賃金上昇率、前月比+0.2%は月並みでも前年比+3%台は9年半ぶり
更新日:2018年11月03日(土)
米10月雇用統計での平均時給は、9月の27.25ドルから10月は27.30ドルへと増加し、前月比+0.2%(+0.18%)。しかし前年同月比では+3.1%(+3.14%)となり、2009年4月(+3.37%)以来、9年半ぶりの高水準。
平均時給の前月比の伸び率は、0.2%を中心に推移する状態が続き、2016年以降の平均では+0.23%となっています。10月の前月比+0.2%は平均レベルと言えますが、小数点以下2桁までで見ると+0.18%にとどまり、2月(+0.11%)以来10カ月ぶりの低い伸び率にもなっています。
前月比でみた賃金上昇率は月並みにもかかわらず、前年比でみた賃金上昇率は9月の+2.8%(+2.79%)から急騰し、回復の目安ともされる3%台を回復してきました。
これは、ひとえに1年前の賃金上昇率が低迷していたからに過ぎません。
2017年10月の平均時給は26.47ドル。同年9月の26.51からは減少していました。ハリケーンの影響などもあり、前月比-0.15%は6年ぶり低水準、前年比+2.28%は2年ぶり低水準となっていました。
ただし、この前月の伸びが強かったことの反動、という側面もありました。
2017年9月の平均時給の伸びは前月比+0.45%でおよそ9年ぶりの高水準、前年比では+2.83%、これも8年ぶり高水準となっていました。
今回は前月比での伸びが月並みレベルにとどまっていることから、少なくとも11月に反動減となることは特別な理由がない限り想定できません。
仮に、次月11月の平均時給も控えめに見て前月比+0.18%と横ばい推移となった場合、前年比では+3.05%となります。
12月FOMC前、最後の雇用統計でも賃金上昇率は前年比+3%台を維持することが予想されます。
失業率が48年9カ月ぶり低水準となる3.7%を維持し、米株の大幅調整にも一服感が見られる状況からは、12月の追加利上げを否定する要因よりも、肯定する材料のほうが増えつつある状況のようです。
CMEフェドウォッチでの12月追加利上げの織り込み度合いも74%台から、79%台へと上昇しています。
2日のNY金相場は-5.3ドル、0.43%の反落。ドル高の調整が続いた欧州時間までは1230ドル台半ばから後半へと堅調に推移、NY市場では米雇用統計での賃金上昇率加速を受けてドルの買い戻しとなって1230ドル台前半へと反落。しかし、雇用統計への反応は限定的となり、この日の変動値幅は上下7ドル程度の小動きで前日急騰後の一服状態。1230ドル台で下値を固めることができれば上値再トライのチャンスをうかがう可能性にも、失速感と1240ドルでの抵抗感も強まる状態に。あらためて1240ドルの抵抗水準を突破できれば1260ドル台を目指す流れへ。下方向には1220ドルから90日移動平均線(1218)辺りまでがサポート候補。1210ドルを割り込むようだと今年安値圏1180ドル近辺再トライの展開にも。
週間ベースでは-2.5ドル(0.2%)の小幅安となり、5週ぶりの反落。
NYプラチナ相場は+12.9ドル、1.5%の大幅高となって7日続伸。7日続伸となるのは昨年末から年初にかけての10日続伸以来、10カ月ぶり。水準としては今年6月18日(883.9)以来、4カ月半ぶり高値水準を回復。時間外から堅調な流れは続き、870ドル超えをかけた攻防状態から米雇用統計後には一時860ドル台前半へと反落も、切り返した勢いで870ドルを超えると870ドル台後半まで上値を伸ばす場面も。米中貿易摩擦緩和への思惑などにもサポートされての堅調推移が続くなか、オシレータ系指標の逆行も見られ始める失速感も。金との価格差は1週間前の400ドル超から357.6ドルまで急縮小、3月1日(347.4)以来8カ月ぶりの低水準に。
週間ベースでは+41.3ドル(4.95%)の大幅高で3週ぶりの反発。2月12日からの週(+50.8ドル、5.28%)以来9カ月ぶりの上げ幅。
ドル円は60銭ほどのドル高円安となって3日ぶりの反発。東京市場朝の112円50銭台がこの日の安値となり、日経平均の大幅上昇にも連れて反発基調へ。東京午後にはトランプ米大統領が中国との貿易合意の草案作成を指示との報道などもあり、株高円安が急加速して113円台を回復。欧州時間には112円70銭台まで調整後、米雇用統計の好結果を受けて再度113円台回復もやや伸び悩み。その後、ECBが新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)を検討との報道もあり、米欧金融政策逆行への思惑から米10年債利回りが3.2%台に向けて上昇再開、ユーロ売りドル買いも強まりドル円は113円30銭台まで上昇。抵抗水準となる可能性もあった113円をはさんでの攻防から上方向へと抜け出した状態にもなり、目先114円近辺まで上値を伸ばす展開にも。112円台半ばが当面のサポート水準となり、割り込むと10月安値111円前半までが下値目安にも。
週間ベースでは+1.30円(1.16%)で反発。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場11/2終値とチャート
2018年11月03日(土)時点の相場
国内金:4,790 円 11/2(金)
▲65(
1.38%)
国内プラチナ:3,351 円 11/2(金)
▲104(
3.20%)
NY金:1,233.3 ドル 11/2(金)
▼5.3(
0.43%)
NYプラチナ:875.7 ドル 11/2(金)
▲12.9(
1.50%)
ドル円:113.20 円 11/2(金)
▲0.61(
0.54%)
11/2(金)のその他主要マーケット指標
国内金価格は4800円回復、半値戻しと200日移動平均線との攻防に 11/05(月)世界の金需要-2018年第3四半期 11/02(金)ユーロ圏のインフレ率HICPは5カ月連続2%以上 11/01(木)ユーロ圏景況感指数は10カ月続落で1年5カ月ぶり低水準 10/31(水)
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