CPIも下振れてドル安も、トルコ中銀大幅利上げでリスクオン
更新日:2018年09月14日(金)
前日の米8月生産者物価指数(PPI)に続き、消費者物価指数(CPI)も市場予想を下回り、インフレ基調のさらなる加速を否定する結果となりました。
米労働省が発表した8月のCPIは前年同月比+2.7%。市場予想の+2.8%を下回り、2012年2月(2.9)以来6年4カ月ぶり高水準となった6月と7月の+2.9%からも急減速。4カ月ぶりの水準へと低下。
食品とエネルギーを除くコアCPIも8月は前年比+2.2%となり、市場予想の+2.4%を下回りました。コアCPIは7月に+2.4%で2008年9月(2.5)以来、9年10カ月ぶりの好水準となっていましたが、8月には予想外の急失速で3カ月ぶりの水準に。
ガソリン価格が7月の+25.4%から8月には+20.3%へと4カ月ぶりの水準へと減速し、自動車保険は4カ月続落で+6.4%まで減速。5月には前年比+2.7%まで加速していた医療用品は3カ月続落で+0.3%まで減速し、医療サービスも6月の+2.5%から2カ月続落で8月は+1.9%。
その一方で中古車価格は+1.3%となり3カ月連続の上昇、航空運賃も4カ月続伸で-1.3%まで下落幅を縮小。
インフレ基調はゆるやかな上昇ペースを維持し、2%を超えてさらなる加速を推進しそうな兆しは見られません。
CPIも下振れたことでドル安の流れが急速に進行しましたが、8月には賃金上昇率が2.9%台へと上昇していたことで、賃金上昇率を消費者物価のインフレ率が上回る状態が7月までの3カ月間続いていましたが、4カ月ぶりに再逆転。これを好感するように株高の流れも強まり、急騰で反応した金も上昇幅をすべて削る展開となりました。
これ以前に、この日のリスクオン地合いのきっかけを作ったのはトルコ中銀。インフレ高進でも利上げに反対し、中銀批判を続けるエルドアン大統領の圧力にも負けず、大幅利上げを敢行したトルコ中銀の信頼回復とともに、市場に安心感をもたらした様子です。
13日のNY金相場は-2.7ドル、0.22%の小幅安で3日ぶりの反落。前日の米8月PPIに続き、CPIも予想を下回る結果となったことでドル売りと長期金利低下の流れが急進、NY金は10ドル弱の急騰となって一時1220ドル手前まで上昇。しかし、利上げペース加速を否定するインフレ減速を好感したのは株式市場も同様でリスク選好ムードが強まる展開に。米10年債利回りが2.95%付近では下げ渋って反発に転じるとNY金も1210ドル割れへと急反落。保ち合い上方ブレイクに伴う上値トライへの流れは8月末高値1220ドルと50日移動平均線(1218.3)に上値を押さえられ、出だしで躓いてしまった形にも。1210-20ドルの水準をしっかりと超えることができれば引き続き1250ドル台を目指すような流れに発展する可能性も。
NYプラチナ相場は+3.4ドル、0.43%の続伸。NY朝の急騰局面では10ドル程水準を切り上げて810ドル台前半へ、8月13日(831.8)以来1カ月ぶりの高値水準に。しかし、金と同様50日移動平均線(813.2)にも上値を押さえられて反落。ただし、800ドルの大台ラインにサポートされて前日の水準割れを回避。トルコ中銀の利上げで新興国リスクが緩和され、南アランド高も進行していたこともサポート材料に。810ドル台の50日線が抵抗線とならなければ目標水準850ドルを目指す流れ継続へ。
ドル円は70銭の反発で112円近辺。7月19日(112.44)以来、ほぼ2カ月ぶりのドル高円安水準に。トルコ中銀の勇気ある大幅利上げでトルコリラ急騰とともに新興国通貨への売り圧力も後退し、クロス円でも円安基調が進行。ドル円は小動きの反応も、その後発表された8月米CPIの下振れでドル安急進となってドル円も111円60銭台から30銭台へと急落の反応。しかし、クロス円の円安地合いと米10年債利回りの反発にも支えられて下げ渋るとリスク選好の円安優勢となって111円90銭台まで上昇。111円70銭の節目水準と雲の上限をしっかりと上抜けたことで円安方向への流れが進行しやすい地合いに。ドルインデックスは半月ぶりに94ポイント台半ばまで低下したものの、過去の揉み合い水準でもあり、ここで反発できればドル安にも歯止めがかかり、米10年債利回りが再び3%台へと上昇基調が続けばドル円の押し上げ材料に。当面の上値目標は今年高値113円台前半まで。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/13終値とチャート
14日の国内金価格は+12円、0.26%高となって4日続伸。8月末高値水準4630円台を超えて8月10日(4641)以来、1カ月ぶりの高値水準。NY金の上昇基調には黄色信号もリスクオン地合いによる円安進行にサポートされての堅調推移。目先は短期上値目標、4月高値から8月安値の38.2%戻しとなる4661円までもう少しの上昇余地も。
週間ベースでは+68円(1.49%)の大幅反発。週間上昇率では1月第1週(+96円、1.91%)以来、8カ月ぶりの大幅上昇。
プラチナ価格は+24円、0.78%高で4日続伸。
短期上値目標3090円近辺到達とともに8月末高値3096円もわずかに上回り、8月13日(3159)以来1カ月ぶりの高値水準。短期的には一服感も生じやすいところも、金価格の上昇余地に連れるかNYプラチナの上昇基調継続なら水準を引き上げられる展開にも。NYプラチナが短期目標水準付近へと上昇した場合、国内価格の目安としては、1月高値から8月安値の38.2%戻し(3267)、8月の急落前の保ち合い上限となった7月高値3265円、いずれ3260円台辺りまで上値を伸ばす可能性も。
週間では+80円(2.65%)の大幅反発。5月7日からの週(+93円、2.74%)以来、4カ月ぶりの大幅高。
※参考:
金プラチナ国内価格9/14とチャート
2018年09月14日(金)時点の相場
国内金:4,640 円 9/14(金)
▲12(
0.26%)
国内プラチナ:3,099 円 9/14(金)
▲24(
0.78%)
NY金:1,208.2 ドル 9/13(木)
▼2.7(
0.22%)
NYプラチナ:803.3 ドル 9/13(木)
▲3.4(
0.43%)
ドル円:111.93 円 9/13(木)
▲0.70(
0.63%)
9/13(木)のその他主要マーケット指標
ミシガン大消費者信頼感指数は2004年以降3番目の高水準へ急反発 09/15(土)米8月PPI予想外の急失速でドル安、金は反発基調再開へ 09/13(木)米インフレ期待は3年ぶり3%、中立金利水準到達で安定推移に 09/12(水)NY金とドルインデックス・ユーロドル・ドル人民元 09/11(火)
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