ISM非製造業景況指数の減速は限定的もインフレ圧力は低下
更新日:2019年01月08日(火)
12月のISM非製造業景況指数は57.6となり、市場予想の59.0程度を下回り、11月の60.7からは-3.1ポイントの急低下、7月(55.7)以来5カ月ぶりの低水準となりました。
3日発表の
ISM製造業景況指数が前月比-5.2ポイントの急低下となったことで景気減速への警戒感が強まったこともあり、非製造業の結果にも警戒感はありましたが、製造業ほどの減速感はなく、波乱要因とはならなかったようです。
ISM非製造業景況指数は9年5カ月連続で50超の拡大基調を維持し、事業活動指数も5カ月ぶりに60ポイント割れとなりましたが59.9と依然高水準を維持。新規受注は62.7となって半年ぶりの高水準。十分に好調を示す状態が続きます。
雇用指数も56.3となり、7月(56.1)以来5カ月ぶりの低水準ながら、これも節目の50は大きく上回る高水準を維持。なお、製造業の雇用指数も同様に56.2で半年ぶり低水準ながらも好調を維持していました。
そのなかで、価格指数は57.6となり、11月の64.3からは6.7ポイントの急低下。2017年7月(55.7)以来、1年5カ月ぶりの低水準となりました。ただ、これも60ポイント台の高水準がしばらく続いていた状態からの低下であり、水準としてはまだ高水準。
製造業ではこの傾向がより顕著となり、12月は54.9となり、2016年11月(54.5)以来2年1カ月ぶりの低水準。ただし2018年半ばにかけては70ポイント台後半まで上昇し、過熱感もあった状態が収束してきただけのようにも見えます。
ただし、製造業、非製造業ともに価格指数の低下は2018年末に顕著となり、インフレ圧力の後退を示唆しているようです。
株式市場の混乱への配慮もあって、パウエルFRB議長は柔軟姿勢へと政策転換の可能性も示したようにも見えますが、同時にISMの景況感指数では12月にインフレ圧力低下により、2019年の利上げ打ち止めを示唆していた、ということになる可能性もありそうです。
7日のNY金相場は+4.1ドル、0.32%の反発。ドル安と米長期金利低下の流れが続いたロンドン時間には1290ドル台へと水準を切り上げ、ドルが下げ渋り、米長期金利が反発に転じたNY朝にも堅調を維持して一時1290ドル台後半へと一段高。しかし、株高の流れが強まると失速、1290ドルをはさんでの揉み合い状態に。米景気減速懸念が緩和され、FRBの金融政策がハト派寄りへと傾斜の可能性を示したこと、米中協議の進展期待などが米株の堅調推移をサポートする一方、ユーロドルが安値圏からの反発地合いを強め始めていることがドルの上値を押さえ、金も底堅く推移。ただし、1300ドルの大台ラインが意識され、上値も限定的となりやすい状況にも。大台突破の場合でも短期的には1310ドル台までが上値のメドとなりやすく、下値も20日移動平均線(1266.0)から1270ドル前後の水準ではサポートされやすく高値保ち合い形成の様相にも。
NYプラチナ相場は-2.9ドル、0.35%の小幅反落。金に追随する形で反発地合いを強めたロンドン時間には一時830ドル台半ばまで上昇。1カ月半ぶりの高値水準に達した後は金とともに失速状態となり、830ドル割れ。ただし、株価の堅調推移に支えられる面もあり、NY引け後には820ドル台後半へとジリ高推移。短期
上値目安820ドル台ではいったん落ち着いた状態ともなり、さらなる上値トライに向けては若干の調整余地も。水平状態の90日移動平均線(820.8)近辺が目先のサポート目安にも。
ドル円は0.15%のドル高円安となって小幅続伸。ユーロドルの反発基調が牽引役となってゆるやかなドル安基調となり、東京時間のドル円は日経平均の上げ幅縮小の動きにも連れて108円ちょうど付近まで軟調推移。この水準で下げ渋るとNY時間にかけては米10年債利回りの上昇と米株の堅調推移にも連れて108円70銭台まで反発。3日のフラッシュ・クラッシュ前の水準、2日終値の108円80銭台をしっかりと回復できるかどうかが目先のポイントに。3日続伸となった場合でもこの水準をクリアできなければ反落警戒感が強まる展開にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場1/7終値とチャート
8日の国内金価格は+24円、0.5%の反発。年初の株式市場と為替市場の乱高下の余波を受ける形となり、調整局面スタートの動きは巻き戻されて方向感も定まらない状態に。流れとしては8月以降の上昇局面一服となり、大幅調整か上値トライ再開かという保ち合いに。あらためて4790円台の保ち合い下限を割り込んだ場合、水平状態の200日移動平均線(4783)でサポートされなければ4700円割れを試すような流れとなる可能性も。逆に4850円の保ち合い上限を上抜けると6月高値4950円台までを目指す流れにも。
プラチナ価格は+15円、0.49%高となって4日続伸。勢いには欠けるものの、NYプラチナの下げ渋りにも支えられてジリ高推移の展開に。引き続き11月高値から12月安値までの38.2%戻し(3146)が当面の重要ポイント。その前に、これまでも
下落基調での抵抗線となり続けてきた21日移動平均線(3087)をしっかりと上抜けることがトレンド転換の必要条件にも。
※参考:
金プラチナ国内価格1/8とチャート
2019年01月08日(火)時点の相場
国内金:4,821 円 1/8(火)
▲24(
0.50%)
国内プラチナ:3,087 円 1/8(火)
▲15(
0.49%)
NY金:1,289.9 ドル 1/7(月)
▲4.1(
0.32%)
NYプラチナ:824.3 ドル 1/7(月)
▼2.9(
0.35%)
ドル円:108.69 円 1/7(月)
▲0.16(
0.15%)
1/7(月)のその他主要マーケット指標
ユーロ圏景況感指数は2018年1月から12月まで12カ月続落 01/09(水)年内利上げ打ち止め観測にFRBも柔軟対応、金価格をサポート 01/07(月)賃金上昇率は3カ月連続前年比+3.1%超、年初のドル安金高解消 01/05(土)ISM製造業景況指数も急低下で新年のリスクオフを助長 01/04(金)
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