NY金とドルインデックス・ユーロドル・ドル人民元
更新日:2018年09月11日(火)
昨年末の値を100とした指数で表すと、9月10日時点でNY金は91.64(年初来騰落率:-8.36%)、ドルインデックスは103.58(同:+3.58%)、ユーロドルは96.68(同:-3.32%)、ドル中国人民元は105.39(同:+5.39%)。
今年、日々の変動では、NY金はユーロドルとの相関性が強く、ドルインデックスとドル人民元レートとは逆相関が非常に強い関係にあり、ドル高ならユーロドルは下落(ドル高ユーロ安)し、ドル人民元は上昇(ドル高人民元安)し、NY金は下落(ドル高金安)し、ドル安ならその逆パターンとなります。チャート上では下方向ならドル高、上方向ならドル安に目盛りを合わせると、いずれも非常に連動性の高い動きとなっています。
ただし、年初来の変動幅で見るとかなり開きもあります。ドルインデックスの構成割合ではユーロが6割近くを占めることから、ドルインデックスとユーロドルとはその値動きも変動値幅も非常に近い動きとなっています。しかし、ドル人民元とNY金は日々の値動きではドルインデックスに近い推移となっていますが、足下ではその水準が乖離した状態です。
この乖離幅は、主に5月から7月上旬にかけて生じました。
5月半ばには米長期金利が6年ぶりに3%台へと上昇したことを受けてNY金は急落しましたが、5月末にはイタリアの政局不安などもあって反発。この頃は中国人民元安もそれほど進行していませんでした。
6月に入ると米朝首脳会談を経て地政学リスクも後退し、6月半ばには米国が中国からの輸入品500億ドル相当への関税賦課を発表。米中貿易戦争への懸念が急速に高まり、人民元安とともにNY金も急落局面を形成。NY金は6月末までにドルインデクス(上昇)とユーロドル(下落)の変動幅を追い抜き、下方乖離が生じます。その後も7月に入って米国の対中関税が実際に発動し、人民元安もさらに進行してドルインデックスの上昇幅を上回り、これに連動する形でNY金の下落幅も拡大。
米中貿易戦争の行方には不透明感もあり、さらなる追加関税も警戒されますが、足下では小康状態。米国内では貿易関税の悪影響も懸念され始め、トランプ大統領のドル高への不満も聞かれ始め、ドル高一服状態がユーロ安の進行と人民元安、NY金の下落にも歯止めをかけた状態となっています。
米国の中間選挙までは予断を許さない状況は続きそうですが、場合によってはその後は米国の政局リスクも警戒されかねない可能性もあります。
この秋、米中貿易戦争の行方とドルインデックスの動向により、ユーロと人民元とNY金の一段安か、反発か、その警戒感も高まり続けます。
10日のNY金相場は-0.6ドルの小幅続落。終値では4営業ぶりの1200ドル割れ。NY朝には1190ドル台半ばまで売られる場面もあったものの、切り返して1200ドル台前半へと急反発。バルニエEU首席交渉官の「6-8週間でのブレグジット合意は現実的で可能」発言を受けてポンドが急騰し、ユーロも連れ高となってドル安が進行したことで買い戻された形に。ただ、その後はNY引けにかけて1200ドル近辺での小康状態に。20日移動平均線(1200.8)と揉み合いながら若干上値を切り下げて1200ドルをはさんでの保ち合い状態が継続。方向感喪失気味ながら保ち合い長期化で抜け出した方向へ相応のトレンドを形成する可能性も。1210ドル超へと上方ブレイクできれば1250ドル台も意識され、逆に1190ドル割れへと下方ブレイクなら安値更新で1150ドル台も視野に。
NYプラチナ相場は+9.6ドル、1.23%の大幅反発。NY朝の欧州通貨高ドル安の場面では金にも連れて急騰、9月に入って初の800ドル台のせ。しかし、この水準では長続きせずNY引けにかけては元の水準へと急反落で行って来いの展開。20日移動平均線(789.1)にもしっかり上値を押さえられ、790ドル台では戻り売り圧力が強まる様子も。安値圏での保ち合い推移も間もなく1カ月、金とともにレンジブレイク待ちとなり、上下双方向に大きく動き出す可能性。790ドルから800ドル台へと上方ブレイクできれば上値目標は850ドル台へ、780ドル割れへと下方ブレイクなら今年安値再更新の可能性が高まり、金が安値更新となった場合には710-20ドル辺りまでの大幅下落にも。
ドル円は10銭のドル高円安となって111円台前半で小幅に続伸。東京市場午前の安値110円80銭台からゆるやかなドル高円安基調も先週末高値111円20銭台では頭打ち。この日の変動値幅40銭弱にとどまり、今年の平均値幅71銭の半分強。今朝の東京市場では日経平均の上昇などにも連れて4日ぶりに111円40銭台へと上値切り上げ中。ただし、依然として110円台半ばから111円台半ばまでの雲のなかでの保ち合い推移が継続中。この雲も今週末から次週にかけては111円台前半でレンジを縮小し、来週半ばには雲のねじれを迎えることから、それまでに大きく動き出す展開も想定されやすい状況に。下方向なら109円台後半まで、上方向なら113円台へと今年高値更新トライの展開にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/10終値とチャート
11日の国内金価格は+13円、0.28%の上昇。NY金が下げ渋り、わずかに円安方向に振れたことで21日移動平均線(4566)割れを回避して下落し始めた9日移動平均線(4588)を下支え。4530円近辺を下値目安に調整局面進行と思われた流れも巻き戻され、8月終値(4581)も上抜け。ただし、あらためて4570円割れへと下値トライの展開となれば下げ幅拡大で4500円前後が下値目安にも。その一方で4600円台をしっかり回復できれば上値トライの流れとなって38.2%戻し(4660円台)までが次の上値目標に。
プラチナ価格は+27円、0.9%高となって3日ぶりの反発。前日下落分を取り戻しながらも3019円で重なる9-21日移動平均線に上値を押さえられた形に。この水準を突破できれば、超えなくてはならない8月終値3029円との攻防へ。これも上抜けできれば
8カ月続落と6年連続下落回避に向けての追い風となり、次の上値目標は8月末高値圏3090円近辺へ。下方向には2990円の節目を割れると二番底形成への流れとなって下値目安は今年安値2911円再トライへ。
※参考:
金プラチナ国内価格9/11とチャート
2018年09月11日(火)時点の相場
国内金:4,585 円 9/11(火)
▲13(
0.28%)
国内プラチナ:3,018 円 9/11(火)
▲27(
0.90%)
NY金:1,199.8 ドル 9/10(月)
▼0.6(
0.05%)
NYプラチナ:790.0 ドル 9/10(月)
▲9.6(
1.23%)
ドル円:111.13 円 9/10(月)
▲0.10(
0.09%)
9/10(月)のその他主要マーケット指標
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