ガス性能を高めることを目的に、パラジウムに代わってプラチナを使用、あるいはその割合を高める必要性なども指摘されている模様で、いずれガソリン車への代替需要が進行する可能性も指摘されています。
シェア33.1%となった宝飾需要は18.4トン、前期比-2.5%、前年比横ばい。中国の需要減を他地域の増加分でカバー。中国本土でのプラチナジュエリーの小売売上高は前年同期比で10%減少し、香港では23%増加というデータも。
産業用途はシェア25%で13.8トン、前期比-4.3%、前年比+7.2%。石油精製関連の需要が1.2トンで前年比+166.7%。
産業用のうち、パソコンのHDD(ハードディスクドライブ)に使用されるプラチナ需要は、SSD(ソリッドステートドライブ)への切り替えによって減少するとの見方もありますが、クラウドベースのストレージとしてのHDD需要の増加によって相殺される、との指摘もあるようです。
投資需要はシェア-3.1%で-1.7トン。コイン・バーなどの現物需要2.2トン(前期比-6.7%、前年比+-0)をETF関連(-3.9トン)の売り越しが帳消し。売り越しは2四半期期連続で2015年第4四半期(-10.7トン)以来の大幅売り越し。
宝飾需要と現物投資を合わせた消費需要では20.5トンとなって前期比-2.9%、前年比では変わらず。ゆるやかな減少傾向で3四半期ぶりの水準へと減少。
過去、価格下落局面では宝飾需要は増加する傾向が見られましたが、今回の急落局面ではわずかに減少。
順張り志向のETFは価格下落で売り、ETFの売り越し拡大で価格はさらに下落、売りが売りを呼ぶ展開となりやすく、逆もまたしかりでETFは価格変動の増幅を促進する要因となっています。この第2四半期にはその傾向が強く表れてプラチナの平均価格は906.5ドルまで下落しました。
なお、現時点で第3四半期の平均価格は816.1ドルまで下落しています。
6日のNY金相場は0.25%の小幅続伸。ドル高の小幅調整の動きにサポートされて時間外からNY市場にかけて下値は1200ドルから1205ドル近辺まで、ゆっくりと切り上げる展開。NY市場ではADP雇用統計の悪化、ISM非製造業景況指数の上振れなど強弱入り交じる結果に一時1210ドル台へと上値を切り上げる場面も。20日移動平均線(1202.8)をわずかに上抜けながらも1210ドル台では上値が重く、下値は1190ドル台でサポートされてレンジを狭めながらの保ち合い推移が継続中。好調が続いていたナスダックが3日続落、英FTSEやドイツDAXは5カ月ぶり安値水準となり、
VIX指数は1カ月ぶりに14ポイント台後半へと上昇。貿易戦争懸念なども背景に市場のリスク警戒感も高まりつつある様子も。雇用統計の結果も踏まえて1220ドル超へと買われるようなら上昇トレンド形成で目標水準1250ドル台へ。1190ドル割れへと売られる展開となれば安値更新再トライの流れへ。
NYプラチナ相場は0.84%の続伸。780ドル台から790ドル台へと小幅に水準を切り上げる形となり、NY朝には一時790ドル台後半をトライも20日移動平均線(793.8)が相変わらず上値抵抗線として立ちはだかる状態。770ドル台から800ドル台までのレンジでの保ち合い推移が続くなかではわずかに上向き優勢の流れも、20日線によって上値を切り下げる形にも。これを超えることができればレンジ上限トライへ。金に連れて上方ブレイクの展開となれば地合い好転で850ドル台を目指す流れにも。
ドル円は0.74%のドル安円高となって3日ぶりの反落、8月22日(110.55)以来半月ぶりのドル安円高水準に。米10年債利回りが2.9%台で頭打ちとなり、2.8%台へと水準を切り下げる流れとなった欧州時間にはドル円も111円割れ。ADP雇用者数の下振れも売り材料となり、ISM非製造業景況指数の上振れではサポートされず、トランプ米大統領の日本との貿易戦争示唆発言で一段安。節目の111円ラインと20日移動平均線(110.95)も完全に割り込んだことで、雇用統計を前に円高方向への流れがスタートし始めた格好に。今朝の東京市場では日経平均の一段安にも連れて90日移動平均線(110.64)や雲の下限も下抜けて110円台前半へ。雇用統計でポジティブ・サプライズがなければこのまま軟調な流れとなり、下値目標は6月末安値圏109円台前半へ。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/6終値とチャート
7日の国内金価格は-30円、0.65%の反落。NY金の小反発を円高で相殺され、前日反発分を帳消し。調整局面を浅めに切り返した流れが間違いだった可能性を示唆するように、直近安値をわずかに下回り、8月24日(4541)以来2週間ぶり安値水準。北海道地震の影響もあって日経平均の軟調推移とともに円高圧力も強まりやすく、ADP雇用下振れによって雇用統計も目線は下方向。賃金上昇率が予想外の加速とならない限り、もしくはネガティブ・サプライズでNY金の急騰とならない限りはやや軟調な展開が予想されやすい状況か。短期的には調整局面再開で下値目安は4530円近辺程度まで、切り返して4600円台をしっかり回復できれば反発基調再開となって4660円台辺りが目標水準にも。
週間では-9円(0.2%)の小幅安、3週ぶりの反落。
プラチナ価格は-9円、0.3%の小反落。2980円台から3070円までの広めのレンジで保ち合いを形成しながらも流れは上方向優勢。しかし、目先は9-21日移動平均線(3033-35)が抵抗水準となりやすく、貿易絡みの材料で円高圧力が強まるようだと下値警戒感も強まりやすい状況にも。2980円台を割り込むと2番底をつけに行く動きとなって下値目安は2940円台辺りまで。
週間では-10円(0.33%)、3週ぶりの反落。
※参考:
金プラチナ国内価格9/7とチャート
2018年09月07日(金)時点の相場
国内金:4,572 円 9/7(金)
▼30(
0.65%)
国内プラチナ:3,019 円 9/7(金)
▼9(
0.30%)
NY金:1,204.3 ドル 9/6(木)
▲3.0(
0.25%)
NYプラチナ:790.9 ドル 9/6(木)
▲6.6(
0.84%)
ドル円:110.66 円 9/6(木)
▼0.83(
0.74%)
9/6(木)のその他主要マーケット指標
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