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想定外の賃金急加速で金利急騰、9月利上げ100%、12月も80%
更新日:2018年09月08日(土)
米雇用統計・平均時給と賃金上昇率 2018年8月2日前、NY連銀ウィリアムズ総裁が「不可解」でありFRBにとっての「課題」としていた緩慢なペースでの賃金の伸びが急加速の兆しを見せ始めました。
8月の雇用統計で、平均時給は前年同月比+2.92%。市場予想の+2.7%を上回って7月の2.73%からも急加速、2009年5月(2.93%)以来9年3カ月ぶりの高水準となりました。トレンドを示す3カ月移動平均でも2.81%となり、2009年7月(2.83)以来9年1カ月ぶりの高水準。
2.8%には壁があり、2.6%から2.7%での停滞が続いていた状態から、一気に2.9%台へと上方ブレイクした形です。

前月比でも+0.37%となり、昨年12月(0.38%)以来8カ月ぶりの伸びを示して市場予想の+0.2%程度を大きく上回り、想定外の賃金急加速でポジティブ・サプライズとなった格好です。
この結果を受けて停滞していた米長期金利も再び3%に向けて急騰、ドルインデックスも95%台の保ち合い上抜けに向けて急騰。
CMEフェドウォッチでは9月利上げの織り込みが100%となり、12月の今年4回目の追加利上げは72%台からほぼ80%へと上昇しています。

FRBは今年、低インフレの謎からは既に抜け出しており、2つめの謎となっていた賃金の伸び悩みからも抜け出し始めた様子です。

その他の指標では、失業率が3.9%となり、市場予想の3.8%には届かず7月から横ばい推移となりましたが、2000年4月(3.8)以来18年ぶり、1970年以降では最低となった5月の3.8%を0.1%上回る水準を維持。
やむを得ずパートタイム労働に従事する人などを含む広義の失業率、U6失業率は7.4%となり、7月の7.5%からさらに低下、2001年4月(7.4%)以来17年4カ月ぶりの低水準。
半年以上の失業者の割合を示す、長期失業者の割合は21.5%。7月の22.7%から低下し、2008年7月(18.9)以来9年10カ月ぶり低水準となった5月の19.4%から6月に23%へと反発後、再び低下傾向となっています。

好調な米労働市場を背景に、トランプ米大統領の貿易政策への強気姿勢にますます拍車がかかりそうです。
と同時に、ドル高進行に伴うユーロ安・円安・人民元安への不満も高まり、対欧・対日・対中通貨安政策批判も強まることにもなりそうです。


NY金・日足チャート 2018/8/3 - 9/77日のNY金相場は3.9ドル安で3日ぶりの反落。時間外には1210ドル手前まで上昇して1200ドル台後半での保ち合い推移、NY市場では雇用統計のサプライズを受けて金利急騰、ドル高の流れが強まって1200ドル割れへと急落。トランプ米大統領が中国への2000億ドルの追加関税発動への可能性に加え、さらに2670億ドルの追加関税の準備があると発言したことで株安の流れが強まり、VIX指数は14.88へと2カ月ぶりの高水準。しかしNY金は1200ドル割れでは意外と底堅く、大台を回復して20日移動平均線(1201.8)との揉み合い状態も継続。引き続き1190ドル台から1220ドルまでの保ち合いで、若干上値を切り下げる形に。
週間ベースでは-6.3ドル(0.52%)で続落。

NYプラチナ・日足チャート 2018/8/3 - 9/7NYプラチナ相場も3日ぶりの反落で10.5ドル、1.33%の大幅安。790ドル台前半での保ち合い推移から雇用統計発表前には790ドル割れ、発表後には780ドル割れへと軟調推移。なんとか780ドル台を回復し、770ドル台での底堅さも見られる反面、790ドル台での戻り売り圧力の強さも。この日も20日移動平均線(791.1)が抵抗線となって上値を押さえられ、保ち合いレンジは770ドル台から790ドル台へと縮小。上方ブレイクできれば850ドルトライへの可能性も残しながら、下方ブレイクなら安値更新トライへ。
週間ベースでは-6.7ドル(0.85%)の続落。

ドル円・日足チャート 2018/8/6 - 9/7ドル円は40銭弱のドル高円安となって111円を回復。前日のトランプ対日貿易戦争示唆発言を受けた流れで東京市場朝には110円30銭台まで下落。雇用統計期待から110円80銭台まで反発後、賃金上昇率の加速を受けて111円20銭台へと一段高。米10年債利回りが再び2.9%台へと急騰し、ドルインデックスも95ポイント台で急騰、いずれもその水準を維持したのに対し、ドル円はトランプ米大統領の対中追加関税示唆発言を受けて一時110円70銭台まで急反落。雇用統計のポジティブ・サプライズを受けて円高方向への流れを巻き戻したにもかかわらず、再びトランプ発言によって円高リスクが漂う状態に。次週、対中、対日貿易戦争への警戒感が強まって110円台半ばをあらためて割り込むようだと110円割れ、8月安値109円後半までの下落余地拡大も。
週間では-0.06円(0.05%)で小幅続落。
※参考:金プラチナ相場とドル円 NY市場9/7終値とチャート

2018年09月08日(土)時点の相場
国内金:4,572 円 9/7(金) ▼30(0.65%)
国内プラチナ:3,019 円 9/7(金) ▼9(0.30%)
NY金:1,200.4 ドル 9/7(金) ▼3.9(0.32%)
NYプラチナ:780.4 ドル 9/7(金) ▼10.5(1.33%)
ドル円:111.03 円 9/7(金) ▲0.37(0.33%)
→9/7(金)のその他主要マーケット指標

←雲のねじれで急騰してきた国内金価格、9月末にかけても? 09/10(月)
→世界のプラチナ需給:2018年第2四半期 09/07(金)
→米7月貿易赤字は3年4カ月ぶりの急拡大、対中赤字は過去最大 09/06(木)
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