想定外のISM製造業景況指数下振れ、3年ぶりに拡大基調終了へ
更新日:2019年09月04日(水)
各地区連銀が発表した8月の製造業景況指数が比較的好調を示していたことから、ISM製造業製造業景況指数も下げ止まりこそすれ、節目50を割れるようなことはないと予想していましたが、あにはからんや。
市場予想と7月からも2ポイント超下回って50割れ。
2016年8月(49.4)以来、ちょうど3年ぶりに節目の50を割り込んだことで、35カ月間続いた米国製造業の景気拡大基調はいったん途切れることになりました。
新規受注も生産も、雇用指数もほぼ3年ぶりに節目50割れとなる低調ぶり。入荷遅延は昨年年央をピークに低下傾向が続き、景気の過熱感は解消されて50付近に収束。顧客在庫も年初までの低水準から上昇傾向にあり、需要の縮小傾向を示す状況にも。
さらに、輸出入は2カ月連続の節目50割れ、特に輸出は48.1から43.3へと急低下。
また、雇用指数悪化によって週末の雇用統計での負の連鎖も警戒され、価格指数も3カ月連続50割れと低インフレ状態継続も示唆。
月初の対中関税第4弾発動予告に始まった米中貿易戦争激化の影響は予想以上に大きいようで、節目50割れが一時的では済まない可能性も警戒されることにもなりそうです。
この日、セントルイス連銀のブラード総裁は「0.50%の利下げをすべき」との発言。一方でボストン連銀のローゼングレン総裁は「リスクは明らかに高まっているものの、依然として「比較的堅調」なまま」と自身の見解を示し、「直ちに追加緩和する必要ない」との発言も。
FOMCメンバー内で意思統一が測れない状況は続きながらも、市場は9月に0.25%以上の利下げを100%織り込む状態。
今回のISM製造業景況指数の低調な結果がきっかけとなり、今後もこれに追随するような指標が目に付き始めるようなら、年内3回目の利下げへの織り込みも進行し、FOMCメンバー内の意思疎通も徐々に図られていくことも想定されます。
3連休明け、3日のNY金相場は+26.5ドル、1.73%の大幅高となって4営業日ぶりの反発。上昇率としては8月23日(+29.1ドル、1.93%)以来2週間ぶり、今年5番めの大幅上昇で2013年4月11日(1564.9)以来、6年5カ月ぶりの高値水準に。月初、週明けの時間外には概ね1530ドル台を維持しての上下動から、3日欧州時間には1.5%台へと反発していた米10年債利回りが1.5%割れへと再び反落の動きとなったことを受けて1540ドル台へと上昇。NY朝には8月ISM製造業景況指数が想定外の悪化となって金利急低下・株安・ドル安急進、NY金は1550ドル台後半へと一段高。1560ドルに若干の抵抗感を残しながらも水準を切り上げたことでさらに上値を試す展開も想定され、1570ドル前後までが目先の上値目標にも。下値は20日移動平均線(1524.3)も上昇してきた1520ドル台が当面のサポートに。雇用統計などが想定以上にポジティブな結果となるなどしてこれを割り込んだ場合には1500ドルの大台ライン付近までが下値目安に。
NYプラチナは+23.9ドル、2.57%の大幅高で6日続伸。6日続伸以上は7月(11日続伸)以来で今年2度め。なお7月の11日続伸での合計上昇値幅は66ドルに対して今回は6日続伸で合計100.3ドルの急騰。水準としては昨年3月15日(956.9)以来、1年5カ月半ぶりの高値。金との連動性は低下状態から強まる方向にあり、この日は連れ高の展開。欧州時間に930ドルから940ドル台へとジリ高推移となり、NY朝には950ドル台へ。ISM製造業景況指数悪化による株安局面では上げ渋る動きにもなったものの、その後は金の高止まりを後追いするように960ドル台へと一段高。NY引け後には2018年1月高値(1033.3)から2018年8月安値(755.7)までの76.4%戻し(967.8)を達成。中長期的な節目水準に到達したことで、急反落警戒感を抱えながらも1000ドルの大台も意識され始める状況にも。
ドル円は20銭余りのドル安円高となって3日続落。106円30銭台が高値となり、欧州時間には米長期金利の低下に連れての軟調推移で105円90銭台まで下落、しかしこの水準では底堅さも見られ、再び106円30銭台へと反発。しかし、ISM製造業景況指数の50割れはネガティブ・サプライズとなり、105円70銭台まで60銭ほどの急落。その後は106円まで反発する場面もあったものの今度は106円ライン付近では売り圧力が強まる形となり、今朝の東京市場にかけても105円80銭台での推移に。雇用指標も悪化となれば一段安の展開は必至の様相にも。目先、105円70銭から50銭台までのサポート水準を割り込めば104円台前半も意識されるような展開にも。
※参考:
金プラチナ相場とドル円 NY市場9/3終値とチャート
4日の国内金価格は横ばいをはさんでの続伸で+58円、1.04%高。1週間ぶりの近年最高値更新となり、長期的な抵抗水準となる可能性もあった5600円の大台ラインを突破したことで一段高となり、上値目標5640円近辺にもほぼほぼ到達。想定外の指標悪化が材料となっての上値トライとなった為、この後の指標でも悪材料が出るようだと米景気後退懸念が強まることにもなりそうで上値目標想定が困難な状況にも。目先は若干の上昇余地も残し、5570円がサポートとなり、これを割り込んだ場合には5500円の大台付近までが調整目安にも。
プラチナ価格は+93円、2.75%の大幅反発。上げ幅としては8月29日(+105円、3.31%)以来で今年4番目の大幅上昇。今年高値となっている4月22日(3498)以来、4カ月半ぶりの高値水準となり、短期上値目標3450円近辺をクリアして若干のオーバーラン。今年高値も意識される状況となってきたものの、一服感も。3380円が当面のサポート水準となり、これを割れると3320円近辺までが調整目安に。
※参考:
金プラチナ国内価格9/4とチャート
2019年09月04日(水)時点の相場
国内金:5,631 円 9/4(水)
▲58(
1.04%)
国内プラチナ:3,474 円 9/4(水)
▲93(
2.75%)
NY金:1,555.9 ドル 9/3(火)
▲26.5(
1.73%)
NYプラチナ:955.6 ドル 9/3(火)
▲23.9(
2.57%)
ドル円:105.94 円 9/3(火)
▼0.25(
0.24%)
9/3(火)のその他主要マーケット指標
米貿易赤字は縮小傾向、輸出は前年割れペース 09/05(木)下げ渋る8月ユーロ圏製造業PMI、唯一の低下はアイルランド 09/03(火)4度目の雲のねじれで急騰、国内プラチナ価格もレンジシフトへ 09/02(月)PCEは9カ月、コアPCEは10カ月連続2%未達の低インフレ期 08/31(土)
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