形成逆転、パラジウム超え維持へNY金の目標は1580ドル台?
更新日:2019年08月22日(木)
2017年秋にプラチナ価格を上回ったパラジウム価格は2018年秋には1000ドル超え、2019年に入ると金価格をも上回り、プラチナ価格のほぼ2倍に達することも。
ガソリン車の排ガス触媒として使用されるパラジウムは、供給不足懸念と欧州でのディーゼル車からガソリン車へのシフト需要などから急騰が続きましたが、最近では株価と連動する形で史上最高値圏での乱高下状態。この8月上旬には米中対立激化懸念などをきっかけに急落した米株とともにパラジウムも1500ドル台から1400ドル台へと急落。これと入れ替わる形で1400ドル台から1500ドル台へと急騰したNY金が形成逆転、ほぼ半年ぶりにパラジウム価格を完全に上回る状態となっています。
ただし、足下では1410ドル台まで急落したパラジウムは1400ドル台後半へと持ち直し、金価格は1500ドル台維持もやや失速状態となり、最大108ドルまで拡大した価格差は50ドル程度まで縮小中。
形成逆転となった金価格が、パラジウム価格を上回る状態をもう少し維持しようと思えば、少なくともパラジウムのここまでの最高値1580ドル台(終値ベース)辺りまでは水準を切り上げる必要もありそうです。
NY金価格は
6月下旬に長期的に重要な節目水準を上抜けたことで急加速し、大きく水準が切り替わる状態となってきています。
この間、金価格の史上最高値となった2011年9月から2015年12月安値までの38.2%戻しとなる1380ドルが重要な節目となり、これを上抜けたことで急上昇、8月に入ると50%戻しとなる1480ドル台も上抜け、次の節目としては61.8%戻しとなる1580ドル台。
パラジウムとの関係性からも、金価格としての長期的な水準から見ても1580ドル台は、この秋以降意識すべき重要な水準、ということにもなりそうです。
21日のNY金相場は前日から変わらず1515.7ドルでの横ばい推移。時間外でつけた高値1518ドル台は前日高値と同水準に留まり、1520ドル近辺での抵抗感も。欧州時間にかけては米長期金利の反発とドル高優勢の流れに1510ドル割れ。しかし下値も1506ドルまでで折り返し、3日連続1505ドル前後で反発する形にもなり、大台ライン付近でのサポート力も増しつつあるようにも。NY引け後に公表されたFOMC議事要旨ではパウエル議長発言どおり、7月利下げは保険であり、利下げサイクルを否定。想定よりもハト派的ではないとの印象から長期金利反発でドル高、株安とともに金も軟調な反応。それも限定的となって1510ドル台は維持。1500ドルから1530ドル台までの高値保ち合いレンジのなかの下半分が主要レンジとなりつつある状態にも。流れとしては調整局面入りで1500ドルラインを何度か試すような展開にも。これを割れると5月安値からの上昇幅の23.6%戻し、1480ドル付近までが下値目安。
NYプラチナは+5.3ドル、0.62%の反発。金にも連れて軟調推移となった時間外には850ドルを割れて一時842ドルまで下落。840ドルのサポートを確認して反発したNY市場では859ドルまで上昇。3日連続860ドル前後で上値を押さえられ、20日移動平均線(861.3)が抵抗線となる状態も、7月末高値から上値を切り下げてきた抵抗線との攻防では上抜けつつある状況にも。20日線を超えることができれば短期トレンドも好転方向へ、870ドル台の節目を超えると900ドルの大台付近までが上値目標にも。
ドル円は30銭のドル高円安となって反発。東京朝の106円20銭台が安値となって徐々に下値を切り上げる展開に。米10年債利回りが一時1.6%回復へと反発基調となった欧州時間にはドル円も106円60銭付近に到達。NY時間には米10年債利回りの反落に連れて106円30銭台まで下押し、FOMC議事要旨はハト派的ではなかったことから106円60銭台まで上昇。日足レベルでは8月半ばの105円付近から下値を切り上げ続け、しかし上値は106円70銭が抵抗線となって押さえられる状態が継続。ジャクソンホールなどをきっかけに106円70銭ラインを突破できれば7月高値109円近辺を目標に反発局面形成へと向かう可能性も。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場8/21終値とチャート
22日の国内金価格は-2円、0.04%の小反落。9日移動平均線(5499)に支えられて調整局面進行に躊躇する状態が継続。FOMC議事要旨などからも、市場とトランプ大統領近辺のハト派的な期待感とFRBの見通しとの間には乖離があるようにも見え、ジャクソンホールでも期待ハズレ感が高まるようなら、迷わず調整局面形成へ。5470円台のサポートを割れると5月末から8月高値までの23.6%戻しとなる5380円台までが下値目安に。確率的にはかなり低めと思われるものの、5550円台の高値更新となれば次の上値目標は5630円近辺へ。
プラチナ価格は+32円、1.03%の反発。9日移動平均線(3120)との揉み合いから、ようやくしっかりと上抜け、上方視界が開け始めた可能性。目先、緩やかな低下基調で重なる21-90日移動平均線(3160-63)が若干気にはなるものの、これを超えて3190円近辺までが上値目標水準に。ただし反落の展開となって3110円のサポートを割れた場合には下値トライ再開で3030円台辺りまでが下値目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格8/22とチャート
2019年08月22日(木)時点の相場
国内金:5,502 円 8/22(木)
▼2(
0.04%)
国内プラチナ:3,142 円 8/22(木)
▲32(
1.03%)
NY金:1,515.7 ドル 8/21(水) +-0.0(0.00%)
NYプラチナ:858.1 ドル 8/21(水)
▲5.3(
0.62%)
ドル円:106.56 円 8/21(水)
▲0.30(
0.28%)
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